玉骨遥 第29話 あらすじ/ネタバレ

朱顔(しゅがん)は止淵(しえん)からの伝言を受け取り、疑問を抱えたまま急いで会いに行った。朱顔(しゅがん)の率直な質問に、止淵(しえん)は回避することなく、自分が海皇(かいこう)であることを認めた。朱顔(しゅがん)は驚きを隠せなかったが、止淵(しえん)への信頼から、時影(じえい)師匠に正直に打ち明けるよう説得した。そうすれば、両族の誤解を解き、戦火を鎮めることができると信じていた。止淵(しえん)は朱顔(しゅがん)の誠実さに打たれ、彼女の提案を受け入れ、さらに小さなお願いをした。

その後、止淵(しえん)は朱顔(しゅがん)を連れて蘇摩(そま)を見舞った。この出会いで、朱顔(しゅがん)は魚姫(ぎょき)と息子が霍図(フォトゥ)部で逃した縁を知り、彼らを保護できなかったことを深く後悔した。蘇摩(そま)は病に苦しみ、高熱で倒れており、心脈を維持するために霊力が必要だった。人魚である止淵(しえん)は空桑(くうそう)の術法を直接使うことができず、朱顔(しゅがん)の力に頼って蘇摩(そま)の病状を安定させるしかなかった。朱顔(しゅがん)の細やかな手当てにより、蘇摩(そま)の容態は徐々に回復し、朱顔(しゅがん)は進んで彼の世話をすることを申し出た。これにより、止淵(しえん)は心から感謝した。

しかし、止淵(しえん)は蘇摩(そま)の特殊な立場と危険性を理解しており、朱顔(しゅがん)に秘密を守るように懇願した。蘇摩(そま)と自分の正体を明かせば、朱顔(しゅがん)に不必要なトラブルが及ぶ恐れがあった。如意(にょい)は蘇摩(そま)を空桑(くうそう)人に渡したくなかったが、人魚の長老たちが蘇摩(そま)の存在を知れば、彼を利用して不利な状況に陥れることは明らかだった。そこで、止淵(しえん)は朱顔(しゅがん)を蘇摩(そま)の一時的な保護者にすることにした。たとえ将来バレても、時影(じえい)は朱顔の面目を立てて、寛大な処置をしてくれるかもしれないと考えた。

蘇摩(そま)が目を覚ますと、止淵(しえん)と朱顔に対して警戒と不信感を抱き、この場所から逃げ出そうとした。朱顔は過去の誤解を説明し、彼らの母子を保護できなかったことを認め、命を大切にして、簡単に諦めないように懇願した。朱顔の努力により、蘇摩(そま)の気持ちは落ち著きを取り戻した。

しかし、蘇摩(そま)は朱顔の屋敷に長く留まることはできなかった。彼は隙を見て屋敷から逃げ出し、驍騎軍に捕まってしまった。驍騎軍は人魚を全市で捜索しており、蘇摩の命は危機に瀕していた。知らせを受けた朱顔はすぐに白府に向かい、白風麟(はくふうりん)の力を借りて蘇摩を救出しようとした。しかし、白風麟(はくふうりん)は原則を曲げず、海国(かいこく)軍と関係のある人魚を解放することを拒否した。やむを得ず、朱顔は蘇摩を強引に連れ去った。

一方、止淵(しえん)は時影(じえい)を説得しようと努力していた。彼は空桑(くうそう)と人魚族の現状を分析し、人魚族を復興させ、両族が共存共栄することで、雲荒(うんこう)の繁栄を取り戻せると主張した。時影(じえい)は預言で海皇(かいこう)が空桑(くうそう)を滅ぼすという予言を気にしていたが、最終的には止淵(しえん)の誠実さと先見性に心を打たれ、1ヶ月以内に両軍を撤退させることに同意した。

時影(じえい)の屋敷では、止淵と重明(ちょうめい)の緊張関係が続いていた。しかし、止淵は自分の知恵と誠意で重明(ちょうめい)の疑念を解きほぐすことに成功した。時影(じえい)との深い会話は、2人が互いに尊敬し合い、信頼できる友人であることを認識させた。

止淵は如意(にょい)を連れて人魚族に戻ると、空桑(くうそう)での見聞を活かして海国(かいこく)軍の撤退を説得した。同時に、時影(じえい)に海皇(かいこう)の居場所を伝え、これをきっかけに両族の和平交渉を進めた。時影(じえい)は九嶷(きゅうぎ)山少司命(しょうしめい)として北冕(ほくべん)帝に謁見し、空桑(くうそう)軍の撤退を要請した。朝臣の仮対や青(せい)王の疑問に直面した時影(じえい)は、知恵と勇気をもって氷族(ひょうぞく)の浸透陰謀を暴き、最終的に北冕(ほくべん)帝の信頼と支持を得た。北冕(ほくべん)帝は撤退に同意し、時雨(じう)を撤退事務の責任者に任命した。

第29話の感想

第29話は、玉骨遥の物語が大きく動き出した重要な回でした。止淵と朱顔の絆が深まり、時影(じえい)と止淵の対立が緩和され、そして和平への道筋が示されました。

特に印象的だったのは、止淵が自分の立場と使命を背負いながら、空桑(くうそう)と鲛族の未来のために奔走する姿です。彼は自分の命を危険にさらしながらも、両族の理解と共存を目指し、諦めずに努力する姿に心を打たれました。

また、朱顔の優しさと強さも印象的でした。彼女は止淵を信じ、彼の秘密を守り、そして蘇摩の命を救うために尽力しました。彼女の勇気と行動力は、止淵を支え、物語を前に進める原動力となっていました。

つづく