あらすじ
第38話は、柳維揚が尸骨の山で紫雁簪を見つけ、陶紫炁を蘇生させることに成功した物語です。皆の協力によって陶紫炁は息を吹き返し、柳維揚は過去の誤解を解きます。仙魔大戦の結果を知った陶紫炁は深い悲しみに暮れます。
一方、唐周の法環が再び異変を起こし、彼が顔淡に本当の愛情を抱いていることが明らかになります。二人は幾度かの心の揺らぎを経て、ついに互いの想いを確かめ合い、情熱的に口づけを交わします。顔淡は唐周との記憶を取り戻しますが、唐周はまだ記憶を失ったままです。顔淡は唐周を救うため、自らの心臓の血を惜しみなく使い、その結果、心臓は半分しか残っていません。
また、陶紫炁は仙魔大戦での自分の過ちを悔い、柳維揚に自分を解放してくれるよう頼みます。顔淡は夜忘川で乙藏と出会い、応淵の真実の一部を知り、過去を乗り越え、自分の幸せを追求することを決意します。
唐周の命が危険にさらされる中、一行は最後の神器を探す旅に出ます。目的は唐周の命を救い、仙魔大戦にまつわる更なる秘密を解き明かすことです。
ネタバレ
柳維揚はついに紫雁簪を発見!楮墨を使い、唐周と余墨の助力、そして傷の癒えぬ唐周を支えるため加わった顔淡の尽力により、陶紫炁は蘇生。柳維揚は彼女を抱きしめ、殺害を否定。陶紫炁も既に真犯人が柳維揚に化けていたことを理解していた。900年の歳月を夜忘川で過ごしたと知り、仙魔大戦の結果を案じる陶紫炁に、柳維揚は仙界の勝利と、これからの自由な生活を約束する。
唐周の法環の異変に、顔淡は彼の本心を知る。過去の夢に囚われず、唐周の気持ちを受け入れる決意をする。感謝を伝える柳維揚たちに、顔淡は二人の物語を戯曲にすることを提案。しかし、陶紫炁は体力の限界で倒れてしまう。柳維揚は彼女の回復を待ち、夜忘川を去ることを決める。
陶紫炁の顔の青斑に気づいた顔淡は、彼女も記憶を失う前に夜忘川に来たのではと推測。夜を徹して手がかりを探す顔淡に、唐周も合流。夜忘川を舟で進む二人は、既視感を覚える。魔相で見た記憶を語る顔淡。冥火灯を手に川を渡る彼女は、寒さと飢えに苦しむ。記憶を守るためにこんな苦しみを味わう者はいないと考える顔淡に対し、唐周はどんな苦難にも記憶を忘れない者がいると信じる。顔淡は唐周に冥火灯を持たせ、夢の人物を思い出すよう促す。しかし、唐周は顔淡が過去を気にしないなら自分も気にしないと返す。見つめる唐周に、顔淡は凌霄派の未来の掌門と蓮花精の自分では身分が違うと告げる。法環の異変の理由を問う顔淡。だが、答えを得る前に冥火灯が爆発。唐周は暴走し、顔淡を傷つけることを恐れ、逃げるように言う。しかし、顔淡は彼を助けようと寄り添う。唐周は顔淡こそが想い人だと悟るも、葉わぬ恋と知り、彼女の幸せを願う。そして、抑えきれぬ想いを込めて、顔淡に口づけをする。顔淡もまた、その想いに応える。
記憶を取り戻した顔淡は、唐周が天界で愛した帝君・応淵だと気づく。驚きと喜びに包まれる顔淡。しかし、唐周は彼女の記憶が戻ったことを知らず、先ほどの行為を謝罪する。その様子を見た蛍灯は激怒し、二人に襲いかかる。唐周は重傷を負い、顔淡と共に逃走。蛍灯は執拗に追跡する。唐周は仙霊を使い蛍灯を攻撃するも、意識を失ってしまう。蛍灯を責める顔淡に対し、蛍灯は唐周の仙霊を奪い、共に死ぬと嘲笑う。蛍灯の執著の理由を問う顔淡。蛍灯は顔淡の記憶が戻ったことに驚き、正気に戻るよう説得するが、蛍灯は聞き入れず、共に滅ぶことを誓う。花精族の妖力も含めた蛍灯の攻撃を、顔淡は仙術で打ち破る。愛憎に狂った蛍灯は、ついに消滅する。
