尚食(しょうしょく)~美味なる恋は紫禁城で~ 第33話 あらすじ/ネタバレ

雪に覆われた宮殿の壁を背に、紫萍は喜びに満ちた表情で永寧宮へと向かいます。姚子衿(ようしきん)と一緒に雪景色を楽しみたいと思ったからです。しかし、姚子衿(ようしきん)はいつものように沈黙したままでした。宮中では噂が飛び交い、各宮の妃嬪たちは姚子衿(ようしきん)を笑わせたり、一言でも話させようと必死に知恵を絞りましたが、誰も成功しませんでした。

朱瞻基(しゅせんき)は反乱を鎮圧して宮殿に戻る途中、幼い頃から共に過ごしてきた雄鷹を放ちました。それは自由と解放の象徴でした。游一帆(ゆういつはん)は密かに、漢王が彰德と頻繁に接触しており、趙王を味方につけようと企んでいるらしいと報告します。しかし、朱瞻基(しゅせんき)は趙王を信用していました。趙王はかつて災害救済のために惜しみなく財を投じており、もし本当に反意があれば食料を備蓄しているはずだからです。そのため、朱瞻基(しゅせんき)は趙王に反意はないと断言しました。

宮殿に戻った朱瞻基(しゅせんき)はすぐに姚子衿(ようしきん)を訪ねますが、彼女の沈黙に困惑します。最初は寵愛を失った後のプライドによるものだと思っていましたが、あまりにも長く続くため、心中に疑問が募ります。陳蕪(ちんぶ)はひそかに、姚子衿(ようしきん)が彭城伯府に半年ほど連れ去られていたことがあり、何か心に触れることがあったのではないかと打ち明けます。しかも、この件は太后に関わることであり、宮中ではタブー視されていました。

蚕の飼育がうまくいかなかった太后は、皇后と姚子衿(ようしきん)の近況を尋ねます。胡皇后が病に伏していること、姚子衿(ようしきん)が禁足処分を受けていることを知った太后は、姚子衿(ようしきん)を呼び寄せます。太后に対しても姚子衿(ようしきん)は口を閉ざしたままでした。太后は彼女が恨みを抱いているのではないかと推測し、江山社稷の重さを説いて、後宮の責任を担い、朱瞻基(しゅせんき)の賢い内助となるよう諭します。姚子衿(ようしきん)は太后的言葉を聞いて心が解け始め、永寧宮に戻ると紫萍に心境を打ち明けます。紫萍は扇貝を使って、姚子衿(ようしきん)の気持ちを巧みに朱瞻基(しゅせんき)に伝えます。

真実を悟った朱瞻基(しゅせんき)は急いで永寧宮に戻り、姚子衿(ようしきん)が失語症であることを知って自責の念に駆られます。盛太医は姚子衿(ようしきん)の失語症は心の病が原因だと診断します。朱瞻基(しゅせんき)は姚子衿(ようしきん)の幼い頃の経験と最近の禁足処分が関係しているのではないかと推測します。誤解が解けたことで、朱瞻基(しゅせんき)は姚子衿(ようしきん)への愛情がさらに深まります。

真実を知った紫萍は涙を流し、友人の苦しみに気づけなかったことを悔やみます。姚子衿(ようしきん)は優しく紫萍を慰め、徐々に声を取り戻し、紫萍に経緯を詳しく話します。姚子衿(ようしきん)が沈黙を選んだのは、失語症の身では宮中で生き残れないのではないかと恐れていたからです。しかし、太后的言葉によって母儀天下の温情と責任を感じ、心のわだかまりが解けました。

この波乱を経験したことで、姚子衿(ようしきん)はより強い精神力を身につけます。かつて書苑で純真だった少女は、宮廷で生き抜く術を学びました。姚子衿(ようしきん)は月華と孟尚宮を呼び出し、真実を明かし、月華を厳罰に処そうとしますが、孟尚宮が自分の指を切って月華をかばいます。孟尚宮は生涯をかけて女官の地位向上に尽力してきましたが、指導を誤ったことを悟り、自らの罪を償うために冷宮に入る決意をします。含英は恩師の犠牲を目の当たりにして、悲しみに暮れます。

游一帆(ゆういつはん)は朱瞻基(しゅせんき)に金糸の鎧を贈りますが、姚子衿(ようしきん)はかつて游一帆(ゆういつはん)が朱高熾(しゅこうち)に贈った豪華な贈り物と比べて、この贈り物が少し質素に感じます。これは宮廷内外の人間関係と権力闘争の複雑さを反映しています。

第33話感想

第33話では、姚子衿(ようしきん)の失語症が明らかになり、大きな衝撃を受けました。宮廷という閉ざされた世界で、自分の気持ちを言葉で表現できない苦しみは想像を絶します。しかし、姚子衿(ようしきん)は沈黙によって自分の意志を伝えようと試み、周囲の人々も彼女の真意を理解しようと必死に努力する姿に感動しました。

特に、紫萍の献身的なサポートと朱瞻基(しゅせんき)の深い愛情には胸を打たれました。姚子衿(ようしきん)の失語症を克服するために、紫萍は扇貝を使って巧妙にメッセージを伝え、朱瞻基(しゅせんき)は姚子衿(ようしきん)の心の傷を癒すためにあらゆる手段を尽くします。彼らの揺るぎない絆は、どんな困難にも立ち向かうことができるという希望を与えてくれました。

また、孟尚宮の自責の念と含英の悲しみには心を痛めました。孟尚宮は指導を誤ったことを悔やみ、自らの罪を償うために冷宮に入る決意をします。含英は恩師の犠牲を目の当たりにして、深い悲しみに暮れます。このシーンは、宮廷という権力闘争の渦中で、人間関係の複雑さを改めて感じさせられました。

つづく