寧缺(ねい・けつ)は街で桑桑(そうそう)の価顔絵の張り紙を見つけ、その前に集まる群衆に混じる。月輪(げつりん)国の侍衛たちは、桑桑(そうそう)を冥王の娘、世界の災いだと触れ回り、民衆は捕らえようと騒ぎ立てる。寧缺(ねい・けつ)もまた、桑桑(そうそう)を殺せと叫ぶ群衆に紛れ込む。

その後、寧缺(ねい・けつ)は書香閣へ忍び込み、経典を盗み出す。隆慶は情報収集のため、夜明け前に子墨(しもく)を連れ金帳王庭(きんちょうおうてい)を出る。烏珠は彼を執拗に追いかけ、早く戻るよう促す。桑桑(そうそう)は岐山(きざん)大師(きさん)の教えに従い、目覚めている間はひたすら経典を読み続け、疲れ果てるまで手を休めない。寧缺(ねい・けつ)は桑桑(そうそう)が汗をかいているのを見て喜び、経典を読むことが桑桑(そうそう)の寒毒に効いていると確信する。

ある日、寧缺(ねい・けつ)は経典を探しに外出し、ついでに食料も盗んで帰る。しかし、住処に戻ると桑桑(そうそう)が倒れており、慌てて抱き上げ体温で温める。桑桑(そうそう)は徐々に意識を取り戻し、寧缺(ねい・けつ)は書院(しょいん)の師兄や師姐の話を始める。桑桑(そうそう)も皆に会いたがり、寧缺(ねい・けつ)は書院(しょいん)へ戻ることを決意する。一方、陸晨迦は経典が盗まれたことに気づき、蝶を放って犯人を捜索させる。

桑桑(そうそう)の体調は少しずつ回復し、元の天真爛漫な少女に戻る。寧缺(ねい・けつ)とじゃれ合い、楽しい時間を過ごす中、桑桑(そうそう)は香りの独特な経典を見つけ、寧缺(ねい・けつ)もその香りに気づく。すると、一匹の蝶が引き寄せられ、桑桑(そうそう)は喜んで追いかける。寧缺(ねい・けつ)は彼女が冷えないよう呼び戻し、桑桑(そうそう)は外に出たいとねだる。寧缺(ねい・けつ)は桑桑(そうそう)を連れ出し、街を散策し、良品鋪子へと向かう。

陸晨迦は蝶の後を追い、寧缺(ねい・けつ)の隠れ家を見つけ、白塔まで尾行する。寧缺は石を塔に投げ入れ、桑桑(そうそう)と走り去る。桑桑(そうそう)は楽しそうに遊び、寧缺に抱きつきキスをする。二人の仲睦まじい様子を見た陸晨迦は、彼らの愛情に嫉妬する。陸晨迦が住処に戻ると、隆慶が突然訪ねてくる。隆慶は彼女に優しく接するが、陸晨迦はそれを避ける。彼女は隆慶の高い誌を知っており、彼の足枷になりたくないのだ。隆慶は陸晨迦を金帳王庭(きんちょうおうてい)へ連れて行き、四季折々の花を見せると約束する。

陸晨迦は丁重に断り、寧缺と桑桑(そうそう)の話を持ち出す。隆慶は二人の居場所を聞き出し、陸晨迦は彼らに危害を加えないよう懇願する。隆慶は口では承諾するが、密かに子墨(しもく)に命じ、寧缺の居場所を西陵(せいりょう)と懸空の講経首座へ伝える。夜、寧缺は庭でカラスの鳴き声を聞き、追い払おうとするが無駄に終わる。寧缺は桑桑(そうそう)を抱きしめ、カラスのことは気にしないよう慰める。

熊初墨は子墨(しもく)からの伝書を受け、羅克敵に西陵(せいりょう)の騎兵を率いさせ、朝陽城で懸空と協力して桑桑(そうそう)を討つよう命じる。光明殿(こうめいでん)の弟子たちも朝陽へ向かい、光明大神官(だいしんかん)を守るため出発する。桑桑(そうそう)は体調が良くなったため、書院(しょいん)へ戻る途中で渭城軍営の馬士襄将軍を訪ねたいと言い、寧缺は快諾する。

羅克敵は西陵(せいりょう)の騎兵を率いて朝陽に到著し、七念(しちねん)と合流して桑桑(そうそう)を討とうとする。光明大神官(だいしんかん)はこの様子を目撃する。寧缺は外の騒ぎを聞き、壁に登って様子を窺う。民衆は冥王の娘が現れたと叫びながら逃げ惑う。危険を感じた寧缺は、すぐに桑桑(そうそう)を連れてその場を離れる。

第11話 感想

第11話は、桑桑(そうそう)と寧缺の穏やかなひとときと、迫りくる危機の対比が印象的なエピソードでした。病状が回復し、天真爛漫な笑顔を見せる桑桑(そうそう)と、彼女を優しく見守る寧缺。二人の仲睦まじい様子は、見ているこちらも温かい気持ちになります。特に、桑桑が楽しそうに蝶を追いかけるシーンや、寧缺に抱きつきキスをするシーンは、二人の純粋な愛情が伝わってきて、心が和みました。

しかし、そんな幸せな時間も長くは続きません。桑桑の正体が冥王の娘であることが露見し、西陵(せいりょう)と懸空が彼女を討つために動き出します。街の騒ぎや、不気味に鳴き続けるカラスなど、不穏な空気が漂い始め、二人の身に危険が迫っていることを予感させます。

また、隆慶と陸晨迦の複雑な関係性も描かれています。隆慶は陸晨迦に好意を抱いているようですが、陸晨迦はそれを受け入れられずにいます。寧缺と桑桑の強い絆を目の当たりにした陸晨迦は、二人の幸せを願う一方で、隆慶の気持ちにも応えられない自分の立場に苦悩している様子が見て取れます。隆慶は表向きには陸晨迦の願いを聞き入れますが、裏では桑桑の居場所を密告しており、彼の本心がどこにあるのか、今後の展開が気になるところです。

つづく