あらすじ

第3話は上元節の賑わいの中、紫麟しりん琳琅りんろうは祭りを満喫していました。一方、顔淡がんたん余墨よぼく子炎しえんの錦鯉放流を手伝っていました。顔淡がんたん唐周とうしゅうが流した水燈籠に目を留めます。燈籠に書かれた言葉から、唐周とうしゅうが彼女の笑顔を願っていることに気付きます。唐周とうしゅう凌霄派りょうしょうは掌門しょうもんから恋情を咎められますが、諦めることを拒みます。顔淡がんたん余墨よぼくの治療薬を探すため奔走しますが、丹蜀たんしょくと共に凌霄派りょうしょうはの首席弟子である道遠どうえんに捕らえられてしまいます。時を同じくして、铘闌山えいらんざんの小妖たちが次々と姿を消す事件が発生、紫麟しりん琳琅りんろうの調査で、凌霄派りょうしょうはの仕業であることが判明します。顔淡がんたん丹蜀たんしょくが捕らわれたことを知った余墨よぼくは、二人を救うため凌霄派りょうしょうはへと向かいます。そして、余墨よぼくの助力もあり、唐周とうしゅう顔淡がんたんを連れて凌霄派りょうしょうはの追っ手を振り切り、逃走に成功するのでした。

ネタバレ

上元節の夜、紫麟しりん琳琅りんろうは賑やかな街で灯籠見物を楽しんでいた。美しい花灯に見惚れる二人。空から花びらが舞い散り、紫麟しりん琳琅りんろうの手を取ると、琳琅りんろうは頬を染めた。実はこれは全て顔淡がんたん余墨よぼくが仕組んだサプライズだった。二人は水に浮かべる花灯を手に入れ、子炎しえんと共に鯉の形をした灯籠を流した。

そんな中、顔淡がんたん唐周とうしゅうが流した花灯に気付く。灯籠には「四海昇平春展顔、笑靥深深柳眉淡」と書かれていた。これを見て顔淡がんたんは、かつて帝君應淵だった頃の唐周とうしゅうの願い、六界の平和を願う心を思い出す。今もなお、人間となった唐周とうしゅうは天下のことを案じているのだ。孤独な唐周とうしゅうの姿に、顔淡がんたんは胸を締め付けられた。

その時、凌霄派りょうしょうは掌門しょうもんが現れ、唐周とうしゅうを連れ戻し厳しく叱責する。掌門しょうもんは、唐周とうしゅうが情を捨てれば罰は免除すると告げるが、唐周とうしゅうは苦しみを受け入れる道を選び、無情な人間になることを拒否した。激怒した掌門しょうもんは、唐周とうしゅうを戒めの柱に縛り付けるよう命じる。秦綺が唐周とうしゅうのために弁護するも、掌門しょうもん唐周とうしゅうが情を断ち切らない限り、全ての弟子が彼を鞭打つと宣言。唐周とうしゅうは八十一回の鞭打ちを受けてもなお愛を捨てることを拒み、思過室に閉じ込められた。

その夜、顔淡がんたんは眠れずにいた。唐周とうしゅうの花灯の願い事を思い出し、二番目の願い事は自分の笑顔だと気付く。丹蜀たんしょくが剣の稽古で怪我をした際、顔淡がんたんは助けようとするが、丹蜀たんしょくは自分で買った薬ですぐに治してしまう。顔淡がんたんは同じ薬で余墨よぼくの手首の傷跡を治そうと考え、丹蜀たんしょくと共に薬屋へ向かう。店主は山奥から来た何首烏と名乗り、病気を治すため旅をしていると言う。顔淡がんたんは古い傷跡を消す薬を依頼するが、店主は特別な薬引が必要だと答えた。

薬屋を出た後、顔淡がんたん丹蜀たんしょく凌霄派りょうしょうは道遠どうえんとその仲間たちに遭遇する。道遠どうえん顔淡がんたん唐周とうしゅうに会わせようとするが、顔淡がんたんは拒否。道遠どうえん丹蜀たんしょくが助けられた狼の妖怪だと見抜き、攻撃を仕掛ける。顔淡がんたん丹蜀たんしょくを守るために戦うが、道遠どうえん丹蜀たんしょくの正体を見破り、二人を捕らえるよう命じる。丹蜀たんしょくは鎮妖符を貼られ動けなくなり、顔淡がんたんも降伏を余儀なくされた。

