あらすじ
第六十三話は、袁春望が二番目の皇后に罪を認める場面から始まります。魏瓔珞を亡き者にしようと侍医を買収したと告白しますが、二番目の皇后は魏瓔珞を自分の手で始末するつもりはありませんでした。
一方、魏瓔珞は重い病に伏していました。皇帝は彼女と冷戦状態にありましたが、それでも彼女の安否を気遣っていました。李総管は、皇帝から下賜された名琴を魏瓔珞が適切に保管していなかったため、彼女を助けることを諦めます。
この状況に乗じて、順嬪、沉璧は魏瓔珞に傅恒と駆け落ちするよう唆し、傅恒を通じてその計画を実行しようとします。そして、皇帝に魏瓔珞と傅恒の駆け落ち計画を密告します。皇帝はすぐさま行動を起こし、二人を止めようとします。
しかし、魏瓔珞と小全子は機転を利かせ、順嬪、沉璧の陰謀を暴きます。ついに皇帝は、順嬪、沉璧の正体と宮中に潜り込んだ目的を明らかにし、彼女の傅恒への憎しみが過去の出来事に根ざしていることを暴きます。
順嬪、沉璧の計画は失敗に終わり、魏瓔珞への恨みはさらに深まるのでした。
ネタバレ
袁春望は皇后に魏瓔珞を害そうとした罪を認め、皇后のためだと弁明した。皇后は袁春望の真意を理解しつつも、自ら手を下すことなく瓔珞を排除しようと画策する。病に伏せる瓔珞を、皇帝は冷戦中にも関わらず案じており、無事だと知り安堵する。皇帝から贈られた琴の扱いが悪かったため、皇帝は静かに琴を焼くよう命じた。李公公は瓔珞の態度に失望し、これ以上彼女を助けないと決意する。
沈璧は病床の瓔珞を見舞い、傅恒への恩返しだと高笑いする。彼女は瓔珞に傅恒との駆け落ちを唆し、決意を促す。宮廷に贈り物のように送られ、子供も全てを失い、抜け出せない自分とは違い、瓔珞には機会があると訴える。そして、去ったら二度と戻ってくるなと告げる。瓔珞は心を動かされるも、未だ決断は下せない。沈璧は傅恒にも瓔珞を連れて逃げるよう説得し、傅恒は思い悩む。
明玉を失い、酒に溺れる海蘭察を案じた皇帝は、彼に戦場での手柄を立てるよう命じる。海蘭察は念願葉い、皇帝に感謝する。沈璧は瓔珞の耳飾りを傅恒に見せ、彼女がもう長くはないと言い、連れ出すよう促す。傅恒は何も言わずに沈思し、皇帝への謁見でも奏上を忘れるほどだった。傅恒の異変に気付いた皇帝は、海蘭察に調査を命じる。
小全子は袁春望の指示に従い瓔珞を虐げるふりをする一方、密かに手帕を渡す。皇后は沈璧も瓔珞を排除したがっていることを見抜き、どちらが先に動くか静観する。袁春望は皇后の前で蘭児に助けられたことに感謝し、蘭児は好意を伝え贈り物をする。
沈璧は舞の最中にわざと転び、皇帝の気を引く。そして、瓔珞と傅恒の駆け落ち計画を涙ながらに伝える。激怒した皇帝は杯を投げつけ、瓔珞の捕縛を命じる。沈璧は毎夜三更に水汲みがあることを利用し、瓔珞の逃亡を仕組む。だが、これは瓔珞を陥れるための罠だった。皇帝は宮門を封鎖し、盗難を口実に全ての水車を止める。沈璧は引き続き良き妃を装い、瓔珞への寛大な処置を求め、傅恒を持ち上げる。
皇帝が水車を調べると、中には瓔珞ではなく小全子が隠れていた。小全子は、罠だと気付いた瓔珞が黒幕を暴くため、自分を隠したと証言する。沈璧は傅恒が外で瓔珞を待っていると主張し、捕らえるよう進言する。しかし傅恒は罠にはまらず、沈璧から駆け落ちを唆されたが証拠がないため同意したふりをしていたと明かす。沈璧は潔白を主張し、恩人である傅恒を裏切ることはないと弁明する。
皇帝は海蘭察の調査結果を突きつけ、沈璧の素性を暴く。幼い頃に生き別れ、後に父と再会した時には既に結婚し子供もいたが、それでも宮廷に送られた過去。入宮前に自殺を図ったところを傅恒に救われたこと。沈璧は宮廷に送られた恨みを傅恒に抱き、瓔珞を陥れることで復讐しようとしていた。沈璧は全てを認め、瓔珞の幸運を呪うのだった。
第63話の感想
第63話は、沈璧の復讐計画がついに実行に移され、宮廷内に緊張感が高まる見応えのあるエピソードでした。瓔珞と傅恒を陥れるための周到な罠、そして皇帝をも巻き込む大胆な策略は見事としか言いえません。
特に印象的だったのは、沈璧の演技力です。皇帝の前では悲劇のヒロインを装い、傅恒には瓔珞への想いを煽り、見事に二人を操っていました。彼女の心の奥底にある憎しみや絶望が、表情や言葉の一つ一つから伝わってきて、思わず引き込まれてしまいました。
一方で、瓔珞の冷静な判断力も光っていました。沈璧の罠を見抜き、小全子を使って仮撃に出る機転は見事でした。窮地に立たされながらも決して諦めない彼女の強さは、まさに逆襲の王妃の名にふさわしいと言えるでしょう。
また、傅恒の瓔珞への変わらぬ愛情も胸を打ちました。沈璧の誘惑にも揺るがず、瓔珞を守るために立ち向かう姿は、真の騎士と言えるでしょう。二人の間の強い絆が、この困難な状況を乗り越える鍵となるのかもしれません。
つづく