扶揺(フーヤオ)~伝説の皇后~ 第39話 あらすじ/ネタバレ

天権国の空は闇雲に覆われ、まるで迫り来る災厄を予感させるかのようだった。黒渡鴨の突然の出現は、死神が宣告するように、王国全体に不安の影を落とした。皇后は焦燥に駆られ、長孫迥(ちょうそんけい)のもとへ急ぎ、長孫無極(ちょうそんむきょく)を許してくれるよう懇願した。しかし、長孫迥(ちょうそんけい)の冷酷さは、皇后的願いを打ち砕き、彼は長孫無極(ちょうそんむきょく)に自らの行為の責任を取らせることを主張した。

一方、姚城では、扶揺(フーヤオ)はかつてない苦境に立たされていた。黒戎寨の攻勢は火攻によって一時的に阻止されたものの、食糧不足の危機は頭上に弔るされた剣のように、いつ落下するとも知れなかった。絶望の淵に立たされた扶揺(フーヤオ)は、長孫無極(ちょうそんむきょく)が残した錦囊を思い出し、希望に満ちて開いてみると、そこにはたった一つの「逃」という文字が記されており、彼女の心は冷え切った。

その頃、長孫平戎(ちょうそんへいじゅう)と赤鬼(せきき)の結びつきは強まり、彼は赤鬼(せきき)に攻城を急がせ、姚城の民の命を犠牲にすることも厭わなかった。赤鬼(せきき)の虐殺は長孫平戎(ちょうそんへいじゅう)の黙認を得ており、彼は天権王宮への復讐を果たすべく、扶揺(フーヤオ)の追撃を命じた。

黒戎寨の陰謀に直面した姚城の民は、生死の選択を迫られ、降伏を選んだ。城門が開かれた瞬間、それは死の罠と化し、黒戎寨の矢の雨が容赦なく無数の罪のない命を奪っていった。扶揺(フーヤオ)は必死に人々を救おうとするが、悲劇を目の当たりにすることしかできず、自身も混乱の中で負傷してしまう。

小七(しょうしち)の出現は扶揺(フーヤオ)に一縷の希望をもたらした。彼は姚城からの脱出を提案するが、扶揺(フーヤオ)は援軍を求めることがこそが包囲を解く唯一の方法であることを悟っていた。彼女は決意を固め、小七(しょうしち)と雅蘭珠(がらんじゅ)をそれぞれ天権と天煞へと派遣し、援軍を求めることにした。

長孫無極(ちょうそんむきょく)は葛雅沙漠で孤立無援となり、追っ手を振り切りながら必死に抵抗するが、力尽きて倒れてしまった。一方、長孫迦(ちょうそんか)は長孫迥(ちょうそんけい)の陰謀を知ると、表面上は長孫平戎(ちょうそんへいじゅう)と週旋しながら、裏では長孫無極(ちょうそんむきょく)を救出するための策を練っていた。

姚城では、扶揺(フーヤオ)の「裏切り」は大きな波紋を呼び、民衆は彼女に誤解と憎しみを抱いた。しかし、これはすべて扶揺(フーヤオ)の策略であり、彼女は単身黒戎寨へと赴き、心尖の血で赤鬼(せきき)の信頼を得ると、一転して仮撃に転じ、赤鬼(せきき)を斬殺し、隠衛の力を借りて脱出した。

赤鬼(せきき)の首級を携えて姚城に帰還した扶揺(フーヤオ)は、かつてない冷遇と拒絶に遭う。城門は閉ざされ、かつての仲間や民衆は彼女を裏切り者として扱い、受け入れを拒否した。黒戎寨の追っ手が迫り、隠衛たちが次々と倒れていく中、扶揺(フーヤオ)の心は絶望と怒りで満たされた。彼女は天に向かって咆哮し、自分が払ってきた代償の無意味さを嘆き、彼女から恩恵を受けたことのない人々が命を懸けて自分を救おうとしていることに苦悩する。

まさに生死を分ける瀬戸際、鉄成(てっせい)の決意と胡桑(こそう)の揺らぎが扶揺(フーヤオ)に一筋の光明をもたらした。ついに、鉄成(てっせい)の尽力によって城門がゆっくりと開かれ、扶揺は残された兵力を率いて城内へと突入し、黒戎寨との最後の決戦に臨む。そして、長孫迦(ちょうそんか)の援助を受けた長孫無極(ちょうそんむきょく)も危機を脱し、二人は苦難の末に再会を果たし、共に未来の挑戦に立ち向かうのであった。

第39話の感想

第39話は、扶揺にとって試練の連続だった。黒戎寨の攻撃、食糧不足、仲間の誤解、そして絶望。しかし、彼女は決して諦めず、様々な困難を乗り越えていく。特に、赤鬼(せきき)を斬殺したシーンは圧巻だった。彼女の勇気と決断力に感動した。

また、長孫無極(ちょうそんむきょく)と長孫迦(ちょうそんか)の兄弟愛も印象的だった。長孫無極(ちょうそんむきょく)は孤立無援の中、必死に戦い、長孫迦(ちょうそんか)は陰謀を阻止するために奔走する。二人は離れていても、お互いを思いやり、助け合っている。

つづく