霜花(しもばな)の姫 ~香蜜が咲かせし愛~ 第61話 あらすじ/ネタバレ

旭鳳(きょくほう)が去ってから、鎏英(りゅうえい)は暮辞(ぼじ)のためにまだしつこく責め立てようとしたが、錦覓(きんべき)が彼女を止めた。今は生きていることが穂禾(すいか)にとって一番の苦しみなのだ。鎏英(りゅうえい)は魔兵(まへい)に命じて穂禾(すいか)を荒原に追放し、永遠に魔界を出られないようにした。穂禾(すいか)は錦覓(きんべき)と鎏英(りゅうえい)を罵り、必ず報いを受けると叫んだ。

潤玉(じゅんぎょく)は一人寂しい九霄雲殿に入った。ここは本来、彼と錦覓(きんべき)が賑やかに過ごすはずの場所だったが、錦覓(きんべき)の駆け落ちによって今は誰もいなくなってしまった。旭鳳(きょくほう)は省経閣に来て、窮奇(きゅうき)の霊力を吸収し、窮奇(きゅうき)の力を使って六界を統一しようとした。今は三軍が枕戈待旦、彼が旗を掲げて出陣するのを待っている。

錦覓(きんべき)は魔界の嫁衣は美しいと感嘆し、長く著ていると脱ぎたくなくなってしまうだろうと語った。旭鳳(きょくほう)が錦覓(きんべき)の元に来ると、錦覓(きんべき)は最後の蓬羽を取り出し、旭鳳(きょくほう)に食べて仮噬を治してほしいと願った。旭鳳(きょくほう)は錦覓(きんべき)に、これで心の罪を償えると思っているのかと問い詰めた。彼は錦覓(きんべき)を恨み、自分自身をより一層恨んでいる。全力で錦覓(きんべき)を憎もうとしたのに、験心石の二滴の血によって崩れ落ちてしまった。錦覓(きんべき)は旭鳳(きょくほう)に、二人は以前のように戻れるのかと尋ねた。旭鳳(きょくほう)は沈黙し、二人はもう二度と戻れないと答えた。錦覓(きんべき)が心を痛めていると、旭鳳(きょくほう)は錦覓(きんべき)を抱きしめ、最初からやり直そうと言った。錦覓(きんべき)が二度と自分を騙さなければ、一緒に鴻蒙に行くと。

潤玉(じゅんぎょく)は魔界が水神(すいじん)を人質に取っていることを理由に、忘川に兵を配置した。旭鳳(きょくほう)は戎装に身を包み、鳳凰の姿に変身して錦覓(きんべき)を連れて陣前に現れ、自ら応戦した。潤玉(じゅんぎょく)は錦覓(きんべき)に天界に戻るように命じたが、旭鳳(きょくほう)は錦覓(きんべき)と既に結婚したと答え、錦覓(きんべき)は二度と天界には戻らないと宣言した。潤玉(じゅんぎょく)は激怒し、天将(てんしょう)たちに魔界の者を一人残らず殺すように命じた。錦覓(きんべき)は自分のせいで天魔の戦いが起きるのを望まず、旭鳳(きょくほう)に応戦しないように頼んだ。旭鳳(きょくほう)は部下に錦覓(きんべき)を守るように命じ、同時に錦覓(きんべき)に、今日の戦いは避けられないと告げた。

天魔両界は一斉に立ち上がり、天火が飛び交い、無数の者が死傷した。錦覓(きんべき)は魔界の将兵たちに挟まれ、どうすることもできなかった。潤玉(じゅんぎょく)は正義の味方のふりをして、旭鳳を逆天復活し、魔道に落ちたとして誅殺すべきだと非難した。旭鳳は堂々と潤玉(じゅんぎょく)に、自分がこの世で一番不服なのは天命であり、今日は天に逆らってやると宣言した。旭鳳は先ほど半分の修為を失っており、潤玉(じゅんぎょく)との決戦で重傷を負い、生死の境をさまよった。錦覓(きんべき)は旭鳳の仮噬がさらに悪化したことに気づき、戦い続けるのをやめるように懇願したが、旭鳳は頑なに聞き入れず、降魔杵を振りかざして戦い続けた。錦覓(きんべき)は自分のせいで天魔大戦が起きてしまったこと、無辜の命が失われていることを目の当たりにして、突然悟りを開いた。彼女は自分自身を犠牲にして、両界の平和を手に入れようと決意した。

錦覓は身を翻して二人の間に飛び込み、潤玉(じゅんぎょく)と旭鳳の攻撃を一身に受けた。旭鳳は錦覓を抱きとめ、声を出して泣き崩れた。錦覓は潤玉(じゅんぎょく)に謝罪し、彼の愛に応えることができなかったことを詫びた。彼女は潤玉(じゅんぎょく)に憎しみを捨て、以前の小魚仙官に戻ってほしいと願った。そして旭鳳の方を向き、自分を許してほしいと告げた。旭鳳は泣きながら錦覓に、自分を恨んだことは一度もなく、最初から最後まで恨んでいたのは自分自身だけだと答えた。蓬羽は三日しか持たない。錦覓は旭鳳に、必ず時間通りに服用し、自分のことを大切にするように約束させた。そして、灰となって消えてしまった。

錦覓の死によって六界は平和を取り戻した。潤玉(じゅんぎょく)は錦覓の生前、二度と魔界に足を踏み入れないことを約束し、天魔の間に境界線を引いた。花界の花もそれに伴い閉じ、二度と咲くことはなかった。全ての芳主(ほうしゅ)は悲しみに暮れ、月下仙人や彦佑(げんゆう)は錦覓が本当に死んでしまったことを信じられなかった。

第61話の感想

第61話は、まさにジェットコースターのような展開でした。怒涛の勢いで物語が進んでいく中で、登場人物たちの複雑な感情が描かれており、涙なしには見られませんでした。

特に印象に残ったのは、錦覓の自己犠牲です。彼女は、自分の命を犠牲にすることで、天界と魔界の戦いを終結させました。彼女の愛と勇気には、心を打たれました。

また、旭鳳の葛藤も胸を締め付けられるものでした。彼は、錦覓を愛しながらも、彼女を恨む自分がいました。そんな彼の苦悩が、表情やセリフから伝わってきました。

潤玉(じゅんぎょく)も、複雑なキャラクターでした。彼は、錦覓への愛と憎しみの狭間で苦しんでいました。彼の心の闇が、彼の行動に表れていました。

つづく