あらすじ

第十一話は、後宮の複雑な人間関係とそこにある危険を描いています。

皇后こうごうは、普段一人で過ごすことの多い愉貴人ゆきじんを気遣い、散歩に誘います。しかし、そこで偶然にも高貴妃こうきひ嘉嬪かひんに遭遇してしまいます。以前の出来事から高貴妃こうきひを恐れている愉貴人ゆきじん。一方、嘉嬪かひん愉貴人ゆきじんの子が自分の息子の地位を脅かすことを危惧し、高貴妃こうきひの愛猫・雪球ゆきだまを使って愉貴人ゆきじんを襲わせようと企みます。幸いにも、魏瓔珞ぎえいらくが間一髪で助けに入ります。

ところが、高貴妃こうきひは感謝するどころか、逆に魏瓔珞ぎえいらくを罰しようとする始末。皇后こうごうの庇護のおかげで、魏瓔珞ぎえいらくは何とか難を逃れます。その後、高貴妃こうきひ嘉嬪かひんの陰謀を暴露し、嘉嬪かひんは仕方なく罪を認めます。

魏瓔珞ぎえいらくは、愉貴人ゆきじんの真珠の粉がすり替えられていることに気づき、嘉嬪かひんの手先である芳草ほうそう愉貴人ゆきじんを毒殺しようとしていた事実を暴きます。事を荒立てないよう、魏瓔珞ぎえいらく愉貴人ゆきじんに気づかないふりを勧めます。

一方、嫻妃かんひを助けた春望しゅんぼうは、罰として重労働を課せられていましたが、嫻妃かんひ自身はそのことを知りません。皇帝は皇后こうごうを喜ばせようと荔枝の木を取り寄せ、皇后こうごうは荔枝の宴を催します。魏瓔珞ぎえいらく芳草ほうそうと連絡を取っていた嘉嬪かひんの手下を捕まえようとしますが、嘉嬪かひんは既に警戒しており、魏瓔珞ぎえいらくの計画は失敗に終わります。

ネタバレ

皇后こうごうは、愉貴人ゆきじんがずっと部屋にこもっているのを心配し、散歩に誘った。ところが、庭園で花を愛でている高貴妃こうきひ嘉嬪かひんに遭遇する。以前、高貴妃こうきひに命を狙われた恐怖から、愉貴人ゆきじん高貴妃こうきひを見ると緊張して言葉も出ない。嘉嬪かひんは、愉貴人ゆきじんのお腹の子が将来自分の息子の地位を脅かすことを恐れ、ひそかに高貴妃こうきひの愛犬を愉貴人ゆきじんにけしかける。愉貴人ゆきじんが襲われそうになったその時、魏瓔珞ぎえいらくが駆けつけ、間一髪で救う。

現場は大混乱となる。魏瓔珞ぎえいらくの機転で大事には至らなかったものの、高貴妃こうきひは感謝するどころか、魏瓔珞ぎえいらくが自分の愛犬を傷つけたと言い張り、罰を与えようとする。皇后こうごう魏瓔珞ぎえいらくをかばい、犬が愉貴人ゆきじんに襲いかかったのは偶然ではないと指摘し、事の収拾を図る。

その後、高貴妃こうきひ嘉嬪かひんを呼び出し、なぜ自分を操って愉貴人ゆきじんを陥れようとしたのかと問い詰める。嘉嬪かひんは土下座して許しを乞い、全ては高貴妃こうきひのためだと弁明する。高貴妃こうきひは内心では不満を抱きながらも、今は利害が一緻していることを理解し、今回は嘉嬪かひんを許す。しかし、二度と勝手な行動はしないよう釘を刺す。

皇后こうごう愉貴人ゆきじんの体を心配し、魏瓔珞ぎえいらくに真珠の粉を届けるよう命じる。魏瓔珞ぎえいらくは真珠の粉の色がおかしいことに気づき、調べを進めた結果、侍女の芳草ほうそうが貝殻の粉とすり替えていたことが発覚する。芳草ほうそうは、家族が病気で金が必要だったためだと説明する。愉貴人ゆきじんは失望するが、芳草ほうそうを許そうとする。しかし、魏瓔珞ぎえいらくは裏に何かあると睨み、さらに追及する。ついに芳草ほうそうは、嘉嬪かひんに命じられて愉貴人ゆきじんに毒を盛ろうとしていたことを白状する。真実を知った愉貴人ゆきじんは大きなショックを受けるが、魏瓔珞ぎえいらくの助言に従い、芳草ほうそうを今まで通り侍女として傍に置き、何も知らないふりをする。

一方、嫻妃かんひの手伝いをして宮中の品を売り、罰として雑役をさせられている春望しゅんぼうは、過酷な生活を強いられ、犬と食べ物を奪い合うまでに追い詰められていた。嫻妃かんひ自身も苦境に立たされており、自分の行動が春望しゅんぼうに災いをもたらしたことに気づいていない。

皇帝は皇后こうごうへの贈り物として、はるばる荔枝の木を取り寄せた。皇后こうごうは大喜びで、魏瓔珞ぎえいらくに大切に育て、宴で妃たちに振る舞うよう命じる。魏瓔珞ぎえいらくは丹精込めて荔枝の木を世話する。

魏瓔珞ぎえいらくの指示通り、芳草ほうそう嘉嬪かひん愉貴人ゆきじんの様子を報告する。嘉嬪かひんは報告を聞いて疑念を抱くが、表情には出さず、引き続き芳草ほうそうに貝殻の粉を渡す。魏瓔珞ぎえいらく嘉嬪かひんが何か別の企みをしていると考え、皇后こうごうに報告し、嘉嬪かひんの手下を捕らえる罠を仕掛ける。

経済的に困窮している嫻妃かんひは、純妃じゅんひから皇后こうごう派に入り金銭を得ることを提案されるが、後宮の争いに巻き込まれたくないと断る。

皇后こうごう主催の荔枝の宴で、魏瓔珞ぎえいらく芳草ほうそうと連絡を取る嘉嬪かひんの手下を捕らえようとするが、手下は毒を持っていなかった。魏瓔珞ぎえいらくはこれが嘉嬪かひんの策略だと気づき、自分を宴から遠ざけ、別の何かを企んでいると悟る。

第11話の感想

第11話は、陰謀渦巻く後宮の恐ろしさを改めて感じさせるエピソードでした。特に嘉嬪かひんの冷酷さと狡猾さが際立っていました。愉貴人ゆきじんのお腹の子の将来を案じ、高貴妃こうきひの犬を利用して危害を加えようとするだけでなく、毒を盛ろうとするとは、あまりにも残酷です。その一方で、高貴妃こうきひは一見威圧感がありますが、どこか抜けているところがあり、嘉嬪かひんに利用されているのが哀れにさえ感じました。

魏瓔珞ぎえいらくの機転と勇敢さは、今回も愉貴人ゆきじんを救い、大きな惨事を未然に防ぎました。皇后こうごうの温厚さと冷静さも、後宮の混乱を鎮める上で重要な役割を果たしています。対照的に、嫻妃かんひは経済的な苦境に立たされ、春望しゅんぼうを苦しめていることにも気づかず、孤立を深めている様子が描かれています。

今回の見どころは、魏瓔珞ぎえいらく芳草ほうそうの裏切りを見抜き、嘉嬪かひんの陰謀を暴こうとするところです。真珠の粉を貝殻の粉にすり替えるという些細なことから、真相を解き明かしていく過程は、推理小説を見ているようでハラハラドキドキしました。荔枝の宴で嘉嬪かひんの手下を捕らえようとする場面も緊迫感があり、今後の展開がますます気になります。

つづく