あらすじ
第10話は、魏瓔珞の姉の死に対する疑念が深まり、真相究明を決意する様子を描いています。彼女は率直な物言いで皇帝の displeasure を買ってしまいますが、皇后とその影響力によって罰を免れます。民衆を助けるためなら自ら悪名を負うことも厭わない皇后の高潔な心に、瓔珞はますます敬服します。
一方、瓔珞は傅恒に仕返しを企てますが、失敗に終わり、逆に傅恒の好奇心と好意を掻き立てる結果となります。
また、嫻妃は家の窮状を救うため、宝石を密かに売却するという危険を冒しますが、これが高貴妃に露見してしまいます。この出来事は、宮廷内の複雑な人間関係と権力争いを浮き彫りにしています。
ネタバレ
張嬷嬷が瓔珞の手当てをしている最中、瓔珞は姉・瓔寧の死に関し、傅恒が関わっているのではと疑念を抱いていることを打ち明ける。張嬷嬷は慰めるも、瓔珞は納得いかない。もし皇帝の寵愛が原因なら隠蔽する理由がない、宮廷の侍衛だからこそ隠蔽工作をするのだと、姉の無念を晴らす決意を固める。
その後、瓔珞は皇后から目をかけられるようになり、皇后が内務府の滞留在庫の装飾品を売却し、慈善事業に充てようとしていることを知る。長春宮は内務府からの支出が滞り、資金難に陥っているのだ。そのため皇后は、批判を浴びながらも後宮から資金を捻出せざるを得ない状況に追い込まれていた。瓔珞は憤慨するが、皇后は民のためなら非難も厭わないと語る。瓔珞は皇后への尊敬を深める。
皇后は愉貴人の容態を気遣い、悪化していく様子に深い同情を示す。そして順治帝と董鄂妃の愛の物語に言及する。瓔珞は、董鄂妃の死後、順治帝が宮人を処刑したことを無情だと口にする。それを偶然長春宮にやってきた皇帝が聞いてしまう。皇帝は瓔珞の言葉に激怒し、罰を与えようとする。瓔珞は順治帝の罪己詔の内容を繰り返しただけだと弁明する。すると皇帝は怒りを鎮め、瓔珞の顔を見ようと命じる。瓔珞は以前の霊柏の件を思い出されるのを恐れ、顔を上げようとしない。皇后が間一髪で助けに入り、瓔珞を追い払う。
皇帝は瓔珞を狡猾な宮女だと考えるが、皇后が庇うため、今回は見逃すことにする。しかし、次に過ちを犯せば厳罰に処すと警告する。一方、皇后は瓔珞が以前愉貴人を助けたことに感謝しており、周囲の進言にも関わらず、瓔珞を長春宮から追い出すつもりはない。
一方、嫻妃の一家は、鄂善の収賄事件の影響で苦境に立たされていた。家財は全て内務府に没収され、困窮していた。嫻妃は内務府に給金の前借を申し出るも拒否される。それと対照的に、高貴妃の侍女はペットの服を作るための毛皮を簡単に手に入れる。嫻妃の侍女・珍児は、犬の方が嫻妃よりも優遇されていると憤慨する。
純妃は傅恒と話す中で、もし傅恒に好きな女性がいれば仲を取り持つと申し出る。この会話を爾晴が聞いてしまう。瓔珞は傅恒に手作りの水筒を贈るが、渡す際に傅恒にぶつかりそうになり、傅恒の心を少し揺さぶる。傅恒は水筒を喜んで受け取るが、それは瓔珞の復讐の道具となる。海蘭察が傅恒とふざけている時に誤って水筒を壊し、熱湯で火傷を負ってしまう。傅恒は瓔珞の策略を見抜き、彼女を問い詰める。瓔珞は水筒の縫製が悪かったせいだと弁明し、傅恒は疑念を一旦収める。
傅恒は怪我をした海蘭察を見舞う。海蘭察も事故だと考え、水筒を作る手間を口にする。傅恒はますます感謝の念を深め、それが瓔珞の復讐だとは全く気づかない。
その頃、嫻妃は弟の命を救うため、秘蔵の宝石を宮外に持ち出し、売却しようとしていた。高貴妃は嫻妃の困窮を知り、密かに彼女を監視させていた。嫻妃が宦官に宝石を渡すところを高貴妃の手下に捕らえられる。窮地に追い込まれた嫻妃を救うため、侍女の一人が罪を被ろうとする。しかし、盗みを否定する若い宦官が罰を受けそうになる。ついに嫻妃は自ら名乗り出て、全ての罪を認める。
第10話の感想
第10話は、それぞれのキャラクターの苦悩や思惑が交錯する、非常に濃密なエピソードでした。特に印象的なのは、皇后の慈悲深さと嫻妃の追い詰められた状況の対比です。民のために私財を投げ打つ皇后の崇高な精神と、家族のために禁を破らざるを得ない嫻妃の苦渋の決断。どちらも強い愛ゆえの行動であり、胸を締め付けられます。
瓔珞の復讐劇も、今回は新たな展開を見せました。傅恒への複雑な感情を抱えながらも、巧妙な罠を仕掛ける瓔珞。その行動は冷酷にも見えますが、姉への強い想いが根底にあることを考えると、一概に非難することはできません。傅恒と海蘭察の友情も描かれ、瓔珞の策略とは対照的な温かさが印象的でした。
高貴妃の冷酷さ、純妃の思惑など、脇を固めるキャラクターたちの存在感も光ります。高貴妃は嫻妃の窮状につけ込み、その転落を狙う狡猾さを見せつけます。純妃は傅恒への好意を匂わせつつ、その真意は謎に包まれています。今後の展開がますます気になる、見応えのあるエピソードでした。
つづく