霜花(しもばな)の姫 ~香蜜が咲かせし愛~ 第34話 あらすじ/ネタバレ

旭鳳(きょくほう)は錦覓(きんべき)への深い愛情を、彼女のために特別に仕立てた鳳袍に著せることで表現します。この鳳袍は、旭鳳(きょくほう)が初めて錦覓(きんべき)に出会った時の印象をもとに、十数回も修正を重ねたものです。錦覓(きんべき)が著ると、まるで彼女のために作られたかのようにぴったりと合い、幸福な瞬間が訪れます。しかし、その幸せの瞬間にも、旭鳳(きょくほう)の悲しみは潮のように押し寄せてきます。彼は錦覓(きんべき)がもうこの世にいないことを知っており、この装いは、亡き恋人への最後の優しさと別れであることを悟っています。彼は涙を堪えながら錦覓(きんべき)に化粧を施し、花嫁のいない結婚式を執り行います。その言葉の一つ一つには涙が混じり、見る者の心を打つものがあります。

錦覓(きんべき)の魂は既にこの世を去っていますが、彼女の存在は依然として旭鳳(きょくほう)のそばを徘徊しているかのように感じられます。彼女は旭鳳(きょくほう)を慰めようとしますが、自分の手が実体を触れることができないことに気づき、旭鳳(きょくほう)が苦しんでいる様子をただ見守ることしかできません。旭鳳(きょくほう)は悲しみに暮れながら一日一夜を過ごし、ついに錦覓(きんべき)を王陵に連れて行くことを決意します。王陵は本来錦覓(きんべき)のために用意された安息の地でしたが、今では彼が愛を追う場所となりました。彼は毒酒を手に取り、錦覓(きんべき)と共に黄泉の国へ旅立つ準備をします。錦覓(きんべき)は焦る気持ちでいっぱいですが、何もできず、ただ見守ることしかできません。

しかし、運命は、この悲劇的な恋人たちを永遠に引き裂くつもりはないようです。旭鳳(きょくほう)が毒酒を飲んだ後、魂は消散することなく、棺の中で目覚め、錦覓(きんべき)の魂と強く抱きしめ合います。この場面は生死を超越しており、見る者の心を揺さぶります。

天劫を乗り越えた旭鳳(きょくほう)と錦覓(きんべき)は、南天門で縁機仙子(えんきせんし)と再会します。彼らの帰還は、新たな希望と挑戦をもたらします。錦覓(きんべき)は親友である肉肉(ひにく)/羌活(きょうかつ)の死を忘れられず、旭鳳(きょくほう)は真相を明らかにし、彼女に説明することを約束します。二人は天宮に戻る途中、月下仙人に出会い、彼は二人の愛の物語に好奇心と喜びを感じ、この伝説を記録して世に伝えたいとさえ思っています。

天后(てんこう)簌離(そり)の事件後、彼女は水神(すいじん)への敵意を強め、天帝(てんてい)の前で彼を陥れるような言葉を繰り返し、水神(すいじん)の勢力を弱めようとします。天后(てんこう)は、旭鳳(きょくほう)の将来の天帝(てんてい)の地位を確固たるものにするためには、潜在的な脅威を排除する必要があることを知っており、洞庭湖の三万の水族を殲滅して後顧の憂いを絶とうとさえ考えています。しかし、天帝(てんてい)は水神(すいじん)に多少の偏袒はしているものの、天后(てんこう)の強硬な態度に押されて、妥協せざるを得なくなります。

紫方雲宮では、旭鳳(きょくほう)と錦覓(きんべき)の帰還は新たな波紋を呼び起こします。慣例に従えば、天劫を乗り越えた錦覓(きんべき)は上神に昇進すべきですが、天后(てんこう)は彼女が「老苦」を経験していないことを理由に、彼女の天劫の成功を認めようとしません。旭鳳は責任を負い、自分が錦覓(きんべき)と共に下界に降りたことが天劫の失敗につながったと主張し、その結果、彼は閉門思過の罰を受けます。しかし、縁機仙子(えんきせんし)は錦覓(きんべき)を擁護し、彼女は七苦を経験していないものの、十分に清らかであり、上仙に昇進する資格があると主張します。最終的に天帝(てんてい)は天意に従い、錦覓(きんべき)を上仙に封じ、花神に冊封する意思を示します。しかし、錦覓(きんべき)は謙虚に辞退し、自分の経験が浅いため、この重責を負うことはできないと主張します。

一方、天后(てんこう)は奇鳶の失敗に怒り、旭鳳の邪魔者を排除する決意をさらに強めます。彼女は再び天帝(てんてい)に圧力をかけ、洞庭の三万の生き物に極刑を執行するよう要求します。天帝(てんてい)は不忍の気持ちを持ちながらも、天后(てんこう)の威圧に屈して、最終的に彼女の計画を認めてしまいます。一方、潤玉(じゅんぎょく)は母親が天譴を受けようとしていることを知り、奔走して情けを請いますが、誰も応じようとはしません。天界の冷酷さと無情さが、この瞬間、遺憾なく発揮されます。

第34話の感想

第34話は、感動と衝撃が入り混じった、忘れられない回でした。旭鳳と錦覓(きんべき)の愛の深さ、そして運命の残酷さに心を揺さぶられました。

特に印象的なシーンは、旭鳳が錦覓(きんべき)に鳳袍を著せる場面です。精巧に作られた鳳袍は、錦覓(きんべき)の美しさをさらに引き立て、二人の幸せな未来を予感させます。しかし、その幸せは長くは続きません。錦覓(きんべき)がすでに亡くなっていることを知った旭鳳の悲しみは、見る者の胸を締め付けます。

また、旭鳳が錦覓(きんべき)と共に黄泉の国へ旅立とうとするシーンも、涙なしには見られません。二人の魂が棺の中で抱きしめ合う姿は、生死を超越した愛の強さを象徴しています。

一方で、天界では、陰謀と権力闘争が繰り広げられています。天后(てんこう)は、旭鳳の邪魔者を排除するために、水神(すいじん)一族を滅ぼそうと画策します。潤玉(じゅんぎょく)は、母親の危機を救うために奔走しますが、誰も彼の訴えに耳を傾けません。天界の冷酷さと無情さが、この回で浮き彫りになっています。

つづく