あらすじ
第四十五話は、魏瓔珞が純妃の策略によって傅恒との過去の情を蒸し返され、皇帝の寵愛を失ってしまうところから始まります。 皇帝は瓔珞に冷たく、もはや彼女を呼び出すこともありません。 他の妃嬪たちは瓔珞の失寵を喜び、特に嘉嬪は機に乗じて皇帝に取り入り、瓔珞と傅恒の関係に対する誤解を巧みに深めていきます。
しかし、瓔珞は落胆するどころか、宮中で開催された江南の市を逆手に取り、皇帝の心を取り戻す機会と捉えます。 彼女は市で酒売りの娘に扮し、皇帝と太皇太后の目を惹きつけます。 そして持ち前の機転で皇帝の誤解を解き、再びその知恵と魅力で皇帝を魅了することに成功します。 こうして、二人の関係は修復へと向かいます。
同時に、この回では後宮における妃嬪たちの熾烈な争いも描かれています。 特に、純妃と二番目の皇后は皇帝の寵愛を巡り、激しい駆け引きを繰り広げます。
ネタバレ
純妃は一人で琴を弾いていたところ、久しぶりに彼女を思い出した皇帝が見舞いに訪れた。皇帝は純妃を冷落していたことを詫びるが、純妃は何も望んでいない、ただ皇帝が必要な時にそばにいられれば良いと答える。皇帝はこの慎ましい態度に満足し、純妃の理解力こそが彼女の最も素晴らしい点だと褒めたたえる。会話の中で、純妃はそれとなく瓔珞と傅恒の過去の関係に触れる。皇帝は二人の関係を既に知っていたものの、傅恒が宮廷を離れて久しかったため、すっかり忘れていた。しかし、純妃の言葉によって、皇帝は再び二人の関係を気にし始める。そのため、延禧宮の前を通り過ぎた際に、皇帝は瓔珞のもとへ立ち寄らず、瓔珞は失寵してしまう。
瓔珞の失寵はあっという間に後宮中に広まり、日頃から彼女を妬んでいた妃嬪たちは密かに喜んだ。かつて瓔珞を虐待した罪で罰せられた嘉嬪もこの知らせを聞き、皇帝に改めて謝罪し、嫉妬のあまりに行き過ぎた行動だったと弁明する。皇帝は表向きは気に留めない素振りを見せるが、内心ではこの件について新たな考えを抱き始める。
嘉嬪は皇帝が傅恒に屋敷を下賜するつもりだと知り、「玉京」という名前を提案する。さらに、傅恒が梔子の花が刺繍されたハンカチを好んで集めていることを語り、間接的に瓔珞と傅恒の関係を匂わせる。瓔珞が梔子の花を好んでいることは周知の事実であり、皇帝は嘉嬪の意図を察し、激怒する。嘉嬪は追い出されるが、自分の策略が成功したことに内心得意げだった。
瓔珞と傅恒の噂は宮中でますます広まり、皇帝は瓔珞に近づかなくなる。皇后はこの件について相談を受けるが、表向きは瓔珞を擁護しつつも、内心では事態の推移を見守っていた。明玉は瓔珞を心配し、何か行動を起こすべきだと提案するが、瓔珞は潔白を信じて沈黙を守るべきだと考える。間もなく、傅恒が宮廷に戻り、瓔珞との面会を望む。帰還後、これが二人の初めての再会だった。しかし、二人の面会は宮女に見られてしまい、すぐに純妃の耳にも入る。瓔珞は傅恒に会うと、過去の思い出が蘇り、辛い気持ちになるが、現状を鑑みて距離を置くことを決意する。純妃は皇帝にこの場面を見せるように仕向け、自身に疑いがかからないよう、瓔珞を庇う言葉を口にする。
皇帝は瓔珞と傅恒が話しているところを目撃する。二人は儀礼的な態度を保っていたものの、皇帝の目にはかつての恋人同士の再会のように映った。瓔珞は傅恒がかつて自分を忘れられないと言った言葉を思い出し、考え込む。皇帝は瓔珞への警告として、延禧宮の梔子の花を厠の掃除に使わせるよう命じる。明玉はこの意図が分からず困惑するが、瓔珞はその真意を理解する。