柳維揚は邪神之力で唐周の仙力を製御するが、損傷の激しい仙衣を修復するには、四つ目の神器が必要となる。顔淡は一人で唐周を治療することを決意。心配する余墨には夜食の準備を頼む。自らの心頭血で唐周を救う顔淡。唐周はまだ記憶を取り戻しておらず、顔淡は落胆する。目を覚ました唐周は、顔淡の処置を尋ねるが、彼女は花びらを使っただけだと偽る。立ち上がろうとした顔淡は、体力の消耗で倒れそうになる。彼女を支えた唐周は、心頭血が使われたことに気づき、複雑な気持ちになる。さらに、顔淡の心が半分しかないことに気づき、残りの行方を問うが、顔淡は答えず、その場を去る。
余墨が夜食を届けるが、顔淡は唐周の治療で疲れたと偽り、休もうとする。治療法を問う余墨に、顔淡は花びらを使ったと嘘をつく。一方、柳維揚は陶紫炁に薬を届ける。仙魔大戦での溟雁族の壊滅を聞き、悲しみに暮れる陶紫炁。彼女は計都星君から賜った紫雁簪を握りしめ、仙界からの信頼を思い出す。裏切りはしていないものの、大戦勃発の原因を作った自責の念に苦しむ陶紫炁は、柳維揚との関係は元に戻らないと告げ、解放を懇願する。柳維揚は回復を待ってから話し合うことを約束する。
再び夜忘川を訪れた顔淡は、冥火灯で応淵との記憶を消そうとする。しかし、乙藏が現れ、彼女を唯一の友として、真実を明かす。乙藏の記憶から、沈香炉は燃えておらず、応淵が二人の記憶を消したことを知る。乙藏は曉夢蝶の繭を顔淡に返す。応淵は繭を隠していたのだ。繭は乙藏の手の中で曉夢蝶へと変わる。乙藏は古書に記された、真愛を感じた時に繭が破れるという記述を思い出す。応淵の嘘に気づいた顔淡は、彼が天下を選んだことを悟る。彼女は応淵への想いを断ち切り、自分の幸せのために生きると誓い、夜忘川を後にする。
唐周の仙体は深刻な状態に陥り、命の危機に瀕する。一行は最後の神器を求めて再び旅立つ。応淵は帝君の座に復帰し、自らの出生の秘密、襲撃者の正体、そして仙魔大戦の謎を解き明かすことになる。
最終話の感想
第38話は、様々な感情が交錯する、非常にドラマチックな展開でした。特に、唐周と顔淡の関係性の変化が印象的です。記憶を失った状態ながらも、顔淡への想いを抑えきれずキスをする唐周。そして、すべての記憶を取り戻し、唐周が愛した帝君・応淵だと気付く顔淡。二人の想いがついに通じ合った瞬間は、見ているこちらも胸が締め付けられるようでした。しかし、蛍灯の嫉妬と憎悪が二人の幸せを阻み、再び苦難の道へと突き落とされます。蛍灯の最期は、愛憎に歪んだ悲しい結末でした。
一方、柳維揚と陶紫炁の再会は、喜びと同時に、仙魔大戦の傷跡の深さを改めて感じさせるものでした。900年の時を経て再会した二人ですが、陶紫炁は過去の責任を背負い、柳維揚との未来に希望を見出せないでいます。二人の関係が今後どのように変化していくのか、注目したいところです。
また、顔淡が乙藏から真実を聞き、応淵の欺瞞を知り、自ら夜忘川を去るシーンは、彼女の成長と強さを感じさせる感動的な場面でした。過去の愛に縛られることなく、自分の幸せのために生きることを決意した顔淡の未来に、明るい光が差し込んだように感じました。