あらすじ
第三十二話は、顔淡と余墨が敖宣の暗殺計画を企てる場面から始まります。しかし、蛍灯が事前に敖宣に計画を漏らしてしまうのです。敖宣と朝瀾の婚礼当日、顔淡と余墨は計画通りに事を進めますが、敖宣は既に警戒していました。機転を利かせた顔淡は、朝瀾の婚礼衣装に着替えるという奇策を用いて、敖宣の罠を回避することに成功します。そして最後は、唐周の加勢もあり、彼らは敖宣を打ち破ることができました。
一方、蛍灯は裴洛との関係を疑われ尋問を受けますが、決定的な証拠はありませんでした。そこで唐周は、蛍灯の真意を探るため、美男計を用いて試してみますが、逆に蛍灯から告白されてしまいます。困惑した唐周は、最終的に彼女に忘痴咒をかけました。
その後、朝瀾は民衆を慰め、これからの平和を約束します。そして余墨は、創世大戦の真相を探るべく、引き続き調査を続けていくのでした。
ネタバレ
顔淡と余墨は、蛍灯に作戦計画を聞かれます。顔淡は荊軻刺秦王の故事になぞらえ、自分が余墨に扮して木箱に入り、余墨は龍宮の侍衛に扮して敖宣を闇殺する計画を明かします。余墨は何度も秘密にするよう忠告しますが、顔淡は蛍灯の追及に負け、全て話してしまいます。
蛍灯は唐周への深い愛情を口実に、唐周の代わりに作戦に参加したいと申し出ます。顔淡は承諾しますが、後から来た唐周も参戦を希望します。しかし、余墨は唐周に祝宴の準備を頼み、唐周は諦めます。実は、蛍灯はすぐに無影獣を使って敖宣に計画を漏らしていました。
敖宣と朝瀾の結婚式当日、東海龍宮は賑やかですが、緊張感も漂います。蛍灯の情報を得た敖宣は既に準備を整え、余墨を待ち構えています。三海の将兵が出陣準備をし、朝衍は出陣前の訓示を行います。余墨は侍衛に扮して木箱を運び、部隊を率いて東海へ向かいます。
南海からの使者が到著したと聞き、敖宣は朝瀾を呼び寄せます。朝衍と余墨一行が正殿に到著すると、蛍灯はこっそり敖宣に合図を送ります。余墨が木箱を差し出すと、敖宣はそれを奪い、余墨を突き飛ばし、待ち伏せていた侍衛たちが朝衍たちを取り囲みます。余墨は仮面を外し敖宣と対峙します。敖宣は木箱を壊すと脅しますが、余墨は屈しません。敖宣が木箱を壊すと、中から大きなスイカが出てきて驚愕します。
実は、顔淡は最初から木箱の中に隠れていました。唐周は顔淡の安全を心配し、余墨と相談して「狸猫換太子」の計略を考え出します。顔淡は部隊に紛れ込み、朝瀾を見つけ、彼女の婚礼衣装に著替え、朝瀾を南海に帰します。怒った敖宣は顔淡を攻撃しますが、唐周と余墨が彼女を守ります。二人は協力して敖宣を捕らえます。顔淡は唐周に敖宣の胸にある逆鱗を攻撃するよう促し、唐周は敖宣を負傷させます。敖宣は蛍灯を人質に逃げます。
余墨は敖宣に降伏を命じますが、敖宣は拒否し、蛍灯を連れて逃げます。蛍灯は計画の変更を知らなかったと弁明しますが、敖宣は既に彼女の正体を知っており、無影獣を使って天界に応淵が生きていることを報告していました。怒った蛍灯は碎魂鉤で敖宣を刺し殺し、無影獣も消滅させます。
駆けつけた顔淡と余墨は、蛍灯が敖宣を殺したのを目撃します。蛍灯は敖宣が自分を朝瀾と交換しようとしたため、仕方なく殺したと主張します。顔淡は蛍灯を支え、余墨は地面に落ちた無影獣の指輪を拾います。北海と西海の龍王は侍衛たちに降伏を勧告し、敖宣の死を確認した侍衛たちは武器を置きます。
余墨は東海龍宮で創世大戦の資料を探している中に、もう一つの無影獣の指輪を見つけます。朝衍はそれが白龍族の霊獣だと気づき、無影獣を呼び出します。無影獣は東海白龍族と修羅族が手を組んで九鰭族を滅ぼし、三大帝君などを殺害する計画を記録していました。朝衍は帝尊に報告することを決め、黒幕は天界の人物だと推測します。余墨は北溟仙君の仇を討つことを誓います。
顔淡は蛍灯が裴洛と共謀して絳辰を毒殺したのではないかと疑いますが、証拠がありません。彼女は蛍灯に薬を煎じ、唐周に届けさせることで、美男計を使って蛍灯を探り、彼女が唐周の夢の中の女性かどうかを確認することにします。唐周は拒否し、逆に顔淡に美男計を使い、顔淡は赤面して逃げ出します。
唐周は蛍灯に安神湯を届けます。蛍灯は具合が悪いふりをして唐周の手を取り、愛を告白します。唐周は仕方なく彼女に忘痴呪をかけると、蛍灯の顔に黒い斑点が現れます。蛍灯は唐周の冷酷さを責め、全てを捧げたのに冷遇されると嘆きます。唐周は彼女の訴えを聞かず、立ち去ります。蛍灯は唐周に四大神器を集めて仙衣を修復しなければ消滅すると警告します。彼女は顔淡の心を使って唐周の傷を癒そうとしますが、唐周は剣を抜いて阻止します。蛍灯は絶望し、顔淡を殺すと誓います。
朝衍は唐周の安全を心配し、南海の喚憶珠を贈り、四大神器を探し出して仙位を取り戻すのを助けます。唐周は朝衍に夢の中の女性が橋から飛び降りたことについて尋ね、朝衍は喚憶珠を使って答えを探すよう勧めます。
朝瀾は戦争を心配する少年を慰め、未来の四海の平和を約束します。通りかかった余墨も、朝瀾が慈悲深く愛に満ちた四海龍尊になると言います。
第32話の感想
第32話は、怒涛の展開で息つく暇もないほどでした。敖宣との対決、蛍灯の裏切り、そして衝撃の結末と、見どころ満載のエピソードでした。
特に印象的だったのは、敖宣との決戦シーンです。狸猫換太子の計略、唐周と余墨の共闘、そして顔淡の機転など、手に汗握る攻防が繰り広げられました。敖宣の最期はあっけないものでしたが、蛍灯の狂気と冷酷さが際立つシーンでもありました。
蛍灯は、自分の目的のためには手段を選ばない狡猾なキャラクターとして描かれています。唐周への歪んだ愛情、顔淡への嫉妬、そして権力への渇望など、彼女の複雑な内面が垣間見えるエピソードでした。敖宣を利用し、最後は自ら手を下すという彼女の行動は、まさに悪女の典型と言えるでしょう。
つづく