あらすじ
第五十八話は、太后が魏瓔珞を利用して二番目の皇后に対抗する様子を描いています。太后はわざと魏瓔珞を宮廷から遠ざけ、円明園へ連れて行きました。これにより皇帝は魏瓔珞への想いを募らせます。二番目の皇后は一時的に不利な立場に立たされますが、懐妊によって皇帝の寵愛を取り戻し、地位を盤石なものとします。
円明園にいる間、魏瓔珞は皇帝と手紙をやり取りすることで互いの愛情を深めました。時機が熟したと見た太后は、魏瓔珞に宮廷への復帰を勧めます。ちょうどその頃、傅恒も都へ戻り、魏瓔珞に皇帝を支えるよう促します。 魏瓔珞は皇帝の新たな寵妃、順嬪、沉璧の存在を知り、宮廷へ戻ることを決意します。そして、共通の敵に対抗するため、二番目の皇后と一時的に手を組むことにします。
魏瓔珞が宮廷へ戻ると、二番目の皇后は皇帝の前で魏瓔珞の良い点を語り、彼女の復帰を後押しします。しかし、この二人の協力関係は、互いに腹の底では別の思惑を抱えている、いわば呉越同舟の状態です。魏瓔珞は表向きは二番目の皇后との協力を承諾しますが、実際には独自の計画を練っていました。
ネタバレ
太后は病気を装い、瓔珞を伴って円明園へ。実はこれは慶貴人事件で皇帝の瓔珞への心証が悪化したことを見越し、瓔珞を守るため、そして彼女の才覚を試すための太後の計略だった。皇帝は太後の不在を気に病むが、太后は瓔珞との手紙のやり取りを促し、皇帝の瓔珞への想いを募らせる。
一方、皇后は太後の行動の裏を読みつつも、今は静観を決め込む。袁春望は瓔珞への未練と憎しみを抱え、排除を提案するが、皇后は時期尚早と判断。瓔珞が戻った時、宮中の状況は一変しているはずだと考える。
円明園で瓔珞は太後の健康状態を伝える手紙を皇帝に送り続け、巧みに距離を保ちつつ皇帝の心を繋ぎ止める。皇后は皇子を二人出産し、権力を強固にする。袁春望も内務府での地位を確固たるものにするが、瓔珞に価た温順な刺繍女に出会い、失望する。
年月が経ち、皇帝の瓔珞への想いは深まる。皇后の出産にも冷淡な太后は、円明園での生活を続け権力を掌握。そんな中、傅恒が戦地から凱旋。太后は瓔珞に円明園に留まり続けるつもりかと問いかけ、瓔珞は帰京を決意する。
傅恒は瓔珞に皇后の座を奪い、皇帝を支えるよう促す。そして、新しい寵妃・順嬪、沉璧の存在を伝える。これを聞いた瓔珞は、ついに宮中に戻る。
帰京した瓔珞を皇后はすぐに呼び出し、順嬪、沉璧に対抗するため共闘を提案。瓔珞は一度は拒否するも、再び円明園へ送られる可能性を考慮し、承諾。皇后は瓔珞への位階の昇進を約束する。
瓔珞の変化に明玉は戸惑い、瓔珞自身も順嬪、沉璧の素直さを羨むと漏らす。明玉は瓔珞が皇帝を想っているからだとからかう。皇后は皇帝に瓔珞の円明園での苦労を語り、皇帝は考えに沈む。
第58話の感想
第58話は、静かな水面下で様々な思惑が渦巻く、スリリングな展開でした。太后の老獪な戦略、瓔珞のしたたかな立ち回り、皇后的冷静な判断、そして傅恒の変わらぬ一途な想い。それぞれの思惑が複雑に絡み合い、今後の展開を予感させます。
特に印象的なのは、太后の深謀遠慮です。一見、病気を装うことで瓔珞を守っているように見えますが、同時に皇帝の瓔珞への想いを再燃させるという計算も含まれている点が恐ろしい。瓔珞もまた、太後の意図を汲み取り、円明園にいながらも皇帝の心を掴んで離さない手腕は見事。手紙という限られた手段で、皇帝を惹きつけ続ける巧妙さは、彼女の賢さを改めて実感させられます。
対照的に、皇后は静かに時を待っています。皇子を二人も出産し、盤石な地位を築きながらも、決して油断せず、常に先を読み、次の手を考えている様子が伺えます。袁春望の焦燥ぶりとは対照的で、彼女の冷静沈著さが際立ちます。
つづく