宮廷の諍い女 第34話 あらすじ/ネタバレ

倚梅園の舞、情深き縁

春の気配が漂う宮廷で、甄嬛(しんけい)は週到な計画のもと、倚梅園で祈福の盛会を催します。夜のとばりが下り、月光が水面のように静かに広がる中、皇帝が花々の香りとろうそくの光に包まれた園に足を踏み入れると、視覚的な饗宴が静かに幕を開けます。

梅の木の下に佇む甄嬛(しんけい)の姿に、そよ風が吹き渡り、無数の蝶が彼女の優美さと才気に惹きつけられたかのように舞い上がり、息を呑むほどの美しさです。皇帝は目の前の光景に、言葉にできないほどの衝撃と傾倒の念を抱き、甄嬛(しんけい)はこの機会を捉えて皇帝の寵愛を勝ち取り、低迷から頂点への華(かひ)妃・年世蘭(としらん)麗(れい)嬪な転身を遂げます。

しかし、甄嬛(しんけい)は寵愛に溺れることなく、巧みに欲擒故縦の策を用い、数日間にわたって様々な理由をつけて皇帝の寵幸を拒みます。この行動は皇帝を遠ざけるどころか、かえって彼の好奇心と独占欲を掻き立て、甄嬛(しんけい)への寵愛はより一層深まります。皇帝は為す術もなく、私的に果郡王(かぐんおう)・允禮(いんれい)を呼び出して対策を相談します。

ところが、独身である果郡王(かぐんおう)・允禮(いんれい)は人心に通じており、皇帝の甄嬛(しんけい)に対する複雑な感情を言い当て、皇帝の心のわだかまりを解きほぐします。しかし、果郡王(かぐんおう)・允禮(いんれい)自身は、この恋が葉わぬことを悟り、心中に一抹の寂しさを抱きます。

一方、辺境では風雲急を告げ、準噶爾の使者が求婚の意思を携えて紫禁城にやってきます。皇帝は「攘外必先安内」の道理を熟知しており、婚姻策によって辺境を安定させることを決意し、先帝の遺した幼女である朝瑰公主(ちょうきこうしゅ)を準噶爾の可汗に嫁がせることにします。

この突然の事態に、甄嬛(しんけい)は機転と共感を示します。皇后に、心のこもった曹(そう)貴人に公主の嫁入り道具の準備を手伝ってもらうよう提案し、公主が遠く離れた異国に嫁ぐ前に少しでも故郷の温もりを感じてもらいたいと願います。皇后は甄嬛(しんけい)の影響力の増大を懸念しつつも、為す術がなく、密かに策を巡らせます。

曹(そう)貴人は、故郷を離れることになった朝瑰公主(ちょうきこうしゅ)の悲痛な姿を見て、複雑な思いに駆られます。しかし、運命は皮肉なもので、準噶爾の老可汗は朝瑰公主(ちょうきこうしゅ)を娶ってわずか3日後に急逝し、現地の慣習に従って、公主は老可汗の息子に嫁がざるを得なくなります。

甄嬛(しんけい)はこのことを知り、感慨深い思いにふけります。そして、この出来事を巧みに利用して、曹(そう)貴人に公主の近況を伝え、温宜公主(おんぎこうしゅ)の将来をちらつかせることで曹(そう)貴人の心の壁を崩し、今後の宮廷での布石を打ちます。

最終的に、甄嬛(しんけい)は家族の利益と個人的な感情の両方を考慮した上で、皇帝の碎玉軒への宿泊を承諾します。この行動は、宮廷における彼女の地位を固めるだけでなく、彼女自身の宮廷生活に新たな章を開くことになります。

第34話の感想

第34話は、甄嬛(しんけい)の策略と成長が描かれた見応えのあるエピソードでした。倚梅園での舞は、皇帝の心を掴むだけでなく、彼女の才気と美しさを宮廷中に知らしめることに成功しました。また、欲擒故縦の策は、皇帝の好奇心と独占欲を掻き立て、より一層の寵愛を獲得しました。

一方で、朝瑰公主(ちょうきこうしゅ)の悲劇は、宮廷の冷酷さを改めて浮き彫りにしました。甄嬛(しんけい)は公主を気遣い、曹(そう)貴人を味方に引き入れることに成功しましたが、公主の運命は残酷なものでした。この出来事は、甄嬛(しんけい)の心に大きな影響を与え、今後の展開に大きな影響を与えるでしょう。

第34話に登場したキャラクターは、それぞれに複雑な思惑を抱えています。甄嬛(しんけい)は権力を手に入れるために策略を巡らせ、皇帝は愛と野心を胸に抱え、果郡王(かぐんおう)・允禮(いんれい)は葉わぬ恋に苦しんでいます。皇后は甄嬛(しんけい)の台頭を警戒し、曹(そう)貴人は公主の運命に心を痛めています。

つづく