あらすじ
第十五話は、身分を隠した応淵が天牢にいる顔淡を見舞う場面から始まります。彼女のやつれた姿に心を痛め、必ず守ると誓います。その後、余墨が顔淡を助けに来ますが、彼女は無実を証明したいと、逃げることを拒みます。
三日後、応淵は顔淡を天刑台へ連れて行きます。蛍灯の反対を押し切り、無橋へと向かいます。無橋の上で、応淵の冷酷な言葉に絶望した顔淡は、橋から身を投げます。応淵もすぐ後を追います。駆けつけた余墨たちは、顔淡と応淵が橋から落ちたことを知り、余墨は顔淡が生きていると信じ、必ず見つけ出すと誓います。
応淵に助けられた顔淡は、彼との会話の中で、芷昔をかばった真相を明かします。しかし、顔淡の仙霊は砕け散ってしまい、天界に戻ることはできません。
最後は、夜叉乙藏の案内で、顔淡は忘川に入り、記憶を消して人間となる道を選びます。一方、応淵は情罰を受け、帝尊によって顔淡の記憶を消されてしまいます。応淵は私情を捨て、三界の平和を守るために職務に専念することを誓います。
ネタバレ
牢獄でやつれた顔淡を、身を隠した応淵は見舞う。顔淡が目覚めると、応淵は思わず伸ばした手を引っ込め、彼女を守ると誓う。その後、余墨が救出に来るも、顔淡は無実を証明したいと拒否。応淵が天界からの離脱を許したと伝え、三日後に天刑台で待つ約束をする。
三日後、応淵自ら顔淡を天刑台へ連れて行き、縄を解く。蛍灯は逃亡を懸念し仮対するが、応淵は彼女を同行させない。顔淡は毒を盛っていないと訴えるも、蛍灯への情罰の脅しにより、応淵は公に庇えず、規則に従うしか無い。約束を破られた顔淡は失望する。
無橋に来た顔淡は、応淵への恋情が天規違仮だと認め、自ら命を絶つよう願う。天兵が襲いかかろうとするのを応淵は止める。真意を問いただす顔淡に、応淵は天下を憂い私情は無いと告げ、絶望した顔淡は無橋から身を投げる。応淵も後を追う。
帝尊はこの事態を知り、無橋に結界を張る。天刑台に駆けつけた余墨と録鳴は、泣いている芷昔から二人 terjun の一件を知る。録鳴曰く、ここから落ちれば仙霊が損なわれるか、消滅するかのどちらか。余墨は助けようと飛び込もうとするが結界に阻まれ、腕の菡萏の花の異変から顔淡の生存を確信し、探し出すことを誓う。
目を覚ました顔淡は、応淵に助けられたことを知る。芷昔を守るため、自分が顔淡だと明かさなかったことを応淵は見抜き、顔淡は驚き喜ぶ。しかし、なぜあんなに冷酷な言葉を言ったのか理解できない。応淵は顔淡の仙霊が砕け、天界に戻れないと悟り、ある場所へ送ることにする。暁夢蝶で応淵の心を取り戻そうとする顔淡だが、応淵は蝶を壊し、現実を受け入れ、諦めるよう諭す。
忘川の夜叉・乙藏が顔淡を迎えに来る。夜忘川を渡り記憶を消せば、人間として人間界へ行けると告げる。過去を記録した冥火灯を渡され、川を渡り終えた時に灯が消えていれば、記憶が消えた証だという。顔淡は灯を持ち、全てを忘れる様を見届けてほしいと応淵に頼む。応淵は障眼法で暁夢蝶を隠し、顔淡に完全に諦めさせようとする。顔淡は決然と夜忘川へ足を踏み入れる。乙藏は怪我をするといけないからと応淵に立ち去るよう促し、応淵は仕方なくその場を離れる。
天界に戻った応淵は帝尊に報告し、叱責を受ける。火徳元帥が免罪天書を持ってくるが、帝尊の仮対を押し切り、応淵は情罰を受ける決意をする。蛍灯と火徳元帥は嘆願するも、帝尊は聞き入れない。蛍灯は顔淡の記憶を消すよう願い、帝尊はそれを受け入れる。
夜忘川で応淵との記憶を消そうと苦しむ顔淡。応淵は顔淡の幻影を見るが、手を伸ばすと消えてしまう。応淵は顔淡との記憶を仙霊に封じ、三界の平和のため私情を捨て職務に励むと誓う。帝尊もそれを認め、願いを聞き入れる。
第15話の感想
第15話は、まさにクライマックスと呼ぶにふさわしい、息詰まる展開でした。顔淡と応淵の悲恋が、これほどまでに残酷に描かれるとは想像もしていませんでした。特に、無橋での二人のやり取りは、胸が締め付けられるような思いでした。顔淡の必死の覚悟と、それでも応淵に縋るような問いかけ。そして、応淵の冷酷にも聞こえる言葉。二人の間の深い愛情と、それを阻む天界の掟の狭間で、もがき苦しむ姿に、涙が止まりませんでした。
応淵が顔淡の後を追って無橋から飛び降りるシーンは、彼の揺るぎない愛を感じさせる一方で、なぜもっと早く真実を告げられなかったのかというもどかしさも残ります。蛍灯の存在や天界の秩序など、様々な要因があったことは理解できますが、それでも、もう少し早く二人の心が通じ合っていれば…と思ってしまいます。
夜忘川での別れのシーンも、非常に切ないものでした。記憶を消すという残酷な選択を迫られた顔淡の悲しみ、そして、それを静かに見守る応淵の苦悩。暁夢蝶を隠すシーンでは、応淵の顔淡への深い愛情と、同時に、彼女をこれ以上苦しめたくないという思いが強く伝わってきました。
つづく