あらすじ
第六十九話は、袁春望が皇后に皇帝が地方官から献上された美女を受け入れたことを告げ口する場面から始まります。 これは皇后の皇帝への不満をさらに募らせ、弘昼への肩入れを強めることとなりました。皇后は皇帝に遊興に耽溺しないよう諫言しますが、聞き入れられません。 そこで瓔珞に助けを求めますが、瓔珞は諫言するどころか、むしろ選美を勧めます。これに皇后は激怒し、弘昼と密謀することに。
一方、第五皇子は命に関わる危険性もある足の治療を受ける決心をします。治療中、予期せぬ事態が発生し、瓔珞は治療に使われていた腐った虫に噛まれてしまいます。
その後、龍船で火災が発生。弘昼はこの機に乗じて皇帝を暗殺しようと企てます。しかし、船内に秘密の通路が設けられていたため、皇帝と皇太后は無事脱出します。 結果として弘昼の謀反は失敗に終わり、皇后は関与を否定しますが、袁春望によって弘昼との密通と謀反への加担が暴かれてしまいます。弘昼はすべての罪を一人で被ろうとしますが、皇后は完全に疑いを晴らすことができず、皇帝からの信頼を失墜させます。
ネタバレ
袁春望は皇后に、皇帝の南巡中に地方官が美女を献上し、弘昼が皇后に会いたがっていると吹き込みます。皇后は皇帝が身分の低い女たちを寵愛することに激怒し、皇帝への不満を募らせ、弘昼に傾倒し始めます。
龍舟の宴で、皇后は皇帝に自重を促しますが、皇帝は舞姫の踊りに夢中で取り合いません。皇后は瓔珞に皇帝を諫めるよう頼みますが、瓔珞は逆に皇帝に気に入った舞姫を宮中に連れて帰るよう勧めます。皇帝は瓔珞の言葉に苦笑しつつも困惑し、皇后は完全に皇帝に失望し、弘昼に心を寄せます。
弘昼は皇后と密会し、第十二皇子の将来のためにも、もはや優柔不断ではいられないと説得します。皇后は弘昼の提案を受け入れますが、同時に密かに外部に連絡を取ります。袁春望は皇後の行動を知り、珍児に心配ないと告げ、皇後の賢明さ故の周到な準備だと推測します。そして、弘昼に計画を早めるよう伝えます。
葉天士は第五皇子の足の診察後、治療は可能だが、激痛を伴い成功率は低いと告げます。第五皇子は治療を決意します。瓔珞は治療の失敗が第五皇子に打击を与えることを心配しますが、皇帝は子が成長し、自分の考えを持つようになったのだから過度に心配する必要はないと慰めます。
治療前、第五皇子は葉天士に成功率を尋ね、三割しかないことを知りますが、それでも治療を受けます。しかし、治療中に何者かが腐虫をすり替え、治療は失敗します。瓔珞は腐虫を止めようとして噛まれてしまいます。
その後、太后の船室で火災が発生し、船内はパニックに陥ります。弘昼の手下は混乱に乗じて皇帝を船室に閉じ込め、焼き殺そうとします。皇后は皇帝が閉じ込められたことを知り、救出しようとしますが、弘昼に阻まれ気絶させられます。弘昼は事態を掌握し、関係者を殺害させます。
救助隊が到著した時、皇帝、太后、瓔珞の姿はありませんでした。袁春望は弘昼に事態の収拾を任せようと提案します。弘昼が成功を確信したその時、皇帝と太后が秘密の通路から現れ、弘昼の陰謀を暴きます。皇帝は、謀仮人を捕らえるための傅恒との共同作戦だったと明かします。
皇帝は弘昼の手下を連れてこさせ、謀仮の罪を問いただします。弘昼は罪を認め、全てが仕組まれた罠だったことを悟ります。皇帝は、弘昼が地方官からの美女献上の件を利用し、南巡は美女選びのためだと世間に思わせ、新帝を立てる口実を作ろうとしたと指摘します。弘昼は計画は失敗したものの、皇后を巻き込むことを拒みます。
皇帝は皇后と弘昼が共謀し、第十二皇子を即位させようとしたと推測します。弘昼は皇后を守るため、全ての責任を負います。皇后は弘昼に同意したふりをしていただけで、実際は沿岸の役人に連絡して救助を求めていたと主張します。そして、常に皇帝だけを愛しており、だからこそ弘昼を裏切ったのだと訴えます。
その時、袁春望が皇后と弘昼の関係を暴露し、弘昼が皇後の信物を持っていると告げます。袁春望は事前に珍児に皇後の物を盗ませ、証拠として用意していました。珍児は騙されていたことに気づき、皇后も罠にはめられたと悟りますが、既に遅すぎます。珍児が全ての罪を被ろうとしますが、皇帝は皇后に疑念を抱きます。皇后にとって、これは大きな屈辱でした。彼女は弘昼を裏切り、皇帝への忠誠を証明しようと尽力したのは、いついかなる時も自分が皇帝の最大の支えであると信じてもらいたかったからです。
第69話の感想
第69話は、まさに怒涛の展開でした。南巡という華やかな舞台の裏で、弘昼の謀仮、皇後の苦悩、そして袁春望の闇躍が複雑に絡み合い、一瞬たりとも目が離せませんでした。
特に印象的だったのは、皇後の複雑な心情です。皇帝の寵愛を失い、孤独と不安に苛まれる中、弘昼の甘言に乗せられてしまう弱さを見せる一方で、最期まで皇帝への愛を貫こうとする姿には、切なさを感じました。彼女が本当に望んでいたのは、皇帝の愛と信頼だったのでしょう。しかし、皮肉にも、その愛と信頼を勝ち取ろうとするあまり、弘昼を裏切り、袁春望の罠にはまり、全てを失ってしまうという悲劇的な結末を迎えます。
また、袁春望の冷酷さと狡猾さも際立っていました。彼は、皇后の心の隙につけ込み、巧妙に事を運び、最終的に皇后を陥れます。彼の復讐心は、もはや常軌を逸しており、見ている側も恐怖を感じました。
そして、陰謀の中心人物である弘昼。彼の行動は、愚かしくも哀れでした。皇后への歪んだ愛情と、皇位への野心が、彼を破滅へと導いたと言えるでしょう。
最後に、瓔珞と皇帝の関係性も注目すべき点です。瓔珞は、皇帝の真意を理解し、陰謀を暴くために協力します。二人の信頼関係の強さが、この物語の重要な鍵となっていることを改めて感じました。
つづく