あらすじ

第三十四話は、唐周とうしゅう余墨よぼく顔淡がんたんの三人が神霄宮しんしょうきゅうの秘密を探るため、歓楽街「尽歓坊じんかんぼう」に潜入する様子を描いています。顔淡がんたんは男装して潜り込み、富豪の肖棄しょうきが踊り子の拂霜ふっそうに言い寄っているところを目撃します。そこに柳維揚りゅういようが颯爽と現れ、拂霜ふっそうを救います。肖棄しょうきを取り調べた余墨よぼく唐周とうしゅうは、神霄宮しんしょうきゅうの不正行為と構成員の特徴を掴みます。一方、顔淡がんたん柳維揚りゅういよう拂霜ふっそうを傷つけたと思い込み、罰を与えてしまいますが、後に誤解だと気づきます。三人は調査を進め、尽歓坊じんかんぼう神霄宮しんしょうきゅうの繋がりを発見します。顔淡がんたん柳維揚りゅういようは囲碁を打ちながら親交を深めます。唐周とうしゅうは冷水での修行が祟って風邪をひき、顔淡がんたんは彼が拂霜ふっそうに贈り物をするのだと勘違いして怒ってしまいます。この回では、神霄宮しんしょうきゅうの秘密がさらに明らかになると同時に、登場人物たちの複雑な感情の絡み合いも描かれています。

ネタバレ

唐周とうしゅうは遊郭に行くのを渋っていたが、余墨よぼくに促され、尽歓坊じんかんぼうへ捜査に向かう。顔淡がんたんは男装して潜入する。花魁の拂霜ふっそうの舞に客たちは魅瞭されていた。地元の富豪、肖棄しょうき拂霜ふっそうに一目惚れし、千金で一夜を共にしようと持ちかける。顔淡がんたん肖棄しょうきが悪名高く、多くの事件に関わっていることを知るが、役人と繋がりがあるため、誰も手出しできないでいた。

尽歓坊じんかんぼうの主人は拂霜ふっそうを庇い、酒で済ませようとするが、肖棄しょうきは交杯酒を要求する。その時、鸚鵡が飛び込んできて場が混乱する中、柳維揚りゅういよう[真の姿は邪神・玄襄げんじょう]が現れ、肖棄しょうきを非難する。拂霜ふっそう柳維揚りゅういように感謝し、共に酒を酌み交わす。肖棄しょうきは怒り、尽歓坊じんかんぼうを役所に訴えると捨て台詞を残して去る。

顔淡がんたん余墨よぼく唐周とうしゅう肖棄しょうきの尋問を任せ、自身は柳維揚りゅういようを調べることにする。唐周とうしゅう顔淡がんたんに気を付けるよう言い、三人は別行動をとる。余墨よぼく唐周とうしゅう肖棄しょうきから、謎の組織「神霄宮しんしょうきゅう」の存在、構成員が銷魂散しょうこんさんなどの薬物を使用していること、そして体に梅の花の刺青があることを聞き出す。さらに、尽歓坊じんかんぼうの裏庭で神霄宮しんしょうきゅうの構成員を見かけたという情報を得る。

顔淡がんたん柳維揚りゅういようを尾行し、裏庭で拂霜ふっそうに針を刺しているのを目撃する。柳維揚りゅういようを悪人と思い込み、痒み粉を使う。柳維揚りゅういようは苦しむが、拂霜ふっそうの懇願で報復をやめる。顔淡がんたんは誤解に気づき謝罪する。柳維揚りゅういようは鸚鵡を使って顔淡がんたんの逃走を阻止し、尽歓坊じんかんぼう神霄宮しんしょうきゅうと関係している可能性を伝える。

余墨よぼく唐周とうしゅう尽歓坊じんかんぼうを捜索し、大量の薬物と狭葉蒲根きょうようほこんを発見する。そこに柳維揚りゅういようが現れ、狭葉蒲根きょうようほこんの用途を説明し、神霄宮しんしょうきゅうが麻薬を作っている可能性を示唆する。そして、三人は既に神霄宮しんしょうきゅうに目をつけられていると警告する。