一方、铘闌山えいらんざんでは妖怪の失踪が相次ぎ、不安が広がっていた。紫麟しりん琳琅りんろうは行方不明になった妖怪の痕跡を辿り、洞窟にたどり著く。洞窟で幽霊が出たという噂を聞き、紫麟しりん余墨よぼくに一緒に調査しようと持ちかける。洞窟内を捜索中、紫麟しりん余墨よぼくに山境へ戻り妖怪たちを安心させるよう勧めるが、余墨よぼくは手がかりを探したいと言い残る。余墨よぼくは怪我をした蛇の妖怪を発見し、道袍から妖怪を捕らえているのが凌霄派りょうしょうはだと気付く。蛇の妖怪は監禁の様子を語り、凌霄派りょうしょうはが妖怪を使って錬丹していることを明かす。余墨よぼく凌霄派りょうしょうはに製裁を加える決意をするが、紫麟しりんには山境の安全を最優先に行動しないよう警告する。

余墨よぼくは山境に戻ると顔淡がんたん丹蜀たんしょくがいなくなっていることに気付き、捜索を開始。すぐに戦闘の痕跡を発見する。二人は凌霄派りょうしょうはの弟子に襲われたと推測した余墨よぼくは、地面に落ちていた顔淡がんたんの本の切れ端を見つけ、「唐」という字が書かれていることに気付く。顔淡がんたん丹蜀たんしょく凌霄派りょうしょうはに捕らえられたと悟った余墨よぼくは、紫麟しりん琳琅りんろうに山境の警護を任せ、一人で凌霄派りょうしょうはへ向かう。

秦綺は唐周とうしゅう顔淡がんたんが捕まり、正体がバレてしまったことを伝える。顔淡がんたんに助けられたことがある秦綺は、彼女が傷つけられるのを見たくない。掌門しょうもん顔淡がんたんを殺すと脅すが、顔淡がんたんは自分は妖だが悪事は働いていないし、唐周とうしゅうとは関係ないと主張する。掌門しょうもんは怒り、邪術を使って顔淡がんたんを攻撃。顔淡がんたん掌門しょうもんが邪術を練り、妖怪を誘拐しているのではないかと疑い、軽蔑の視線を向ける。

掌門しょうもんは弟子に誅妖鏡を使って顔淡がんたんを処刑するよう命じる。そこに唐周とうしゅうが駆けつけ、事件は顔淡がんたんとは無関係だと訴える。掌門しょうもん唐周とうしゅうを欺瞞の罪で責め、唐周とうしゅうの師である唐江とうこうが妖に殺されたことを持ち出す。唐周とうしゅうは必死に顔淡がんたんを弁護するが、掌門しょうもんは信じず、忠誠の証として顔淡がんたんを自ら殺すよう要求する。拒否すれば自分が殺すと脅迫する。唐周とうしゅうは拒否し、掌門しょうもんの地位と仙道を捨て、顔淡がんたんを連れていくと宣言。掌門しょうもん唐周とうしゅうの出発を許すが、顔淡がんたんは置いていくよう命じる。弟子たちに囲まれた唐周とうしゅう顔淡がんたん唐周とうしゅう顔淡がんたんを決して諦めないと誓う。秦綺が唐周とうしゅうを庇う中、余墨よぼくが到著し二人を救出する。

顔淡がんたん唐周とうしゅうの傷の手当てをし、仙衣がボロボロになっているのを見て、なぜ早く言わなかったのかと責める。痛みを和らげるために以前渡した花びらを飲むように言うが、唐周とうしゅうはそれを惜しんで飲もうとしない。

第3話の感想

第3話は、唐周とうしゅう顔淡がんたんの揺るぎない愛と、それを取り巻く様々な困難が描かれた、非常に感動的なエピソードでした。上元節の華やかな雰囲気の中、紫麟しりん琳琅りんろうの恋模様が微笑ましい一方で、唐周とうしゅう顔淡がんたんの前に立ちはだかる壁の高さが際立ちます。

唐周とうしゅうは、愛する顔淡がんたんを守るため、掌門しょうもんの命令に背き、仙道さえも捨てる覚悟を見せます。八十一回の鞭打ちという過酷な罰にも耐え、決して情を捨てない彼の姿は、真の強さと愛情の深さを物語っています。掌門しょうもんの頑なな姿勢や、唐江とうこうの死という過去の出来事が、二人の愛をさらに試練へと導きます。

顔淡がんたんもまた、唐周とうしゅうの苦しみを理解し、彼と共に困難に立ち向かおうとする強い意誌を感じます。捕らえられ、誅妖鏡で処刑されそうになっても、決して唐周とうしゅうを裏切らない彼女の姿は、深い愛情と信頼を表しています。

余墨よぼくの活躍も見逃せません。冷静に状況を分析し、的確な行動で唐周とうしゅう顔淡がんたんを救出する姿は、頼もしい限りです。また、紫麟しりん琳琅りんろうのコミカルなやり取りも、物語に彩りを添えています。

つづく