あらすじ

第二十八話は、主に余墨よぼく唐周とうしゅう顔淡がんたんを見つけ出し、治療へと連れて行く過程と、宮中の悪妖の真相を究明しようと奔走する様子を描いています。顔淡がんたんは毒に侵されていましたが、余墨よぼく唐周とうしゅうの言い争いを止め、この出来事を記録に残すと申し出ます。

三人はその後、王宮へ向かい、捉妖師たちに囲まれた絳辰こうしんを見つけます。絳辰こうしんは必死に抵抗しますが、毒が深く、ついに力尽き、無念のうちに息を引き取ります。顔淡がんたん唐周とうしゅうは真犯人は別にいるのではないかと疑い、宮中の曇花が異様に繁茂していることに気づき、妖術が使われているのではないかと考えます。

余墨よぼく絳辰こうしんの部屋で封印された木箱を見つけ、裴洛はいらくからそれは絳辰こうしんの形見だと聞かされます。裴洛はいらく余墨よぼくに、絳辰こうしんが自分の病を治してくれた時の話を語り、彼女が妖だと知っていながらも深く愛していたことを告白します。余墨よぼくは、行方不明になっていた異眼いえん裴洛はいらくにあることを発見し、取り戻すための行動に出ることを決意します。

ネタバレ

蛍灯けいとうの毒で妖力を失い、人型に戻れない顔淡がんたん余墨よぼくは解毒に努め、铘闌山えいらんざんの温泉で療養させようとしますが、唐周とうしゅうは宮中の異変の元凶である妖の討伐を優先すべきだと主張します。顔淡がんたんは二人の言い争いを止め、自ら妖退治に協力することを提案。余墨よぼくは万妖の王として、妖の正体を突き止めようとします。顔淡がんたんは自分の妖力はすぐに回復すると信じ、「紅塵録こうじんろく」にこの出来事を記すと言い、二人は同意します。

その時、安都王あんとおうからの知らせで宮中に妖が現れたことが分かります。三人は急いで王宮へ向かうと、捉妖師たちに囲まれた絳辰こうしんの姿がありました。絳辰こうしんは抵抗しますが、毒が深く、力尽きてしまいます。最期の時、彼女は恋人である裴洛はいらくとの日々を思い出し、助けが必要な時に捉妖師の警告を恐れた裴洛はいらくが手を差し伸べてくれなかったことを悔やみながら消滅します。余墨よぼくたちは悲しみに暮れます。

顔淡がんたん絳辰こうしんが無実だと確信し、唐周とうしゅう絳辰こうしんの体内に妖力がないことを確認、真犯人は別にいると推測します。また、唐周とうしゅうは宮中の曇花の異常な繁茂に気づき、妖術が関わっているのではと疑います。顔淡がんたんは二人のわだかまりを解き、協力して真犯人を探し、絳辰こうしんの名誉を回復するように促します。裴洛はいらくは捉妖師たちを集め、絳辰こうしんを民を脅かす妖だと糾弾しますが、余墨よぼく凌霄派りょうしょうは大師兄だいしけいを装い、絳辰こうしんを弁護し、真犯人究明を訴えます。

余墨よぼく絳辰こうしんの部屋で封印された木箱を見つけます。裴洛はいらくはそれが絳辰こうしんの形見だと告げ、余墨よぼく唐周とうしゅうを夜半に後庭園へ招きます。そこで裴洛はいらく絳辰こうしんのために衣冠塚を建て、彼女が生前好んだ梅酒を供え、自身の病と、絳辰こうしんが彼のために人殺しをして錬丹していた事実を明かします。彼は絳辰こうしんが妖だと知っていたが、愛していたと語ります。

余墨よぼくは弔いの最中、失った片目が裴洛はいらくにあることに気づきます。裴洛はいらくの腰には鎮妖の宝物が付いており、それがないと異眼いえんを取り戻せません。絳辰こうしんの死で落ち込む顔淡がんたんに、余墨よぼくは妖力回復のための花露を与えます。異眼いえんを取り戻し、顔淡がんたんを助けるため、余墨よぼくは行動を起こす決意を固めます。

唐周とうしゅうは浄生符で曇花の怨霊を祓おうとしますが失敗します。宮女の話では、裴洛はいらくが降妖師を呼んだものの効果がなく、その後護城河が血で染まり、烏が群がり、曇花が宮中を埋め尽くしたといいます。唐周とうしゅう絳辰こうしんがそんなことをするとは信じられません。

余墨よぼく裴洛はいらくと芝居見物に行き、彼の腰にある鎮妖の宝物が千年桃木で作られた霊陣を持つものであることを確認します。木箱を開けたい裴洛はいらくは、余墨よぼくに出入り自由の令牌を渡します。唐周とうしゅうが曇花の怨霊について尋ねると、余墨よぼくはわざと彼と衝突し、裴洛はいらくの警戒を解きます。余墨よぼくは令牌を唐周とうしゅうに渡し、二人で協力して真相を調べようと持ちかけます。顔淡がんたんは二人の喧嘩が芝居だと見抜き、唐周とうしゅうと共に手がかりを探します。

令牌を使って絳辰こうしんの寝宮を捜索する唐周とうしゅうですが、不審な点は見つかりません。宮女が枯れた花を捨てているのを見かけます。それは絳辰こうしん裴洛はいらくが一緒に植えた花で、顔淡がんたん裴洛はいらくの冷酷さに心を痛めます。裴洛はいらくの側妃である蛍灯けいとうは、唐周とうしゅうの正体が帝君応淵おうえんだと気づき、彼を自分の宮に招き、合歓露で惑わし、神力を奪おうと企みます。

第28話の感想

第28話は、絳辰こうしんの悲劇的な最期と、真犯人探しの本格的な開始が描かれた、切なくも緊迫感あふれるエピソードでした。愛する人のために罪を犯し、最後は誰にも理解されることなく消滅してしまった絳辰こうしんの姿は、本当に哀れで、胸が締め付けられました。裴洛はいらくの告白は衝撃的でしたが、彼の本心はどこにあるのか、まだ分かりません。愛していたと言いながら、捉妖師に絳辰こうしんの正体を明かさなかったのは何故なのか、疑問が残ります。

余墨よぼく唐周とうしゅうの関係性も、このエピソードで大きく変化しました。最初は対立していた二人ですが、顔淡がんたんの仲介もあり、協力して真犯人を探すことを決意します。特に、芝居見物中の二人のやり取りは、息がぴったりで、見ていて面白かったです。偽りの喧嘩で裴洛はいらくの警戒を解き、令牌を手に入れるという作戦は、二人の頭の良さが際立っていました。顔淡がんたんも二人の演技を見破り、自ら捜査に協力するなど、三人で力を合わせて真相に迫ろうとする姿に、今後の展開への期待が高まります。

蛍灯けいとうの再登場も、不穏な空気を漂わせています。唐周とうしゅうの正体を見破り、神力を奪おうと企む彼女の存在は、今後の物語に大きな波乱を巻き起こしそうです。唐周とうしゅう蛍灯けいとうの罠にハマってしまうのか、それとも仮撃に出るのか、今後の展開から目が離せません。

つづく