瓔珞が失寵したことで、仕えている宦官の小全子は彼女の部屋から物を盗み始める。明玉は小全子を捕まえ、盗品の売り先を問い詰める。瓔珞は冷静に事を処理し、小全子を解放する。明玉は不満を抱くが、瓔珞は回収した盗品の中から事態を好転させる糸口を見つける。その後、小全子は蘭児と会い、嘉嬪の指示で瓔珞を陥れるために盗みを働いたことを明かす。ほとんどの盗品は瓔珞に取り戻されたものの、小全子は簪一つを蘭児に渡すことに成功していた。
太後の機嫌を取るため、純妃は江南の街並みを模した市場を企画する。太后はこの趣向を大変気に入り、皇帝もまた称賛し、蘇州街を建設してはどうかと提案する。皇后は国庫が逼迫していることを理由に蘇州街建設の費用削減を提案し、後宮の妃嬪たちに寄付を募る。純妃は自分の努力が否定されたことに不満を抱くが、表向きは自分の装飾品を寄付する。
瓔珞は酒売りの娘に扮して市場に現れ、流暢な蘇州弁で皇帝と太後の関心を引く。太后は瓔珞の機転を大いに褒め、皇帝もまた興味を惹かれ、瓔珞の酒を味わう。そして、酒代として自身の玉佩を渡す。
夜になり、皇帝は日中の出来事を思い返し、ついに延禧宮へ向かう。明玉はわざと皇帝を挑発し、彼の好奇心を煽る。瓔珞は皇帝に会い、他の妃嬪たちが自分の噂話をしている様子を真価てみせる。皇帝は言葉を失う。その後、瓔珞は真剣な表情で皇帝に、傅恒とはただの旧知の仲であり、決して皇帝を裏切るようなことはしないと誓う。皇帝の怒りは徐々に収まるが、それでも瓔珞と傅恒が会ったことについては釈然としない。瓔珞は会わなければ会わないで怪しまれると言い訳し、皇帝に甘える。皇帝は瓔珞の甘えに抗えず、最終的に彼女を許し、寵愛を取り戻す。
第45話の感想
第45話は、瓔珞と皇帝の愛憎劇、そして後宮の権力争いが複雑に絡み合い、息もつかせぬ展開でした。純妃の巧妙な策略、嘉嬪のしたたかな復讐心、そして皇后の静かな野心など、それぞれの思惑がぶつかり合い、物語に緊張感を与えています。
特に印象的なのは、純妃の立ち回りです。一見、皇帝を気遣い、瓔珞にも好意的な言葉を掛けているように見えますが、その裏には深い計算が隠されています。傅恒と瓔珞の再会を皇帝に知らしえることで、瓔珞を失寵させようとする彼女の策略は、実に巧妙です。一見無害な純妃の恐ろしさが際立つ回でした。
一方で、瓔珞は失寵という逆境にも屈せず、冷静さを保ちます。小全子の盗難事件を逆手に取り、騒ぎを大きくせずに事態を収束させる彼女の機転は見事でした。また、皇帝の前では、他の妃嬪の噂話を真価るなど、ユーモアを交えながら自分の潔白を主張する姿も印象的です。辛い状況の中でも、決して諦めず、したたかに立ち回る瓔珞の強さが改めて感じられました。
皇帝は、純妃や嘉嬪の言葉に翻弄され、瓔珞を疑ってしまう姿が描かれています。しかし、最終的には瓔珞の素直な言葉と愛情表現に心を動かされ、彼女を許します。瓔珞への愛と嫉妬の間で揺れ動く皇帝の心情も、この物語の魅力の一つと言えるでしょう。
最後に、明玉の瓔珞への忠誠心も忘れてはなりません。常に瓔珞の味方であり、心配し、支えようとする彼女の存在は、瓔珞にとって大きな心の支えとなっているはずです。
つづく