風起花抄~宮廷に咲く瑠璃(るり)色の恋~ 第43話 あらすじ/ネタバレ

夜幕が降り、激しい雷雨が宮廷を包み込む。庫狄瑠璃(るり)の心は、荒れ狂う天気のように複雑に揺れ動いていた。彼女の住まいは明々と灯がともり、鄧七娘(とうしちじょう)は裴行倹(はいこうけん)が今夜そこに泊まっていることを察する。一方、山の上では裴行倹(はいこうけん)が微かだが力強い灯火を見上げ、二人は山を隔てていても心は繋がっていた。

降り続く豪雨は山洪を引き起こし、激流が猛獣のように山を下って行く。庫狄瑠璃(るり)は心を痛め、すぐに人々を集めて鉄の皿を叩き、独特の方法で山下に警報を送った。彼女は雨の中を裴行倹(はいこうけん)のもとへ駆けつけようと必死だったが、鄧七娘(とうしちじょう)はそれを必死に止めようとする。しかし、彼女の決意は固かった。雨の中、庫狄瑠璃(るり)はよろめきながら進み、転倒しそうになった瞬間、裴行倹(はいこうけん)が神のように現れ、彼女をしっかりと抱き止めた。二人は雨の中で強く抱き合い、全ての心配と恐怖がこの瞬間消え去った。

同じ頃、武昭儀(ぶしょうぎ)と李治(りち)は山洪で眠りから覚め、寝殿はすでに荒れ果てていた。裴行倹(はいこうけん)がいないことを知った李治(りち)は、彼が庫狄瑠璃(るり)を連れて逃げたと勘違いし、不安に駆られていた。その時、泥だらけの裴行倹(はいこうけん)が駆けつけ、庫狄瑠璃(るり)は山の上で木炭に火をつけ、人々に方向を示した。この光景に心を打たれた李治(りち)は、人々を山の上へ避難させることを決意し、裴行倹(はいこうけん)は彼を寸時も離れず守り、無事に脱出に成功した。

脱出後、李治(りち)の心は複雑だった。彼は庫狄瑠璃(るり)を呼び出し、功績を称えて褒美を与えようとしたが、彼女が名声や利益を求めていないことに気づく。李治(りち)は彼女の決意を知り、万感の思いを抱きながらも、裴行倹(はいこうけん)との幸せを葉えてあげようと決めた。庫狄瑠璃(るり)は皇宮を離れ、愛する人と共に暮らせることに喜び、涙ながらに感謝の意を表した。李治(りち)は彼女に多額の財産を与え、意味深い玉佩を返し、彼女を見送った。その目は、過ぎ去った日々への懐かしさと未来への祝福に満ちていた。

武昭儀(ぶしょうぎ)は静かにその様子を見守り、優しい微咲みを浮かべて立ち去った。皇宮の外では、庫狄瑠璃(るり)と裴行倹(はいこうけん)がついに再会し、固く抱き合い、永遠の愛を誓い合った。裴行倹(はいこうけん)は自分が不運な星の下に生まれたと自嘲するが、庫狄瑠璃(るり)はどんな困難があっても彼と共に歩んでいくと決意した。

その後、裴行倹(はいこうけん)は庫狄瑠璃(るり)を連れて蘇定方(そていほう)夫妻を訪ね、結婚式の準備を依頼した。于夫人(うふじん)は週到に考え、不必要なトラブルを避けるために、庫狄瑠璃(るり)をしばらく自分の家に住まわせることを提案した。しかし、裴行倹(はいこうけん)の過去の傷、亡き妻陸琪娘(りくきじょう)の悲劇について語られた時、庫狄瑠璃の心は大きく揺れた。陸琪娘(りくきじょう)の死の背後には、複雑な家族の争いと陰謀が隠されており、臨海(りんかい)長公主の介入によって裴行倹(はいこうけん)は長年汚名を著せられていたのだ。

真実を知った庫狄瑠璃は、後退するどころか、裴行倹(はいこうけん)と共に歩んでいく決意をさらに強くした。于夫人(うふじん)はその様子を見て、庫狄瑠璃を養女として迎え、盛大な結婚式を挙げてあげると約束した。庫狄瑠璃は感激し、未来への憧れと希望に満ち溢れていた。

一方、臨海(りんかい)長公主は裴行倹(はいこうけん)と庫狄瑠璃の結婚を知り、嫉妬と不快感を抱き、密かに妨害を企てた。しかし、愛と正義の力の前では、どんな陰謀も決して成功しない。庫狄瑠璃と裴行倹(はいこうけん)の愛は、嵐の中の灯台のように、お互いの道を照らし、週りの人々の心を温めた。

第43話の感想

第43話は、まさに“風雨同舟”というタイトルにふさわしい、感動的な展開でした。庫狄瑠璃と裴行倹(はいこうけん)の揺るぎない愛と、李治(りち)の心の成長が描かれ、見ていて胸が熱くなりました。

特に印象に残ったのは、山洪の中での庫狄瑠璃と裴行倹(はいこうけん)の再会シーンです。激流の中、必死に駆け寄る庫狄瑠璃と、彼女をしっかりと抱き止める裴行倹(はいこうけん)の姿は、まさに運命の赤い糸で結ばれた二人の強い絆を象徴していました。

また、李治(りち)の成長も大きな見どころでした。当初は誤解から庫狄瑠璃と裴行倹(はいこうけん)を疑っていましたが、彼らの真意を知り、最終的には二人の幸せを応援する姿に、人間としての器の大きさが感じられました。

そして、忘れてはならないのが、于夫人(うふじん)の温かさです。庫狄瑠璃を養女として迎え、盛大な結婚式を挙げてあげようとする姿は、まさに母のような包容力を感じさせました。

つづく