永遠の桃花~三生三世~ 第29話 あらすじ/ネタバレ

夜華(やか)の姿が桃花の樹の下に現れた。彼の歩みは重く、目には過ぎ去った日々への懐かしさと惜しみが浮かんでいた。彼はゆっくりと樹に近づき、幹をそっと撫でた。まるで素素(そそ)の息吹がまだそこに残っているかのように。

酔眼朦朧ながらも、白浅(はくせん)の心はざわついた。まさかここで夜華(やか)に再会するとは思っていなかった。

夜華(やか)は自分の思いに浸っており、白浅(はくせん)の存在に気づいていなかった。白浅(はくせん)は近づこうとしたが、この静けさを邪魔したくなかったため、そっと様子を伺っていた。すると、夜華(やか)が袖から玉佩を取り出した。その玉佩は、彼女が凡人だった頃、夜華(やか)から贈られた定情の品だった。夜華(やか)は玉佩を見つめ、苦い咲みを浮かべて、「素素(そそ)、元気でいるか?」と呟いた。

この光景は白浅(はくせん)の心に深く響いた。どんなに逃げても、夜華(やか)との感情の葛藤は骨の髄まで染み付いていることを悟った。彼女が姿を現そうとした瞬間、風が吹き、桃花が舞い散った。夜華(やか)も何かを感じ取ったようで、振り返ろうとした。白浅(はくせん)は慌てて呼びかけた。「夜華(やか)!」

夜華(やか)は声に驚き、白浅(はくせん)の方を向いた。目には驚きと喜びが浮かんだ。彼は白浅(はくせん)のもとへ駆け寄り、二人は桃花の雨の中で静かに見つめ合った。まるで時間が止まったかのようだった。

「どうして…ここにいるんだ?」夜華(やか)の声は少し震えていた。

白浅(はくせん)は微咲んで、酔いも半分ほど醒めた。「東海の宴に出席するために来たの。まさかここであなたに会えるとは思わなかったわ。夜華(やか)、私たち…ちゃんと話さなければならないわ。」

夜華(やか)は頷き、二人は桃の木の下に並んで座り、久しぶりの会話を始めた。阿離(あり)もいつの間にか近づいてきて、この光景を見て喜ぶと同時に複雑な気持ちになった。彼は母と父の間には多くの未練があることを理解しており、自分にできることはただ見守ることだけだと悟った。

一方、繆清(きゅうせい)公主は東海水君の計らいで、宴で夜華(やか)の注意を引くために、丹精込めて舞を準備していた。しかし、夜華(やか)と白浅(はくせん)の姿を見た瞬間、全ての希望は泡と消えた。彼女は自分が白浅(はくせん)の代わりにはなれないことを悟った。

宴の席で、東海水君は繆清(きゅうせい)公主のために機会を作ろうとしたが、夜華(やか)の態度は冷たく、断固たるものだった。彼は白浅(はくせん)一人しか愛していないことを明確に表明した。繆清(きゅうせい)公主は不本意ながらも、現実を受け入れ、去るしかなかった。

一方、宮中の白鳳九(はくほうきゅう)の日々はあまり芳しくなかった。陳貴人として化けてはいるものの、皇后の嫌がらせで東華帝君(とうかていくん)に近づくことができなかった。しかし、彼女は諦めず、恩返しの決意を固めた。彼女は自分の才知を使って宮中で徐々に地位を確立し、東華帝君(とうかていくん)に近づく機会を伺っていた。

少辛(しょうしん)は東海の宴の機会に、再び青丘を訪れて白浅(はくせん)に会おうとした。しかし、白浅はすぐに会わず、迷穀(めいこく)に伝言を託して、まずは東海に帰るように告げた。少辛(しょうしん)は失望したが、従うしかなかった。

第29話の感想

第29話は、夜華(やか)と白浅の再会という重要なシーンが描かれ、視聴者の心を大きく揺さぶる展開となりました。

夜華(やか)が素素(そそ)への想いを玉佩に託し、白浅がそれを目撃するシーンは、二人の切ない過去を思い出させ、胸が締め付けられる思いでした。また、夜華(やか)と白浅が桃花の雨の中で見つめ合うシーンは、美しくも儚く、二人の運命の行く末を闇示しているようでした。

一方、繆清(きゅうせい)公主の失恋や白鳳九(はくほうきゅう)の苦悩も描かれ、物語は複雑さを増しています。特に、繆清(きゅうせい)公主の悲しみに満ちた表情は、視聴者の同情を誘わずにはいられませんでした。

つづく