あらすじ
第十六話は、夜忘川に戻って乙藏を探す顔淡と、彼女を救うために重傷を負い、仙力が尽き果て生死の境を彷徨う応淵の姿を描いています。帝尊は応淵に仙力を送り込み、二度と俗世に関わってはならないと警告します。目を覚ました応淵は、危険を顧みず焚元炉から顔淡が修繕した混元玉帯を取り戻し、帝君の座を退き、苟誕居で罪を償うことを決意します。余墨は応淵が苟誕居にいるのではないかと疑いますが、録鳴に止められます。録鳴は応淵が顔淡のために植えた蓮の実を見せ、二人は下界へ顔淡を探しに行くことを決めます。芷昔は顔淡が残した品々を見て罪悪感を抱き、彼女の行方を探ろうとします。応淵と芷昔は二人とも、渡川者の名簿に注目しています。一方、余墨と朝瀾は婚礼の機会を利用して天界から脱出します。朝瀾は自らの幸せを犠牲にして余墨が結界を開くのを助け、余墨は傷を負いながらも顔淡を探すため下界へと降りていきます。
ネタバレ
闇に包まれた夜忘川で、過去の記憶に囚われた顔淡は乙藏と再会する。乙藏は魂の記憶が七日で消えることもあると教え、顔淡に休息を勧める。
一方、情罰により瀕死の重傷を負った応淵は、無橋から身を投げたことで更に容態が悪化。仙侍たちは天医を呼ぶこともできず、帝尊が駆けつけ仙力を注ぎ込む。煙火の気に触れれば百年昏睡、もしくは命を失う危険があると警告される。
目覚めた応淵は、顔淡が修繕した混元玉帯が焚元炉に捨てられたことを知り、危険を顧みず炉に飛び込み玉帯を取り戻す。己の命の危険を悟った応淵は帝君を辞し、衍虚天宮を去り、顔淡との愛を胸に苟誕居で贖罪の日々を送ることを決意する。
苟誕居の灯火を見つけた余墨は、応淵への怒りを抑えきれず乗り込もうとするが、録鳴に止められる。録鳴は、応淵が顔淡のために火徳元帥に天書を願い、無橋から飛び降りたことを語り、彼の真摯な愛を伝える。それでもなお疑う余墨に対し、録鳴は池の蓮の実を見せ、共に下界へ顔淡を探しに行くよう説得する。
顔淡の形見を整理していた芷昔は、多くの物が自分に宛てられたものだと知り、深い罪悪感に苛まれる。神廟で顔淡の無事を祈る芷昔を蛍灯が嘲笑い、顔淡の形見である仙力の入った瓶を割ってしまう。芷昔は復讐を誓う。
顔淡の行方を探すため、芷昔は仙籍官に賄賂を渡し、夜忘川を渡った者の名簿を手に入れる。応淵もまた毎日名簿を確認していた。蛍灯は偽の名单を作り、芷昔と応淵を絶望させようと企む。
苟誕居で天界の政務をこなす応淵のもとに、芷昔が偽の名单と共に顔淡が下界へ渡ったと知らせに来る。応淵は内心動揺しながらも、冷淡を装い芷昔を追い返す。
下界への道を模索していた余墨は、「九鰭文典」に記された九鰭の龍角の力に望みを託す。朝瀾は帝尊から賜った九転回丹で余墨の仙力を回復させ、自らの幸せのため敖宣との結婚を受け入れ、その隙に余墨を逃がす計画を立てる。
朝瀾と余墨は協力して結界を開こうとするが、二人の行動を私奔と誤解した敖宣が龍族の秘技で阻止しようとする。余墨は龍角で結界をこじ開けるが、敖宣の攻撃を受け重傷を負う。それでもなお、余墨は朝瀾に別れを告げ、顔淡を探すため下界へと旅立つ。
第16話の感想
第16話は、登場人物それぞれの苦悩と決意が交錯する、非常に重く、そして切ないエピソードでした。特に応淵の苦しみは胸を締め付けられるものがあります。愛する者を救うために身を投げ、情罰に苦しみ、それでもなお顔淡への想いを断ち切れない。帝君の座を捨て、苟誕居で孤独に贖罪の日々を送る姿は、彼の深い愛情と責任感を感じさせます。彼が焚元炉から取り戻した混元玉帯は、もはや形見以上の意味を持ち、視聴者にもその重みが伝わってくるようでした。
余墨の顔淡への一途な想いも印象的です。復讐心と友情の間で揺れ動く姿は人間味あふれるもので、録鳴の説得により共に下界へ行くことを決意するシーンは、二人の絆の深さを感じさせました。朝瀾の自己犠牲もまた感動的です。自らの幸せを犠牲にしてまで余墨を助けようとする彼女の献身的な愛は、涙を誘います。敖宣との結婚という選択は、彼女にとってどれほど辛い決断だったのかを想像すると、胸が痛みます。
芷昔と蛍灯の対比も鮮明に描かれています。罪悪感に苦しむ芷昔と、相変わらず悪意に満ちた蛍灯。二人の対立は今後どのように展開していくのか、目が離せません。蛍灯の偽の名单による策略は、応淵と芷昔に更なる苦しみを与えることになり、物語の展開に闇い影を落とします。
つづく