大理寺日誌~謎を解く少卿には秘密がある~ 第10話 あらすじ/ネタバレ
大理寺の朝、窓から差し込む陽光が慌ただしい厨房を照らす。陳拾は、即将離れる親友である王七(おうしち)のために、香ばしい豚肉包子を用意し、特別な送別宴を催した。王七(おうしち)は目を潤ませながら、一口一口包子を噛みしめるように、仲間たちと過ごした日々を噛みしめ、最後に陳拾と固く抱き合って、惜しみながら別れを告げた。
王七(おうしち)の姿が見えなくなると、孫豹(まがたま)と阿裏巴巴が部屋から出てきた。彼らは、王七(おうしち)の離別が陳拾にとって大きな打撃であることを知り、「王七(おうしち)は遠くへ行ったわけではない。大理寺の向かいの新居にいるので、いつでも会える」と慰めた。陳拾は感動すると同時に、以前の大盤振る舞いを悔やんだ。阿裏巴巴はそれに気づき、咲顔で数枚の銀貨を渡して、陳拾を少しばかり補償した。
一方、崔倍(ついばい)は員外郎(いんがいろう)家の書籍収集任務に追われていた。彼は任務を迅速に完瞭させ、書籍を李餅に渡すと、公文を閲覧するふりをして近づいた。李餅の機の上には、少卿の印鑑が押されていない文書が静かに置かれていた。それは、王七の去就に関する裁撤令だった。崔倍(ついばい)はそれを目にして、王七の功績と大理寺の現在の多忙さを理由に、熱心に王七のために情状酌量を訴えた。李餅はそれを聞いて、重々しく頷き、心中に決めた様子だった。
夜が訪れ、大理寺の牢獄で異常事態が発生した。一枝花(ひとはな)は幽霊のように忍び寄り、幻術で看守を操り、簡単に牢獄の鍵を手に入れた。彼女は泥瓦匠がいる場所へ直行し、ゲームの名目で彼を藁の山に押し倒し、謎の対決が始まった。
一方、陳拾は王七への想いを胸に、李餅に檀香を届けた。雑談の中で、彼は王七の退職の知らせを漏らし、落胆した様子を見せた。李餅は、員外郎(いんがいろう)事件のもう一つの謎を明かした。泥瓦匠の殺人の動機は不明であり、何かを探しているようだった。彼は、員外郎(いんがいろう)が刑部から持ち帰った未湿巻宗と「一枝花(ひとはな)」の三文字が関係しているのではないかと推測し、事件の背後にさらに深い秘密が隠されていることを示唆した。
二人がさらに詳しく話し合っていると、窓の外に人影がちらつき、すぐに歯を包んだハンカチがそっと入り口に置かれた。李餅は不吉な予感がして、牢獄に行って確認しようとしたが、邱慶之に遮られた。邱慶之は大理寺の名のもとに、員外郎(いんがいろう)の容疑者を尋問することを要求した。二人が言い争っている間に、泥瓦匠が獄中で殺害されたという知らせが入った。
現場に駆けつけた邱慶之は、泥瓦匠の体からもう一枚のハンカチを発見した。それを李餅が持っていたハンカチと合わせると、なんと異邦の文字だった。幸いなことに、阿裏巴巴は胡語に精通しており、そこから隠された場所「奴隷キャンプ」を解読した。邱慶之は急いで立ち去り、李餅は密かに後を追って、すべての謎を解き明かそうと決意した。
奴隷キャンプの前で、李餅は邱慶之を製止し、二人の間の緊張が高まった。李餅は昔を振り返り、邱慶之が奴隷キャンプの逃亡者であったこと、そして自分と父親がどのようにして彼を解放したかを明かした。しかし、邱慶之は李家父子の「約束違仮」を根に持っており、心の中の恨みは雑草のように伸び放題だった。
その時、一枝花(ひとはな)が現れ、決闘で秘密を交換することを条件に提案した。李餅は力不足を感じながらも、一枝花(ひとはな)の言葉で自分の特殊能力が関係していることに気づき、邱慶之も彼女に操られていることに気づいた。忠誠、裏切り、救済をめぐる戦いが、奴隷キャンプの夜色の中で静かに幕を開けた。
第10話の感想
第10話は、大理寺日誌のストーリーが大きく展開する重要な回でした。王七の離別、泥瓦匠の殺害、そして邱慶之の過去が明らかになり、物語は新たな局面を迎えたと言えるでしょう。
特に印象に残ったのは、李餅と邱慶之の対峙シーンです。二人はかつて助け合った間柄でありながら、今は敵対する立場にあり、その複雑な感情が伝わってきました。また、一枝花(ひとはな)の登場も物語をさらに盛り上げました。彼女の目的はまだ不明ですが、李餅との関係や特殊能力が今後の展開に大きく影響してくることは間違いありません。
つづく