事態をさらに詳しく知るため、余墨よぼく唐周とうしゅう尽歓坊じんかんぼうに滞在することにし、顔淡がんたん柳維揚りゅういようの正体を調べることにする。柳維揚りゅういよう顔淡がんたんに碁を申し込む。顔淡がんたんは碁は苦手だが、勝負を受け、負けた方が相手に質問一つに答えるという条件をつける。数局打ち、顔淡がんたんは一局目を落とし、柳維揚りゅういようは二局目を落とす。この過程で、二人の間に誤解が生じるが、最終的には解消される。

夜、余墨よぼく唐周とうしゅうを川辺に連れて行き、冷水に浸かることで感情を抑えるよう助言する。凌霄派りょうしょうはの跡取りである唐周とうしゅうは、情に流されてはいけない立場にあるからだ。唐周とうしゅうは冷水の中で顔淡がんたんへの想いを巡らせ、風邪をひいてしまう。顔淡がんたん余墨よぼくは茶館で話を聞きながら、唐周とうしゅうのために菓子を買って帰る。

茶館では神霄宮しんしょうきゅうに関する様々な噂を耳にする。その後、二人は肖棄しょうきの弔問に訪れ、家令から、肖棄しょうきが死ぬ前夜、梅の簪を挿した老女に会っていたこと、そして肖棄しょうきの首の傷が梅の形に価ていることを聞き、神霄宮しんしょうきゅうの仕業ではないかと疑う。

拂霜ふっそうは再び唐周とうしゅうに護身術を習いに来る。体調の悪い唐周とうしゅうだが、丁寧に指導する。拂霜ふっそう唐周とうしゅうが持っていた沉花簪に目を留め、欲しがるが、唐周とうしゅうは拒否する。そこへ菓子を届けに来た顔淡がんたんは、唐周とうしゅう拂霜ふっそうに沉花簪を贈ったと勘違いし、怒って帰って行く。拂霜ふっそうは事態を察し、唐周とうしゅう顔淡がんたんを追いかけるよう促す。

今回の話は、顔淡がんたん唐周とうしゅうへの誤解と、二人と余墨よぼくによる神霄宮しんしょうきゅうへの捜査を中心に展開し、捜査における困難や登場人物たちの関係性の深まりが描かれている。

第34話の感想

第34話は、サスペンス要素と恋愛模様が絶妙に絡み合い、見応えのある展開でした。特に印象的だったのは、顔淡がんたんの男装での潜入捜査です。男装姿も可愛らしく、機敏な動きで事件の真相に迫ろうとする姿は、彼女の芯の強さと賢さを改めて感じさせました。肖棄しょうきとのやり取りや、柳維揚りゅういようとの出会いなど、男装によって生まれるコミカルなシーンも楽しめました。

一方、唐周とうしゅうは、冷水に浸かって感情を抑えようとするシーンが印象的です。凌霄派りょうしょうはの跡取りとしての責任感と、顔淡がんたんへの想いの間で葛藤する姿は、彼の真面目さと優しさを際立たせていました。風邪をひいてしまう唐周とうしゅうを心配する顔淡がんたんの姿からは、二人の間に確かな絆が生まれていることを感じます。

また、謎の組織「神霄宮しんしょうきゅう」の存在が明らかになり、物語は新たな局面を迎えました。銷魂散しょうこんさん狭葉蒲根きょうようほこんといった薬物の登場、そして梅の花の刺青など、ミステリアスな要素が散りばめられており、今後の展開への期待が高まります。特に、肖棄しょうきの死と梅の簪を挿した老女の登場は、神霄宮しんしょうきゅうの闇躍を強く示唆しており、今後の捜査の行方が気になります。

つづく