あらすじ
第10話では、火毒に侵された応淵を救うため、顔淡が氷浴による解毒を試みます。彼女は自身の菡萏真気を用いて応淵の回復を助け、その過程で二人の想いは徐々に深まっていきます。
応淵は身体の衰弱から度々苦しみに襲われますが、顔淡は献身的に看病するだけでなく、居心地の良い環境を整えたり、誕生日を共に過ごしたりと、あらゆる方法で彼の苦痛を和らげようとします。
応淵の病を治すため、顔淡は様々な方法を模索します。四葉菡萏の心臓を利用する方法も考えますが、応淵の強い反対に遭います。それでも諦めず、彼女は録鳴に助けを求め、応淵の夢の中に入り、彼を慰め、支えようとします。
この回で、二人の感情は、互いを気遣う気持ちから深い愛情へと発展し、生死を超えた絆が描かれています。
ネタバレ
氷浴で火毒を浄化していた応淵は、体が凍り付いてしまう。そこで顔淡は菡萏真気を送り、応淵は朦朧とした意識の中、思わず顔淡に口づけをする。あまりに強い力で顔淡の唇は血が滲むほどだったが、顔淡は顔を赤らめながらも応淵を抱きしめた。
顔淡は応淵をベッドに寝かせ、湯たんぽで温めながら付きっきりで看病した。応淵が再び目を覚ますと、顔淡は退屈しないようにと、自分の名前の書き方を教える。応淵は感覚を頼りに顔淡に触れ、彼女の唇が傷ついているのに気づくと、優しく撫で、治癒効果のある沉花簪を贈った。顔淡は心温まる思いで、彼を死なせないと心に誓う。
顔淡は小屋を「苟誕居」と名付け、表札を掲げた。そして毎日、自分の菡萏の花弁を一枚ずつ摘み取り、香を焚いて応淵の苦痛を和らげた。献身的な介護のおかげで応淵の容態は徐々に回復し、火毒の発作も少なくなってきた。闇い地涯で顔淡に苦労をかけるのを不忍び、応淵は残された仙力を使って陽光を呼び込み、蓮の花を咲かせた。喜ぶ顔淡は応淵の手を引いて景色を見せ、美しい情景を語りながら、それとなく想いを伝える。しかし、死期が近いことを悟っている応淵は、顔淡を悲しませまいと平静を装う。
顔淡は木々の間にブランコを作り、二人で楽しそうに揺られた。夢の中で応淵の名前を呼ぶ顔淡は、どんな犠牲を払っても彼を救いたいと思っていた。応淵は長生きは望まず、ただ今の顔淡との時間を大切にしたいと願う。顔淡は応淵の髪を抜き、自分の髪と結んで、永遠に離れないようにと祈った。
顔淡は四葉菡萏の心で応淵を救おうとするが、応淵はそれを固く拒む。既に多くの仙君が自分のために命を落としており、これ以上犠牲を出したくないのだ。顔淡は仕方なく諦める。悪夢にうなされる応淵を、顔淡は優しく見守り、慰め続けた。
応淵の悪夢を鎮めたい顔淡は、他人の夢に入れるという暁夢蝶を録鳴から借りることにする。録鳴は長い間蝶の繭を守ってきたが、未だ羽化していなかった。それでも顔淡は成功を信じ、録鳴は蝶を託した。
三日後が応淵の誕生日だと知った顔淡は、祝いの準備をする。誕生日を祝ったことのない応淵に、顔淡は大きな白玉の棺を贈り、一緒に中に入ってみる。誕生日当日、顔淡はこっそり応淵のまつ毛を抜き、願い事をした。応淵も顔淡のまつ毛を抜き、互いに相手の幸せを祈った。
うとうとと眠りについた応淵は、天界に戻った夢を見る。そこは平和で華やかな宴の最中だった。顔淡は応淵を人間界に誘い、応淵も喜んで応じる。常に応淵の傍に寄り添う顔淡だったが、再び火毒の発作が起こり、応淵は危険な状態に陥る。顔淡は全ての霊力を使って彼を救おうとする。朦朧とする意識の中、応淵は顔淡と人間界にいる夢を見る。見つめ合い、応淵はついに顔淡への想いを告げるのだった。
第10話の感想
切なくも美しい愛の物語が、第10話でさらに深まりました。死期が迫る応淵と、彼を救おうと懸命な顔淡の姿は、胸を締め付けられるほどです。
二人が隠れ住む「苟誕居」での生活は、儚いながらも幸せに満ち溢れています。顔淡は、痛みを堪えながら自らの花びらで香を焚き、応淵の苦しみを少しでも和らげようとします。一方、応淵もまた、顔淡のために僅かな仙力で陽光を呼び込み、蓮の花を咲かせます。互いを思いやる二人の姿は、まさに純愛の極みと言えるでしょう。
特に印象的なのは、顔淡が応淵に白玉の棺を贈るシーンです。死を目前にした応淵への贈り物としてはあまりに衝撃的ですが、そこには、どんな状況でも一緒にいたいという顔淡の強い想いが込められています。棺の中で並んで横たわる二人の姿は、生と死の境さえも超えた絆を感じさせます。
つづく