風起花抄~宮廷に咲く瑠璃(るり)色の恋~ 第32話 あらすじ/ネタバレ

宮廷の奥深くで、愛憎が渦巻く。玉柳(ぎょくりゅう)の懇願も虚しく、武媚娘(ぶびじょう)は断固たる決意で髪を切り落とす。それは、李世民(りせいみん)への忠誠と犠牲の証だった。そして、武媚娘(ぶびじょう)は李世民(りせいみん)の前にひざまずき、病気を治すための妙薬を求めて立てた誓いを明かす。李世民(りせいみん)は、武媚娘(ぶびじょう)への償いようのない罪悪感に苛まれる。

夜が訪れ、李治(りち)は裴行倹(はいこうけん)と共に武媚娘(ぶびじょう)を訪ねるが、拒絶されてしまう。李治(りち)は武媚娘(ぶびじょう)を慰めたいと考えるが、裴行倹(はいこうけん)は今はそっとしておくべきだと諭す。李治(りち)は、閉ざされた武媚娘(ぶびじょう)の部屋の扉を見つめ、無念の涙を流す。武媚娘(ぶびじょう)は、李治(りち)の去りゆく姿を眺めながら、複雑な思いに駆られ、静かに涙を流す。

一方、尚服(しょうふく)局では、卓錦娘(たくきんじょう)が勝利のために昼夜を問わず作業に没頭し、衣裳に吉祥の模様を刺繍する。そして、阿碧(あおび)を使って庫狄瑠璃(るり)の動向を探らせる。庫狄瑠璃(るり)が眠りについたことを知ると、卓錦娘(たくきんじょう)は自信に満ちた咲みを浮かべる。

翌日、競技が近づくにつれて緊張が高まる。卓錦娘(たくきんじょう)は疲労で刺繍枠に倒れ込むが、阿碧(あおび)に起こされると、急いで衣裳を競技に送り出す。庫狄瑠璃(るり)は、丹精込めて作った白い衣裳を丁寧にアイロンをかけ、鮮やかな赤いショールを合わせる。そのシンプルながらエレガントな姿は、阿碧(あおび)をして卓錦娘(たくきんじょう)の勝利を危ぶませるほどだった。

裴行倹(はいこうけん)と莫坤(ばく こん)は任務に向かう途中、庫狄瑠璃(るり)に武媚娘(ぶびじょう)が出家することを告げ、庫狄瑠璃(るり)は衝撃を受ける。武媚娘(ぶびじょう)は李世民(りせいみん)に別れを告げ、咸池殿で修行をすることを許されるが、李明(りめい)はこれを罰を逃れるための策略とみなし、即位したら武媚娘(ぶびじょう)を必ず排除すると心に誓う。

武媚娘(ぶびじょう)の境遇に同情する庫狄瑠璃(るり)は、阿部(あべ)らによって競技への参加を妨害されてしまう。焦る庫狄瑠璃(るり)だが、どうすることもできない。太妃(たいひ)たちが到著し、庫狄瑠璃(るり)の欠席を知った卓錦娘(たくきんじょう)は、失格にしようと画策する。林尚服(りんしょうふく)の主張により競技は続行されるが、阿碧(あおび)の嘘により、卓錦娘(たくきんじょう)が一時的にリードする。林尚服(りんしょうふく)は公正を貫き、勝負は龍袍の刺繍という三回戦で決著をつけることを提案する。

武媚娘(ぶびじょう)は李治(りち)との別れ際に、宮廷の権力闘争を洞察し、李明(りめい)に注意するよう忠告する。そして、咸池殿で庫狄瑠璃(るり)のために祈ると約束する。武媚娘が出家することを知った庫狄瑠璃(るり)は、急いで咸池殿に向かう。僧衣を著た武媚娘を見て、涙が止まらない。武媚娘は庫狄瑠璃(るり)を心配しつつも、その誌を理解し、二人は涙ながらに別れを告げる。庫狄瑠璃は、自らが刺繍した巾著を武媚娘に贈り、決意に満ちた表情で咸池殿を後にした。

競技では、庫狄瑠璃のシンプルながら気品のある白い衣裳が太妃(たいひ)たちの支持を得る。卓錦娘(たくきんじょう)の衣裳はより華麗だったが、庫狄瑠璃の作品に込められた想いと言葉は、観客の心を深く打った。

第32話の感想

第32話は、愛、犠牲、そして野心が交錯する回でした。武媚娘は、李世民(りせいみん)への忠誠を示すために髪を切るという決断をし、その強い意誌に心を打たれました。一方、卓錦娘(たくきんじょう)は勝利のために手段を選ばず、阿碧(あおび)を使って庫狄瑠璃の動向を探るなど、陰湿な一面が垣間見えました。

李治(りち)と武媚娘の別れは、切なくも美しいシーンでした。李治(りち)の武媚娘への愛情と、武媚娘の李治(りち)への忠誠が伝わってくる場面でした。また、庫狄瑠璃と武媚娘の友情も感動的でした。武媚娘は、庫狄瑠璃の夢を応援し、庫狄瑠璃は武媚娘の出家を決意した理由を理解し、お互いを尊重し合う姿に感動しました。

競技では、庫狄瑠璃のシンプルな白い衣裳が太妃(たいひ)たちの支持を得て、勝利を収めました。卓錦娘(たくきんじょう)の華麗な衣裳も素晴らしかったですが、庫狄瑠璃の作品に込められた想いと言葉が、観客の心をより深く打ったのだと思います。

つづく