あらすじ

第19話は、桓欽かんきんが陶紫炁を利用して仙魔大戦を引き起こし、陶紫炁が桓欽かんきんのために命を落とすという悲劇を描いています。柳維揚りゅういようは深い悲しみに暮れ、桓欽かんきんは復讐を誓い、応淵おうえんたちと激しい戦いを繰り広げます。結果、桓欽かんきんは片腕を失いますが、柳維揚りゅういよう桓欽かんきんの逃亡を阻止しようと、命を顧みず戦いに加わります。

応淵おうえんは一時的に天界の政務を執り、桓欽かんきんの残党を粛清し、司沐を人間界へ追放します。亡くなった英雄たちを弔うため、応淵おうえんは葬儀を執り行い、顔淡がんたんはこの愛憎劇を記録に残そうと決意します。

一方、桓欽かんきんは陶紫炁の仇を討つべく、自らの仙霊を修復することに専念します。月瑶仙君と火徳かとく元帥は、桓欽かんきんが再び天界に脅威をもたらすことを懸念し、追捕計画を立てます。司沐は桓欽かんきんの魔力が大幅に衰えていることを知り、応淵おうえんに三大神器を集めて桓欽かんきんを完全に倒すよう進言します。

ネタバレ

桓欽かんきんはついに、陶紫炁を利用していたことを認め、互いにそれぞれの思惑があったことを明かしました。顔淡がんたんは必死に陶紫炁に桓欽かんきんの本性を見抜くよう説得しますが、桓欽かんきんに深く 夢中になったな陶紫炁は、顔淡がんたんの言葉を信じようとしません。実は桓欽かんきんは、柳維揚りゅういようを誘惑するよう陶紫炁に指示し、成功すれば一生を共にすると約束していました。それを信じ込んだ陶紫炁は、命を賭して仙魔大戦を引き起こすことまで厭いませんでした。

戦いが激化する中、陶紫炁は徐々に体力を消耗し、ついに桓欽かんきんの腕の中で倒れてしまいます。陶紫炁が桓欽かんきんのために犠牲になるのを見かねた柳維揚りゅういようは、必死に助けようとしますが、桓欽かんきんが張った結界に阻まれてしまいます。目覚めた陶紫炁は、桓欽かんきんが自分のことよりも権力を愛していることを悟りますが、それでも桓欽かんきんへの深い愛は変わらず、最後は桓欽かんきんの腕の中で息を引き取ります。この光景を目の当たりにした柳維揚りゅういようは、深い悲しみに打ちひしがれ、その場に崩れ落ちます。

桓欽かんきんは、全員を陶紫炁の殉葬にすると誓い、乾坤引を使って顔淡がんたん余墨よぼく応淵おうえんに攻撃を仕掛けます。三人は力を合わせて桓欽かんきんに立ち向かいますが、余墨よぼく顔淡がんたんはすぐに倒され、応淵おうえんだけが桓欽かんきんと一騎打ちを繰り広げます。二人の戦いは激しく、互いに一歩も譲りません。顔淡がんたん余墨よぼくは隙を見て桓欽かんきんを奇襲し、片腕を失わせますが、桓欽かんきんは諦めず、なおも抵抗を続けます。その時、意識を取り戻した柳維揚りゅういようは、桓欽かんきんの仙力を完全に断ち切らなければ勝てないと悟ります。仲間の製止を振り切り、柳維揚りゅういようは戦いに身を投じます。天界はこの戦いで崩壊寸前となり、桓欽かんきんは混乱に乗じて逃亡を図りますが、応淵おうえんが間一髪でそれを阻止します。

その後、火徳かとく元帥は桓欽かんきんの仲間全員の逮捕を命じ、応淵おうえんに新たな帝尊として天界を率いるよう提案し、満場一緻で支持されます。応淵おうえんは一時的に天界の統治を引き受けますが、桓欽かんきんが捕まり、全てが解決するまでは留まると主張します。また、司沐が三翼族の子孫であり、帝尊による三翼族虐殺への怒りから桓欽かんきんに寝返ったことを知り、司沐を人間界に落と罰として鳥に変えます。司沐の問いに対し、応淵おうえんは多くを語らず、帝尊への非難を禁じます。

亡くなった帝尊と芷昔しせき、そして九鰭一族の犠牲者を弔うため、応淵おうえんは盛大な葬儀を執り行い、九鰭一族の戦士たちを皇陵に移し、宗祠を再建し、碑を建てて彼らの功績を称えます。顔淡がんたん芷昔しせきの遺品を整理しながら、複雑な気持ちを抱きます。一方、応淵おうえんは自らの血で負傷した仙衆を癒やし、顔淡がんたんはそれを静かに見守ります。応淵おうえん顔淡がんたんを攻撃しようとしますが、彼女は巧みにそれをかわします。顔淡がんたん唐周とうしゅうを許すことを決め、応淵おうえんには体の回復に専念してほしいと願います。二人は見つめ合い、温かい空気が流れます。

応淵おうえんに連れられ、顔淡がんたんは神獣に乗って天を翔けます。周囲には無数の祈願灯が浮かんでいます。その光景に心を打たれた顔淡がんたんは、陶紫炁、柳維揚りゅういよう桓欽かんきんの愛憎劇を思い出し、物語として記録することを決意します。応淵おうえん顔淡がんたんを慰め、あまり思い悩まないように諭します。顔淡がんたんは二人の人間の願いを葉えてほしいと応淵おうえんに頼み、応淵おうえんはできる限り応えようと約束します。

桓欽かんきんは手にした断情線を見ながら、陶紫炁との愛を思い出します。かつて陶紫炁は断情線を使って、桓欽かんきんが自分にも愛情を抱いていることを確かめ、喜び、桓欽かんきんの目標達成を誓いました。今、桓欽かんきんは陶紫炁が自分にとって最も忠実な伴侶だったと気づき、復讐を誓うと同時に、損なった仙霊の修復を始めます。

月瑶仙君は桓欽かんきんが再び天界を脅かすことを懸念し、火徳かとく元帥は自ら人間界へ桓欽かんきんを追うと申し出ます。しかし、桓欽かんきんは傀儡術で姿を変えることができるため、捜索は困難を極めます。余墨よぼく応淵おうえんに陣法を試みるよう提案します。三大神器が揃えば、仙霊を再構築し、桓欽かんきんに対抗できるとのこと。顔淡がんたんは二重の策を講じるべきだと考えます。

人間に落とされた司沐は、偶然にも桓欽かんきんが魔力のほとんどを失ったことを知ります。応淵おうえんが三大神器を集めて仙霊を再構築すれば、桓欽かんきんを完全に倒せるのです。

第19話の感想

第19話は、愛憎渦巻く壮絶な展開で、息を呑むようなエピソードでした。陶紫炁の桓欽かんきんへの盲目的な愛と、その裏にある桓欽かんきんの冷酷な策略の対比が、物語の悲劇性を際立たせています。桓欽かんきんを利用されていると知りながらも、彼の愛を信じ続けた陶紫炁の姿は、痛々しくも切なく、視聴者の心に深く刻まれるでしょう。柳維揚りゅういようの悲痛な叫びもまた、この悲劇をより一層深くしています。愛する女性を目の前で失い、無力感に苛まれる彼の姿は、胸を締め付けられます。

一方、桓欽かんきんの冷酷さと執念深さも印象的です。目的のためには手段を選ばない彼の姿は、まさに悪の権化と言えるでしょう。しかし、陶紫炁の死によって、彼の心にわずかながらも揺らぎが生じたようにも見えます。今後の展開で、彼の真意が明らかになることを期待したいです。

つづく