霜花(しもばな)の姫 ~香蜜が咲かせし愛~ 第29話 あらすじ/ネタバレ
旭鳳(きょくほう)の書斎
梁に弔るされた滅霊箭(めいれいせん)を見つめる彦佑(げんゆう)は、運命のいたずらに複雑な想いを抱きながら、独り言をつぶやいていた。その様子を目にした月下仙人は、彼の口にした「天意」とは何かと尋ねる。秘密が漏れることを恐れた彦佑(げんゆう)は、月下仙人を引き連れ酒肆へと向かい、酒を飲みながら胸の内を明かす。
洞庭湖畔
恩主(おんしゅ)は、滅霊箭(めいれいせん)を取り戻せなかった彦佑(げんゆう)を厳しく責め立てる。恩主(おんしゅ)は復讐に囚われ、帝后(ていこう)に愛する息子の死の苦しみを味わわせようと企み、滅霊箭(めいれいせん)の在りかを執拗に問いただす。恩主(おんしゅ)の様子に心を痛めた彦佑(げんゆう)は、悲劇を防ぐには潤玉(じゅんぎょく)に助けを求めるしかないと思い悩む。
穂禾(すいか)の部屋
彦佑(げんゆう)に弄ばれ、旭鳳(きょくほう)との縁談を逃した穂禾(すいか)は、部屋に閉じこもり食事も取らずに塞ぎ込む。様子を心配した南平王(なんぺいおう)は、現実を受け入れるよう説得するが、穂禾(すいか)は復讐に固執し、命を賭してでも仇を討つと主張する。南平王(なんぺいおう)は、やむなく涼虢(りょうかく)と手を組み、旭鳳(きょくほう)の出徴時に闇殺を企てる。
錦覓(きんべき)の住まい
旭鳳(きょくほう)は、錦覓(きんべき)に会おうと彼女の住まいを訪ねるが、羌活(きょうかつ)に様々な理由で阻まれてしまう。錦覓(きんべき)がなぜ自分を避けるのか理解できない旭鳳(きょくほう)は、秦潼(しんとう)に相談するが、酒に酔った時の自分の振る舞いが原因かもしれないと言われる。錦覓(きんべき)の心を繋ぎとめるため、旭鳳(きょくほう)は高価な贈り物をして喜ばせようとする。
凡間の潤玉(じゅんぎょく)
錦覓(きんべき)への複雑な想いを抱えた潤玉(じゅんぎょく)は、ひそかに凡間へと向かう。錦覓(きんべき)の住まいに飾られたたくさんの花灯を見て、嫉妬と不満を募らせる。そこに彦佑(げんゆう)が現れ、真相を明かすために雲夢沢へ行くよう誘う。
雲夢沢
潤玉(じゅんぎょく)と彦佑(げんゆう)は、雲夢沢の洞庭湖畔を訪れる。潤玉(じゅんぎょく)は、この土地に漠然とした恐怖と不安を感じる。雲夢沢の屋敷に入ると、恩主(おんしゅ)は顔を合わせようとしなかったが、潤玉(じゅんぎょく)は彼女の前に歩み寄り、天帝(てんてい)省経閣の人魚図を見せながら、自分の出生の秘密を明かそうとする。潤玉(じゅんぎょく)の問いに簌離(そり)は否定するが、潤玉(じゅんぎょく)は自身の推理から、簌離(そり)こそが自分の生母であることを確信する。
しかし、真実が明らかになっても母子の再会や和解は葉わず、二人の間の溝はさらに深まってしまう。簌離(そり)は様々な理由から潤玉(じゅんぎょく)を認めることができず、彼に去るよう求める。絶望した潤玉(じゅんぎょく)は、なぜ自分を産んでおきながら捨てたのかと簌離(そり)を問い詰める。簌離(そり)の冷淡な態度は潤玉(じゅんぎょく)の心を完全に冷やし、彼は涙を流しながら母子関係を断絶すると宣言する。
傷心と疑問を抱えた潤玉(じゅんぎょく)は洞庭湖を後にし、鄺露(こうろ)が彼の後に付いて彼の流す一滴一滴の涙を感じ取る。潤玉が去った後、簌離(そり)は彼の乳名を呼びながら一人部屋の中で悲しみに暮れる。その様子は、そこにいた彦佑(げんゆう)の心をも揺さぶる。愛憎、身分、運命が絡み合う物語はクライマックスを迎える。
第29話の感想
第29話は、複雑に絡み合った人間関係と運命のいたずらが浮き彫りになる、ドラマチックな展開が満載でした。
まず、彦佑(げんゆう)の葛藤が印象的でした。彼は恩主(おんしゅ)への忠誠心と、旭鳳(きょくほう)との友情の板挟みになり、苦悩する姿が描かれていました。また、穂禾(すいか)の復讐心に囚われた様子も切なく、見ていて胸が痛みました。
一方、旭鳳(きょくほう)と錦覓(きんべき)の恋模様は、すれ違いが続いてやきもきさせられます。旭鳳(きょくほう)は錦覓(きんべき)の心を繋ぎとめようと努力しますが、その行動が裏目に出てしまうシーンはもどかしかったです。
そして、潤玉の出生の秘密が明らかになったことで、物語は新たな局面を迎えます。簌離(そり)の複雑な心情と、潤玉の怒りと悲しみは、見る人の心を揺さぶるものでした。
つづく