風起花抄~宮廷に咲く瑠璃(るり)色の恋~ 第41話 あらすじ/ネタバレ

夜が更けるにつれ、王内侍(おうないし)は重苦しい表情で李治(りち)の寝宮に入ると、庫狄瑠璃(るり)の病状を静かに報告した。毒はすでに彼女の心臓に深く浸透しており、毒薬丸を飲み続けることで辛うじて命を繋いでいるという。李治(りち)はそれを聞いて驚き、裴行倹(はいこうけん)への期待を露わにした。

裴行倹(はいこうけん)は知らせを受けると、すぐに馬に鞭を打ち、昼夜を問わず伝説の絶壁へと向かった。命を救う薬草を手に入れるためだ。

一方、孫徳成(そんとくせい)と小順子(しょう じゅんし)は心配のあまり庫狄瑠璃(るり)を見舞おうとするが、王内侍(おうないし)に強く阻止される。孫徳成(そんとくせい)は自分の意見を曲げず、ついに庫狄瑠璃(るり)が李治(りち)によって密かに後宮の寝殿に移されたことを知る。さらに、李治(りち)は彼女に深い愛情を抱いており、病気がなければすでに妃に冊封されていたということも聞いた。二人は顔を見合わせ、裴行倹(はいこうけん)と庫狄瑠璃(るり)の縁を心配する。

庫狄瑠璃(るり)は昏睡状態の中で、裴行倹(はいこうけん)の名前を繰り返し呼んでいた。宮女と王内侍(おうないし)はそれを聞いて驚愕する。李治(りち)は自ら見舞いに訪れ、瑠璃(るり)の身の上を尋ねると、彼女を憐れみ、父親である庫狄延忠(くちょくえんちゅう)に官職を与えることで、名正言順に瑠璃(るり)を後宮に迎え入れようとする。しかし、瑠璃(るり)は夢の中で「裴行倹(はいこうけん)」と繰り返し呟き、李治(りち)は愕然とする。王内侍(おうないし)は慌てて説明するが、李治(りち)は瑠璃(るり)の胸に掛かっているペンダントが裴行倹(はいこうけん)のものだと気づき、怒りのあまりそれを奪い取ってしまう。

王内侍(おうないし)は、裴行倹(はいこうけん)が怪我をした時に「玉児」と呼んでいたことを思い出し、李治(りち)は庫狄瑠璃(るり)がその「玉児」であることに気づく。その頃、裴行倹(はいこうけん)は絶壁の上で雨に打たれながら、命を救う雷公藤を手に入れるために必死に登っていた。風雨の中、彼は幾多の困難を乗り越えてついに藤の元にたどり著くが、誤って崖から転落し、生死不明となる。

皇宮では、李世民(りせいみん)の崩御の知らせが晴天の霹靂のように響き渡り、李治(りち)が即位する。武媚娘(ぶびじょう)は感業寺に出家することを決意する。

それから一ヶ月後、裴行倹(はいこうけん)は全身に傷を負い、疲れ果てた状態で戻ってきた。手にしたのは絶壁の雷公藤だが、庫狄瑠璃(るり)の姿はどこにもなかった。彼は急いで王内侍(おうないし)に尋ねると、瑠璃が李治(りち)に後宮に迎え入れられ、回復後に妃に冊封されることを知る。裴行倹(はいこうけん)は心を痛めながらも、老薬師と共に解毒剤の調合を手伝う。

庫狄瑠璃は解毒剤のおかげで徐々に回復し、ついに意識を取り戻す。李治(りち)は喜び勇んで駆けつけるが、孫徳成(そんとくせい)と小順子(しょう じゅんし)に先を越されてしまう。李治(りち)はなんとか二人を追い払い、瑠璃の手を握りしめて感謝の気持ちを伝える。しかし、瑠璃は功績をすべて裴行倹(はいこうけん)に帰し、彼への褒美を懇願する。さらに、感業寺で武媚娘(ぶびじょう)に付き添いたいと申し出るとともに、尚服(しょうふく)局に復帰したいと希望する。李治は彼女の気持ちを理解し、その願いを聞き入れる。

実は、庫狄瑠璃はすでに孫徳成(そんとくせい)から李治が妃を冊封しようとしていることを聞いていた。彼女は裴行倹(はいこうけん)のことを想い、宮廷の争いから身を引く決意をしたのだ。李治は落胆するが、酒を飲んで憂さを晴らしていると、窓の外に一羽の鳩が飛んでくる。それは彼と武媚娘(ぶびじょう)が一緒に助けた「宝児(ほうじ)」だった。李治は武媚娘(ぶびじょう)への深い想いと、過ぎ去った歳月への限りない感慨に浸る。

第41話の感想

第41話は、緊張感と感動が交錯する素晴らしいエピソードでした。特に、庫狄瑠璃と裴行倹(はいこうけん)の切ない恋模様は、視聴者の心を大きく揺さぶりました。

瑠璃の病状が悪化し、絶壁の雷公藤を手に入れるために命を懸ける裴行倹(はいこうけん)の姿は、まさに命を懸けた愛の証でした。しかし、瑠璃は李治の妃になることを拒み、裴行倹(はいこうけん)との未来を選びます。二人の強い絆と、宮廷のしがらみに囚われない自由な生き方への憧れが、視聴者に深い感動を与えました。

また、李治の複雑な心情も描かれていました。瑠璃への愛情と、皇帝としての責任の板挟みになる李治の姿は、共感を呼ぶものでした。最終的に、李治は瑠璃の気持ちを尊重し、彼女を解放することを決意します。

つづく