あらすじ
第四十話は、皇后様が二人の子供を続けて亡くされたことで深い絶望に沈み、皇后の位さえも放棄しようとされる様子を描いています。皇帝陛下は皇后様を深くお心痛めになっていましたが、国事の重圧の前に個人的な感情を抑えざるを得ませんでした。そんな皇后様の不安定な精神状態につけこみ、爾晴は追い打ちをかけます。そして、極度の悲しみの淵に立たされた皇后様は、ついに宮殿の城壁から身を投げて自らの命を絶ってしまいます。
この知らせを聞いた魏瓔珞は深い悲しみに暮れ、皇后様の自害を理解しようとしない皇帝陛下に対し、勇敢にも皇后様を弁護します。その結果、皇帝陛下の怒りを買い、殉葬を命じられてしまいます。しかし、皇后様が遺された遺書には魏瓔珞を守りたいという願いが綴られており、これを読んだ皇帝陛下は考えを変え、魏瓔珞を円明園の守陵に遣わします。一方、嫻妃は皇后様の死をもって復仇を果たしたと心に刻み、仇敵の象徴である最後の蝋燭の芯を切りました。
ネタバレ
永そうを失い、悲しみに暮れる皇后はすっかり憔悴しきっていた。二人の子を亡くした苦しみは計り知れず、どんなに慎ましく生きていても、幸せは訪れないと皇帝に訴える。何も悪いことをしていないのに、なぜこんなにも苦しまなければならないのか。皇后はもはや皇后の位にさえ未練がなく、自暴自棄になっていた。皇帝は皇后を慰め、責務を説くも、彼女の耳には届かない。そして、皇后の行動を案じた皇帝は、やむなく彼女を拘束するよう命じた。
永そうの葬儀の準備について李総管から報告を受けた皇帝は、本来自ら執り行うつもりだったが、戦況の悪化により国事を優先せざるを得なくなった。この知らせを聞いた爾晴は、男の冷酷さを嘆き、皇后を追い詰めることで傅恒に復讐しようと企む。
傅恒は軍議のため皇帝に謁見し、皇後の容態を案じ、実家に帰らせて静養させるよう願い出る。しかし皇帝はこれを拒否する。たとえ傅恒に冷酷と思われようとも、皇后には宮中にいるべき責任があると考えたのだ。皇帝は、臣下に権力と地位を与えるのは国を強くするためであり、皇后も例外ではないと断言する。
爾晴は長春宮を訪れ、明玉の製止を振り切って皇后に面会する。瓔珞は父の看病で宮外に出ており、宮中の出来事を知る由もなかった。爾晴が去った後、皇后は明玉を遠ざけ、一人宮中の塀に登る。これまでの人生を振り返り、帝王の情を信じたことが最大の過ちだったと悟る。すべての苦しみから逃れるため、皇后は自ら命を絶つことを決意し、塀から身を投げた。
宮中に戻った瓔珞は、皇後の死を信じることができなかった。長春宮に駆けつけると、棺の中に静かに眠る皇后の姿があった。弔問に訪れた皇帝は、皇后を美しく飾り付けるよう命じる。瓔珞は、皇后はそんな表面的なことは望んでいない、静かに送ってあげてほしいと訴える。しかし皇帝は、皇后が自害という道を選んだことを許せず、彼女の死を責める。瓔珞は、皇后が命懸けで永そうを産んだのは、皇帝の望む後継ぎを授かるためだったと仮論する。
瓔珞の言葉は皇帝の心に響くも、彼は瓔珞の度重なる仮抗を理由に、皇后への殉死を命じる。明玉は激しく憤り、止めようとするが、皇帝は皇后が寂しくないようにと譲らない。しかし、皇後の遺書を読んだ皇帝は、彼女の唯一の願いが瓔珞を守ることだったと知る。自分への言葉は何も残されていなかったが、皇后の不満を感じつつも、皇帝は彼女の遺誌を尊重し、瓔珞を円明園へ送り、皇後の陵墓を守らせることにする。
嫻妃は皇後の死を予期しており、全ての敵がいなくなったと喜びに浸る。円明園に送られた瓔珞は、深い悲しみに沈んでいたが、袁春望の訪問によってわずかな慰めを得る。
第40話の感想
第40話は、皇后の悲劇的な死を中心に、物語が大きく動く重要な回でした。愛する子供たちを次々と失い、精神的に追い詰められた皇后の苦しみは、見ているこちらも胸が締め付けられるようでした。特に、宮中の塀の上で孤独に最期を迎えるシーンは、彼女の絶望と悲しみがひしひしと伝わってきて、涙が止まりませんでした。
皇帝は国事と皇后の心のケアの間で葛藤する姿が描かれていましたが、最終的には国事を優先せざるを得ない立場も理解できます。しかし、皇后の真意を理解しようとせず、彼女の死を責める態度は、冷酷に感じられました。皇后がどれほど皇帝を愛し、彼の為に尽くしてきたかを考えると、あまりにも悲しい結末です。
爾晴の闇躍も、この悲劇を加速させた要因の一つです。傅恒への復讐心から皇后を追い詰める彼女の行動は、許しがたいものがあります。瓔珞が不在の間に起きたこの出来事は、今後の展開に大きな影を落とすでしょう。
瓔珞が皇后の死を知り、悲しみにくれるシーンも印象的でした。皇后と瓔珞の強い絆が改めて感じられ、二人の関係性がどれほど特別だったかを再認識させられました。皇帝から殉死を命じられる場面では、瓔珞の覚悟と強さが際立っていました。
つづく