あらすじ
第七十話では、皇后が愛憎の末に、皇帝の寵愛を得るためにしてきた数々の努力、そして皇帝との複雑な愛憎劇を自ら暴露する様子が描かれています。同時に、珍児が自害し、袁春望の正体が魏瓔珞によって暴かれます。彼は雍正帝の隠し子であり、そのため皇室に深い恨みを抱いていたのです。魏瓔珞は毒に侵されますが、傅恒が自らの命と引き換えに解毒剤を見つけ、彼女は一命を取り留めます。皇后は冷宮に送られますが、弘昼が死ぬまで自分を愛していたことを知り、深い罪悪感に苛まれます。魏瓔珞は皇貴妃に昇格し、皇帝への感謝の気持ちを伝えつつ、妹の瓔寧の仇を討つという誓いを決して忘れないことを示唆します。そして、弘昼は自害を強いられ、袁春望は太后の恩赦を受けます。物語全体を通して、権力闘争と愛憎劇が渦巻いています。
ネタバレ
二番目の皇后は皇帝に、弘昼を裏切ったのも皇帝への愛ゆえだと告白するも、皇帝は魏瓔珞への信頼を改めて示す。絶望した二番目の皇后は、朝廷内の多くの官吏を既に掌握しており、皇帝崩御後、第二の孝荘太后になれると明かす。しかし、皇帝への愛ゆえに謀仮は実行できず、自ら断髪し、皇帝との縁を断つ。この不敬な行いにより、二番目の皇后は捕らえられ、弘昼は自身の罪を認め、二番目の皇后の赦免を乞う。
一方、珍児は袁春望に利用されていたと気づき、共に死のうとするが、逆に殺されてしまう。袁春望は皇帝に自首し、謀仮に加担した官吏の名を明かす代わりに減刑を要求する。しかし、魏瓔珞は袁春望の真の目的、彼が雍正帝の私生子であり、長年皇室への復讐を企てていたことを暴く。第五皇子に毒虫を使ったことも含め、全ての罪を認めた袁春望は、魏瓔珞がその毒で死に至る病に侵されていることも明かす。
袁春望の出生の秘密を聞いた太后は、当初は否定し、彼の父親は山賊だと主張するが、後に翻意し、皇室の名誉を守るために嘘をついていたと告白する。皇帝は袁春望を厳罰に処そうとするが、太后は皇帝に一度だけ自分を信じるよう説得する。そして、太后は袁春望の本当の身分を明かす。
毒に侵された魏瓔珞は瀕死の状態となるが、傅恒が解毒剤を見つけたと知らされる。しかし、海蘭察から、傅恒が解毒剤を探す途中に瘴気に感染し、亡くなったと伝えられる。傅恒は最期の言葉で魏瓔珞への想いを託す。深い悲しみに沈む魏瓔珞は、傅恒の願いを葉えることを誓う。
冷宮に送られた二番目の皇后は、弘昼が手配した者たちの世話を受け、彼の変わらぬ愛を知り、深い後悔の念に苛まれる。魏瓔珞が見舞いに訪れると、二番目の皇后は、魏瓔珞が自分のために弁護したのは弘昼を排除するためだと疑う。謀仮という大罪だけが、皇帝に兄弟を守らせなくさせるからだと。そして、なぜ皇帝が魏瓔珞を寵愛するのかを問う。魏瓔珞は「先に愛を口にした方が負け」と答える。
最後は、弘昼が毒酒を賜り、皇室の体面が保たれる。袁春望は狂気に陥るが、太后は皇帝に彼を許すよう懇願する。魏瓔珞は皇貴妃となり、皇帝に感謝の言葉を述べ、一生涯をかけて恩に報いると誓う。物語は、複雑な宮廷闘争、個人の愛憎、そして権力抗争を描いて幕を閉じる。
第70話の感想
瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~ ついに最終回を迎えた第70話は、怒涛の如く押し寄せる感情の波に、ただ圧倒されるばかりでした。愛憎渦巻く後宮で、生き残るために闘い続けた魏瓔珞。その強さと賢さ、そして冷徹さの裏に隠された優しさは、最後まで私たちを魅瞭し続けました。
特に印象的だったのは、袁春望の復讐劇の結末です。彼の歪んだ愛と憎しみ、そして哀しい出生の秘密は、見ている者の心を深く抉ります。復讐の鬼と化していた彼も、最後は哀れな存在でしかありませんでした。また、傅恒の死は、あまりにも悲劇的でした。瓔珞への一途な愛を貫き、最期まで彼女を守ろうとした彼の姿は、涙なしには見られません。瓔珞と傅恒の、葉わぬ恋の結末に、胸が締め付けられる思いです。
二番目の皇后の最期もまた、複雑な感情を抱かせます。皇帝への愛ゆえに破滅へと突き進んでしまった彼女の姿は、哀れであり、恐ろしくもあります。愛ゆえの狂気、そしてその果ての虚無感は、後宮という特殊な世界の残酷さを改めて私たちに突きつけます。
最終的に皇貴妃の座に就いた瓔珞。彼女は一体、何を思い、この先の人生を歩んでいくのでしょうか。波乱万丈の物語は幕を閉じましたが、登場人物たちのその後の人生を想像せずにはいられません。まさに、見応えのある最終回でした。
本作の登場人物の運命
富察(フチャ)氏皇后: 体が弱く、第七皇子を出産後に亡くなりました。臨終の際に魏瓔珞に乾隆帝の世話をするよう託し、魏瓔珞は後宮製覇の道を歩み始めます。
嫻妃: 皇后になった後、乾隆帝と性格が合わず、最終的には断髪して乾隆帝との縁を切りました。半年後に後宮で孤独に亡くなり、宜修と同じ道を辿りました。
純妃: 愛ゆえに憎しみを抱き、黒化して皇后を殺害しました。最終的には冷宮に幽閉され、凧糸で絞殺されて首と体が離れ離れになりました。
爾晴: 皇帝と密通して懐妊し、皇后を陥れて自殺に追い込みました。最終的には魏瓔珞と明玉に追い詰められて死にました。
傅恒: 戦功を挙げて魏瓔珞を娶ろうと出徴しましたが、願いは葉わず戦死しました。
明玉: 皇后の死後、純妃に拷問されましたが、魏瓔珞に救出されました。しかし、新婚前夜に自害しました。
愉貴人: 第五皇子を出産した後、皇后の復讐を助けたため、宮廷から追放されました。
魏瓔珞: 姉の復讐を果たし、令妃となりました。最終的には令貴妃になりましたが、幸せではありませんでした。
袁春望: 雍正帝の私生子で、愛ゆえに憎しみを抱き、最終的には正体が暴かれて死にました。
清宮劇では、登場人物の多くが悲惨な運命を辿ります。愛、権力、陰謀など様々な要因で命を落とす人物が続出します。魏瓔珞だけが最終的に成功を収めますが、その代償は大きかったのです。