三国誌 秘密の皇帝 第49話 あらすじ/ネタバレ

夜が更けていく中、劉平(りゅうへい)は庭に佇み、唐瑛(とうえい)の死を深く悼んでいた。自責と内疚が彼の心を蝕み、すべての悲劇は自分のせいで起こったと考えるようになっていた。司馬懿(しばい)の怒りに満ちた顔が脳裏に浮かび、心の波はいつまでも静まることはなかった。伏寿(ふくじゅ)はそっと近づき、優しい眼差しと柔らかな動きで彼に外套を著せ、「これはあなたのせいではありません。もし私が唐瑛(とうえい)の立場だったら、同じ選択をしたでしょう」と慰めた。劉平(りゅうへい)は彼女の言葉に心が温まり、「もしそんな日が来たら、私はあなたを傷つけたりはしません。それは私を殺すよりも辛いことです」と力強く答えた。

一方、ついに望みを葉えた曹丕(そうひ)は、王越(おうえつ)から贈られた剣を土に埋め、王氏の剣術とその過去の恩怨に別れを告げた。しかし、シャベルが折れ、手に血が滲むと、再び狂気の淵に陥ってしまう。過去の影は容易には消えないようだ。

朝堂では、劉平(りゅうへい)は曹仁(そうじん)の王妃殺害事件を公開で審理した。曹操(そうそう)との約束に基づき、曹仁(そうじん)には降格と俸給の削減という軽い罰を与えただけだった。この決定はすぐに朝臣たちの議論を呼び起こし、罰が軽すぎるとの声が上がった。続いて、劉平(りゅうへい)は曹操(そうそう)を魏公に封じ、鄴城を封地とし、曹丕(そうひ)を五官中郎将に昇進させ、丞相の副官を兼任させた。この決定に孔融(こうゆう)らは驚き、撤回を求めたが、劉平(りゅうへい)は自分の意見を曲げず、仮対を押し切った。楊修(ようしゅう)は曹操(そうそう)が鄴城を封じられたことで、実質的に他の諸侯と変わりなくなり、天子を擁して諸侯を支配するという優位性を失ったことを理解していた。しかし、曹操(そうそう)は淡々と「このような天子がいらっしゃるのは、天下の幸いでございます」と答えた。

曹丕(そうひ)は興奮気味に朝堂での出来事を司馬懿(しばい)に報告したが、司馬懿(しばい)は悲しみのあまり2日間何も食べていないことを知った。伏完(ふくかん)らの不満と闇流が渦巻く情勢の中、曹丕(そうひ)は司馬懿(しばい)に助けを求めた。司馬懿(しばい)は冷笑し、漢の残党を一人残らず排除すると誓った。伏完(ふくかん)は劉平(りゅうへい)の妥協に怒り、唐瑛(とうえい)の犠牲を無駄にしたとして、曹操(そうそう)が辞任する際に兵変を起こすことを決意した。司馬懿(しばい)は彼の計画を見抜き、直接警告した。伏完(ふくかん)は表面上は知らないふりをするが、内心ではすべてを理解していた。

伏寿(ふくじゅ)は父の安否を心配し、裏帰りという名目で実家を訪れた。父娘は食卓を囲み、家常菜を食べながら、伏寿(ふくじゅ)は父に復讐を諦め、目の前の平和と安寧を大切にするよう説得しようとした。しかし、伏完(ふくかん)の決意は固く、曹操(そうそう)を倒すことを誓っていた。

曹丕(そうひ)は伏完(ふくかん)の計画を司馬懿(しばい)に伝え、司馬懿(しばい)は楊修(ようしゅう)に情報を漏らし、曹家の警戒心を煽った。曹植(そうしょく)は伏完(ふくかん)の計画を知ると、劉平(りゅうへい)に会いに行き、この災難を阻止してほしいと懇願した。しかし、すべては手遅れだった。伏完(ふくかん)は曹操(そうそう)に殺され、伏寿(ふくじゅ)が駆けつけた時には父の冷たくなった遺体しか残っていなかった。劉平(りゅうへい)は怒りに満ちて司馬懿(しばい)を問い詰めたが、司馬懿(しばい)は淡々と功績を報告した。曹操(そうそう)はこれを理由に伏寿(ふくじゅ)を冷宮に幽閉し、曹植(そうしょく)を勝手に宮殿に入れた者たちを厳罰に処した。曹植(そうしょく)は情けを請うたが、父の決意を変えることはできなかった。

この夜、権力闘争が再び繰り広げられ、忠誠と裏切り、犠牲と復讐が複雑に絡み合い、硝煙のない戦いで、誰もが自分の信念と立場のために戦っていた。

第49話の感想

第49話は、悲しみと怒り、そして複雑な人間模様が描かれた、非常に印象的なエピソードでした。

劉平(りゅうへい)は、唐瑛(とうえい)の死を深く悼み、自責の念に駆られていました。しかし、伏寿(ふくじゅ)の慰めにより、立ち直ろうとする姿が印象的でした。

一方、曹丕(そうひ)はついに望みを葉え、権力を手中にしました。しかし、過去の影に苦しめられ、狂気に陥る様子が描かれていました。

また、伏完(ふくかん)の復讐心と、それを阻止しようとする伏寿(ふくじゅ)の葛藤が描かれ、切ない気持ちになりました。

そして、曹操(そうそう)の冷酷さと、楊修(ようしゅう)の策略が明らかになり、この物語がさらに複雑化していくことが示唆されました。

つづく