三国誌 秘密の皇帝 第40話 あらすじ/ネタバレ
夜幕が下りる盧龍城。城壁を巡る劉平(りゅうへい)は、守備兵たちの不安を察知する。彼は毅然と前に立ち、落ち著き払った声で兵士たちを励ます。「諸君、心配するな。盧龍は堅固だ。我ら心を一つにすれば、必ず雲開月明の日が来る。」兵士たちは顔を見合わせ、わずかに希望の光が宿るが、それでも「郭嘉(かくか)先生の言葉があれば士気は上がるだろう」と進言する者もいた。劉平(りゅうへい)は心の中で考えを巡らせるが、多くを語らなかった。
その頃、伏寿(ふくじゅ)が密かに訪ねてくる。二人は城楼の上で対策を練る。劉平(りゅうへい)は「激戦は避けられないが、盧龍は重要拠点だ。ここを守り抜けば、援軍は必ず来る」と断言する。鮮卑(せんぴ)の情勢について、伏寿(ふくじゅ)はため息をつき、先帝の遺訓であることを告げる。そして、彼女は憂慮の表情を浮かべ「荀令君(れいくん)には虎符がない。曹操(そうそう)は多疑な人物で、兵を動かすのは難しいだろう」と話す。しかし劉平(りゅうへい)は自信に満ちた様子で、司馬懿(しばい)が荀彧(じゅんいく)を説得できると信じ、伏寿(ふくじゅ)の手を握りしめ、共に困難に立ち向かうことを誓う。
一方、曹植(そうしょく)は武将たちと敵を破る策を練り、自ら危険を冒して敵をおびき寄せ、劉平(りゅうへい)たちに逃げる時間を稼ぐことを決意する。それを聞いた劉平(りゅうへい)は駆けつけ、強く拒否し、共に戦うことを主張する。曹植(そうしょく)の意誌は固く、漢室の血筋を守ることを誓い、劉平(りゅうへい)も彼の決意を覆すことはできなかった。伏寿(ふくじゅ)と曹節(そうせつ)が言葉を交わす中、曹節(そうせつ)も決意を表明する。曹植(そうしょく)に万一のことがあれば、自分が盧龍を守る重責を担うと。
崔琰(さいえん)は荀彧(じゅんいく)を探し出し、援軍について相談する。虎符がないことに悩む荀彧(じゅんいく)のもとに、司馬懿(しばい)が偽造した虎符を持って現れ、利害関係を説き、ついに荀彧(じゅんいく)を説得する。司馬懿(しばい)は自ら出陣することを誌願し、兵を率いて救援に向かうことを誓う。崔琰(さいえん)は協力し、鄴城に手紙を送り、賈詡(かく)も快く馬を贈り、兵馬の問題は解決した。
伏寿(ふくじゅ)は劉平(りゅうへい)のために天子冠冕を用意し、二人で身分を隠すのをやめて、天子として士気を高めることを決意する。劉平(りゅうへい)は朝服を身にまとい、軍営に入ると、その威厳と決意は瞬く間に兵士たちの闘誌に火をつけた。城外の鮮卑(せんぴ)軍はそれを聞きつけ、天子を捕らえようと蠢動する。
曹植(そうしょく)は劉平(りゅうへい)に鎧を贈り、共に戦場に向かうことを誓う。兄弟の情は深い。一方、許都(きょと)の唐瑛(とうえい)も司馬懿(しばい)を見送る。深い愛情を感じた司馬懿(しばい)は、無事に帰還することを約束する。崔琰(さいえん)が同行を希望するが、身元がばれることを恐れた司馬懿(しばい)に止められる。楊修(ようしゅう)の冷やかしに、司馬懿(しばい)は一咲に付し、心の中では使命だけを考えていた。
出陣前夜、司馬懿(しばい)は全軍を鼓舞し、必ず勝利すると誓う。そして、弘農(こうのう)王妃唐瑛(とうえい)の名の下に三軍に褒美を与え、士気は高まる。一方、劉平(りゅうへい)は城内で伏寿(ふくじゅ)と夕食を共にする。二人は今夜の別れが永遠のものになるかもしれないことを悟り、深く抱き合い、合衾酒を飲み幹す。窓の外で曹節(そうせつ)は二人を黙って見守り、複雑な気持ちに包まれる。
夜が深まり、盧龍城内外で両軍が対峙(たいじ)する。生死をかけた大戦の幕が切って落とされようとしていた。そして、この緊迫した状況の中で、城内の守備も城外の救援も、それぞれが信念と責任のために奮闘する。
第40話感想
第40話は、緊迫感と感動が交錯する素晴らしいエピソードでした。盧龍城の攻防戦は、まさに死闘であり、登場人物たちの決意と覚悟がひしひしと伝わってきました。
劉平(りゅうへい)は、天子としての威厳と勇気を示し、兵士たちを鼓舞しました。また、伏寿(ふくじゅ)との絆も深まり、二人の強い意誌が印象的でした。曹植(そうしょく)もまた、漢室への忠義と兄弟愛に貫かれた行動で心を打たれました。
特に印象に残ったのは、劉平(りゅうへい)と伏寿(ふくじゅ)が合衾酒を酌み交わすシーンです。二人の強い絆と、死をも覚悟した決意が伝わってきて、涙なしには見られませんでした。
また、司馬懿(しばい)の活躍も見逃せません。偽の虎符を使って荀彧(じゅんいく)を説得し、援軍を率いて駆けつける姿は、まさに英雄そのものでした。
つづく