霜花(しもばな)の姫 ~香蜜が咲かせし愛~ 第35話 あらすじ/ネタバレ

九重天に君臨する天后(てんこう)は、潤玉(じゅんぎょく)に冷酷な選択を迫ります。洞庭湖の残党との縁を完全に断ち切り、自らの手で刑罰を執行するか、一身に罪を被り、簌離(そり)のために贖罪するか。潤玉(じゅんぎょく)は躊躇することなく後者を選び、孝義を全うするために命を賭します。

天后(てんこう)は内心で喜び、雷神、電母(でんぼ)を呼び寄せ、3人で力を合わせて震澤天雷、無極電光、蓮台業火という極刑を執行します。潤玉(じゅんぎょく)はたちまち血を吐き、よろめきながらも毅然と立ち尽くします。

天帝(てんてい)と水神(すいじん)が駆けつけ、この光景を目の当たりにします。天帝(てんてい)は憐憫の情に駆られ、息子が苦しむ姿に耐えられず、洞庭一族を特別赦免すると宣言します。天后(てんこう)は納得いかないものの、諦めて憤然と立ち去ります。去り際に潤玉(じゅんぎょく)に、この3万道もの天刑の苦しみは凌遅よりもはるかに酷く、癒えるまでには長い時間がかかると警告します。

帝后(ていこう)は寝宮に戻るとすぐに天帝(てんてい)を問い詰め、潤玉(じゅんぎょく)に対して甘すぎるのではないかと責めます。天帝(てんてい)は天后(てんこう)の懸念を理解し、自分は分をわきまえていると穏やかに諭します。嫡子と庶子の違い、旭鳳(きょくほう)と潤玉(じゅんぎょく)の地位は自分が判断すると約束します。

潤玉(じゅんぎょく)が目を覚ますと、真っ先に洞庭一族の安否を尋ねます。鄺露(こうろ)は潤玉(じゅんぎょく)が自分の身を顧みないことを心配しますが、潤玉(じゅんぎょく)は洞庭水族を心から案じ、二度と流離失所させないと誓います。水神(すいじん)が訪ねてきて、水族を全力で守ると約束し、天后(てんこう)と最後まで渡り合うと宣言します。

天帝(てんてい)も璇璣宮を訪れ、潤玉(じゅんぎょく)の傷を癒しながら、天后(てんこう)と正面から対立するのではなく、忍耐することを学ぶべきだと諭します。そして、二度と洞庭水族のために苦しむことがないように、上神としての誓いを立てさせます。潤玉(じゅんぎょく)は複雑な思いを抱えながら、もし自分が立ち上がらなければ、天帝(てんてい)は水族を見捨てたのかと問います。天帝(てんてい)の答えは冷酷で現実的なものでした。潤玉(じゅんぎょく)は自分が天帝(てんてい)にとってただの駒であり、父子愛や天倫の楽しみはすべて幻想に過ぎないと悟ります。

一方、花界の水鏡では、玉蘭(ぎょくらん)が錦覓(きんべき)の身世を洞庭水族に漏らし、錦覓(きんべき)の死が自分と関係があると誤解して、長芳主(ちょうほうしゅ)の前に跪いて罪を認めます。長芳主(ちょうほうしゅ)は玉蘭(ぎょくらん)を慰めながら、世事無常であると嘆きます。錦覓(きんべき)は潤玉を訪ね、やつれた姿を見て心を痛めます。2人は心を開いて語り合い、潤玉は簌離(そり)の死に対する悲しみと無力さを吐露し、錦覓(きんべき)は自身の経験を語って慰めます。2人の絆は深まります。潤玉は3年間の服喪を願い、錦覓(きんべき)に待っていてくれるかと尋ねます。錦覓(きんべき)は複雑な思いを抱えながらも、簡単に返事をできませんでした。

花界に戻った錦覓(きんべき)は、友人たちと再会します。皆、錦覓(きんべき)が無事に帰ってきたことを喜びます。水神(すいじん)と将碁を指しながら、錦覓(きんべき)は結婚したくない場合はどうすればいいのかと勇気を出して尋ねます。水神(すいじん)は夢が覚める時が来たら、よく考えるようにと優しく諭します。

その頃、月下仙人が燎原君を連れて帰還します。旭鳳(きょくほう)は急いで人間界の鳳凰灯の行方を尋ね、留梓池のほとりに置いて思慕の情を寄せることにします。この行為は、再び天界内外で感情と責任の複雑な葛藤を引き起こします。

第35話感想

第35話は、愛と責任、そして運命の残酷さを描いた感動的なエピソードでした。

潤玉は、天后(てんこう)の冷酷な選択に直面し、洞庭一族を守るために命を賭します。彼の勇敢さと自己犠牲の精神には心を打たれます。天帝(てんてい)の潤玉に対する複雑な感情や、天后(てんこう)の冷酷さにも注目すべき点です。

錦覓(きんべき)と潤玉の再会は、感動的でした。2人の絆は深まり、互いに慰め合います。しかし、潤玉の3年間の服喪の願いに、錦覓(きんべき)は複雑な思いを抱えています。

旭鳳(きょくほう)の鳳凰灯への思いも切なく描かれています。彼は、人間界での記憶を失った錦覓(きんべき)への愛を忘れられずにいます。

つづく