あらすじ
第35話は、顔淡が唐周、余墨と共に肖棄殺害事件の手がかりである梅の簪を調査する様子を描いています。ついに、拂霜が神霄宮のメンバーであることを突き止め、その正体を確認します。その後、三人は拂霜の後を追って神霄宮の宮主、柳維揚が作り出した幻境へと足を踏み入れます。柳維揚は唐周に理塵を使って魔相の入り口に充満する瘴気を除去し、記憶を取り戻すよう依頼し、両者は合意に至ります。魔相の中では、顔淡は夢を見、唐周たちと共に九尾の蛇と戦い、最終的に神器の楮墨を手に入れます。この過程で、顔淡の唐周への想いはより複雑になり、一方、余墨と琳琅の恋模様にも進展が見られます。
ネタバレ
顔淡は紅塵録の脚本に苦戦し、ため息ばかりついている。余墨は彼女を励まそうと特製チャーハンを作るが、顔淡は食欲がない。余墨は顔淡の心に唐周への想いがあることを見抜き、ゆっくりと人間の感情を理解するよう諭す。同時に、唐周は凌霄派の掌門を継ぐ身であり、情愛を断つべき立場であることを忠告する。
一方、琳琅は弟子の治療で妖力を失い、回復に苦しんでいた。紫麟は琳琅を元気づけようと、筆の精霊に頼んで偽の筆仙を演じさせる。紫麟の仕組んだ恋占いで、筆仙は琳琅の相手として紫麟を指すが、琳琅に見破られてしまう。怒った琳琅は紫麟と精霊を攻撃するが、紫麟は琳琅への想いを告白し、結婚を申し込む。琳琅はさらに怒り、紫麟を追いかけ回し、精霊は二人の縁を感じつつも、面倒を避けて沈黙を守る。
顔淡と唐周は肖棄殺害事件の手がかりを求め、簪を売っていた店を訪ねるが、有力な情報は得られない。唐周は顔淡に拂霜との関係を説明し、花を贈って謝罪する。顔淡は唐周の謝罪を受け入れ、簪を取り戻す。そこに余墨が合流し、店主から拂霜が簪を注文していたことを聞く。顔淡は拂霜が神霄宮の関係者で、事件の犯人ではないかと疑い始める。拂霜の体に三瓣梅の刺青があれば、彼女の正体が証明できる。顔淡は自ら調査に乗り出し、拂霜が入浴中に彼女の腕にある蝶の刺青が湯気で三瓣梅の形に変化するのを見つける。
顔淡は唐周と余墨にこの発見を伝え、唐周は拂霜が神霄宮に連絡するだろうと予測し、様子を見ることにする。予想通り、夜に拂霜が動き出し、三人で後をつける。辿り著いた場所は、昼のように明るく、梅の花が咲き乱れ、水が流れる不思議な空間だった。顔淡はここが鏡湖水月の幻境で、強力な修練者の霊力によって作り出された空間だと気づく。そして、神霄宮の宮主の霊域だと推測する。宮主が現れ、正体は柳維揚だった。二人は既に柳維揚を疑っていた。柳維揚は自分の正体を認め、三人の霊力を奪うと脅す。唐周と余墨は協力して戦うが、柳維揚の法陣は強力だ。顔淡は柳維揚が理塵を使えないため、三人をここに誘い込んだと推測する。柳維揚は魔相の瘴気を理塵で消し去り、記憶を取り戻したいと明かし、その代わりに過去の因縁を水に流すと約束する。
柳維揚は三人を神霄宮に案内し、巨大な黒い渦巻き「魔相」を見せる。彼は記憶を失った後、朱翠山で老人に修練を教わり、魔相を使って霊力を高める方法と容姿を変える術を習得したと語る。魔相で記憶を取り戻そうとするが、瘴気が邪魔をして成功しない。そこで神霄宮を設立し、弟子を育成し、瘴気を消す方法を探らせていた。理塵が瘴気を消せることを知り、唐周に協力を求める。顔淡も魔相の中で仙魔大戦の遺物の神器を探したいと考えており、両者は合意する。唐周は理塵を使い瘴気を消し去り、四人は魔相の中へ入る。
魔相の中で、顔淡は夜忘川で唐周に出会う夢を見る。目を覚ますと、砂の中に埋もれており、余墨、柳維揚、唐周も砂に飲み込まれそうになっていた。顔淡は胸の痛みを感じ、涙が出そうになる。余墨と柳維揚は砂から脱出し、眠っている者が砂に飲み込まれることに気づく。三人は唐周を起こし、唐周は悪夢から覚めて砂から脱出する。余墨は蓮の根を拾い、懐にしまう。
四人は進み、川にたどり著く。顔淡が水を汲もうとすると、九尾の蛇が現れる。余墨はそれが魔族の神獣で、毒があると警告する。顔淡は蛇の再生できない弱点である奇尾を攻撃するように指示する。蛇は顔淡を襲い、余墨は顔淡を守って負傷し、毒に侵された部分を切り落とす。蛇は柳維揚に幻術をかけようとするが、唐周が蛇の目を刺し、蛇は倒れる。柳維揚は蛇の牙を抜いて持ち帰る。
最後に、柳維揚は鏡が並ぶ記憶を呼び覚ますための場所へ案内する。柳維揚は記憶を取り戻そうとするが、頭痛で断念する。余墨は三つ目の神器「楮墨」を呼び出す。顔淡は鏡に過去の光景を見る。唐周は血で力を呼び出す邪悪な術を見て、めまいを起こす。顔淡は蛇が復活しようとしていることに気づき、楮墨を早く手に入れるように促す。黒装束の人物が鏡から現れ、柳維揚を襲う。黒装束の人物は余墨と唐周も攻撃する。顔淡は黒装束の人物が意識を持たず、動くものに仮応することに気づき、余墨と柳維揚が黒装束の人物を引きつけ、自分と唐周が楮墨を取る作戦を立てる。作戦は成功し、唐周は楮墨を手に入れる。唐周は顔淡が落とした蓮の花びらを返し、顔淡も唐周に花びらを贈る。
第35話の感想
第35話は、様々な感情と展開が詰め込まれた、見応えのあるエピソードでした。顔淡と唐周の関係性の進展、琳琅と紫麟のコミカルなやり取り、そして神霄宮の謎に迫るシリアスな展開と、緩急のバランスが絶妙でした。
特に印象的だったのは、顔淡の揺れ動く心情です。唐周への想いを自覚しつつも、彼の立場を理解し、複雑な感情を抱える様子が繊細に描かれていました。余墨の温かい励ましと忠告は、顔淡にとって大きな支えとなっていることが感じられ、二人の友情にも胸を打たれました。
一方、琳琅と紫麟のシーンは、シリアスな物語の中で良い息抜きとなっていました。紫麟の不器用ながらも一途な愛情表現は微笑ましく、琳琅のツンデレな仮応も可愛らしかったです。二人の関係が今後どのように発展していくのか、楽しみなところです。
つづく