千紫万華~重紫(ちょうし)に捧ぐ不滅の愛~ 第37話 あらすじ/ネタバレ
光と影が交錯する中で、人間の輝きと闇闇が際限なく拡大される。海生(かいせい)の言葉は、晨鍾暮鼓のように、光を切望するすべての人の心に響き渡る。彼は言う、世の中の光は善行から生まれ、重紫(ちょうし)は、どんなに身分が変わっても、その本質は純粋で汚れのない光であると。この言葉は洛音凡(らくいんはん)の心を深く揺さぶり、彼の心は波立ち、噬心毒の激しい痛みもこの衝撃の中で一時的に退却するかのようだった。しかし、彼はそれでも慌てて逃げ出し、心の光を垣間見るためだけに走り去った。
荒れ果てた月老廟は、二人の運命の交点となった。洛音凡(らくいんはん)は記憶を頼りに辿り著くと、やはり昼夜思い続けた重紫(ちょうし)の姿を見つけた。長い年月が経っても、月老の木は依然としてそびえ立ち、人間界の悲喜を目の当たりにしてきたが、変わりやすい人間の心を隠すことはできない。重紫(ちょうし)の心は複雑で、洛音凡(らくいんはん)に対して後ろめたさはなかったが、何度も傷つけられてきたため、この想いはすでに千瘡百孔となっている。洛音凡(らくいんはん)の必死の懇願に、彼女は彼の体から噬心毒を感じ取り、決然と振りほどき、二度と会わないと誓った。もし次に会ったら、必ず命を奪うと。
水月城に戻ると、重紫(ちょうし)の世界は再び覆される。かつては風流倜儻な少年だった卓昊(たくこう)は、魔丹が体に入ったことで偏執的で狂暴になり、彼女に唯命是从、昔の面影は跡形もなく消えていた。重紫(ちょうし)のために、卓昊(たくこう)は玉虚子(ぎょくきょし)を傷つけて魔界に連れ戻す。重紫(ちょうし)は心を痛め、卓昊(たくこう)がここまで堕落するのを目の当たりにしたくなかったため、夢姬(ゆめひめ)に祝融果を求めるように迫り、卓昊(たくこう)体内の魔性を消そうとする。
祝融果は、不周山山頂の奇跡であり、万年経っても滅多に見つからない上に、食魂鳥が守っているため、手に入れるのは至難の業である。秦珂(しんか)は、重紫(ちょうし)のために、この命懸けの旅に出る。虞度(ぐど)は万一の場合に備えて、屏息丸を渡す。一方、卓耀(たくよう)は息子の気配を感じ取れず、天変地異が起きていることから、南華(なんか)に助けを求める。玉虚子(ぎょくきょし)が卓昊(たくこう)に連れ去られたという知らせは、南華(なんか)全体に衝撃を与えた。
一方、秦珂(しんか)は千辛万苦の末、鳳凰の血を手に入れるが、祝融果との交換が必要だった。彼は単身で危険を冒し、食魂鳥と知恵比べをして、ついに祝融果を手に入れる。紅衣の男は約束を守り、鳳凰の血を与え、祝融果も惜しげもなく譲ってくれた。しかし、重紫(ちょうし)は食魂鳥に抵抗しているうちに力尽き、秦珂(しんか)が及時に救助してくれたおかげで、命を犠牲にして祝融果を重紫(ちょうし)に渡し、自身は重傷を負った。
祝融果の不思議な力は、重紫(ちょうし)体内の魔気を瞬く間に消し去ったが、その力に耐えきれず、秦珂(しんか)の腕の中で気を失ってしまう。目を覚ました重紫(ちょうし)は、弱々しい秦珂(しんか)を見て、胸が張り裂ける思いで、感謝の気持ちでいっぱいだった。秦珂(しんか)は後悔することなく、重紫(ちょうし)が本当の自分を取り戻せることを願っているだけだった。
この時、魔界と崑崙、天山の二派との衝突は激化し、卓昊(たくこう)は窮地に陥り、卓耀(たくよう)は緊急に援軍を求める。仙尊たちは旧情を考慮して、卓昊(たくこう)に手厳しくはしなかったため、夢姬(ゆめひめ)は隙を見て卓昊(たくこう)を救い出す。重紫(ちょうし)、卓昊(たくこう)たちの入魔、特に玉虚子(ぎょくきょし)の死は、仙門に大きな衝撃を与えた。各派の仙尊は南華(なんか)に集まり、対策を協議し、最終的には防衛を強化し、弟子を交換し、人間界に兵糧を蓄えるよう通知して、不測の事態に備えることにした。
亡月(ぼうげつ)という黒幕は、意図的に重紫(ちょうし)の行方を漏らし、卓昊(たくこう)を不周山に誘い込む。予期せぬ再会を果たしたものの、洛音凡(らくいんはん)の出現によって再び中断されてしまう。卓昊(たくこう)は抵抗する力もなく、撤退するしかなく、秦珂(しんか)は鳳凰の血を洛音凡(らくいんはん)に託し、自身は体力が尽きたため、虞度(ぐど)に及時に救助された。この騒動は、ひとまず落ち著きを取り戻したようだが、運命の歯車はゆっくりと動き続け、さらなる未知の挑戦が彼らを待ち受けている。
第37話感想
第37話は、光と影、善と悪が激しく交錯する回でした。重紫(ちょうし)の揺れる心、洛音凡(らくいんはん)の苦悩、卓昊(たくこう)の狂気、秦珂(しんか)の献身など、様々な人物の複雑な感情が描かれていて、見応えがありました。
特に印象的だったのは、重紫(ちょうし)と洛音凡(らくいんはん)の月老廟での再会シーンです。洛音凡(らくいんはん)の必死の訴えに重紫(ちょうし)は心を動かされながらも、彼を拒絶する決意をします。このシーンは、二人の切ない恋心が痛いほど伝わってきて、胸が締め付けられました。
また、秦珂(しんか)の重紫(ちょうし)への献身的な姿にも感動しました。命を懸けて祝融果を手に入れ、重紫(ちょうし)の命を救った彼の姿は、まさに愛の力を感じさせます。
つづく