寧缺(ねい・けつ)が都を一時的に離れる中、都の空気は張り詰めていた。何明池(か・めいち)は、守る者のいない驚神陣の安否を気遣い、李青山は昊天道南門の名誉にかけて驚神陣を守ると誓う。それは唐国の防衛の要であり、まさに命綱だった。何明池(か・めいち)は李青山から驚神陣の秘密を探ろうとするが、逆に警告を受ける。

一方、夫子(ふうし)は桑桑(そうそう)と寧缺(ねい・けつ)を連れ、都へ帰還する。懐かしい景色を眺め、寧缺(ねい・けつ)は感慨にふける。一行は老筆斎へ戻り、桑桑(そうそう)は大切な珠を握りしめ、どこか物憂げな表情を浮かべる。寧缺(ねい・けつ)は火を起こし、食事の準備をしながら夫子(ふうし)に唐国の現状を尋ねる。夫子(ふうし)はかつて自分が唐国を真の無敵の境地に導けなかったことを認める。

君陌(くんはく)と李慢慢(り・まんまん)は夫子(ふうし)の帰還を感知し、安堵する。二人は余簾と共に老筆斎を訪れる。寧缺(ねい・けつ)が用意した食事を囲み、和やかな時間が流れるが、夫子(ふうし)は桑桑(そうそう)と寧缺(ねい・けつ)を連れ、再び出立する。残された料理は友人たちの胃袋を満たすことになる。

馬車の中で、夫子(ふうし)は桑桑(そうそう)と寧缺(ねい・けつ)に、かつて酒徒(しゅと)と屠夫を探した時の話を聞かせる。「人定勝天」の真理を確かめるための旅だった。その頃、何明池(か・めいち)と李青山は対局をしていた。いつもと違い、何明池(か・めいち)は一子も譲らず、引き分けを提案する。そして李仲易の病状を気遣う言葉を口にする。李青山は驚き、何明池(か・めいち)が去った後、一人で占う。結果は「永夜将至」。李青山は絶望に打ちひしがれる。

山頂に登った夫子(ふうし)は、迫り来る永夜を前に不安を抱く寧缺(ねい・けつ)に、冥王など存在せず、法器が鎮めているのは人々の恐怖と幻想だと説く。桑桑(そうそう)の正体を知る寧缺(ねい・けつ)には受け入れがたい言葉だった。夫子(ふうし)は光と闇について語り、絶対の光は絶対の闇であるとし、既に天と敵対し、桑桑(そうそう)と寧缺(ねい・けつ)の未来のために戦う覚悟を決めていることを明かす。

知守観で異変を感じ取った陳皮皮。その時、桑桑(そうそう)が夫子(ふうし)に戦いを挑む。桑桑(そうそう)の中の冥王の力を既に知っていた夫子(ふうし)は、寧缺(ねい・けつ)と桑桑(そうそう)を結婚させ、人間の世界を味わわせ、この世界への愛著を育もうとしていたのだ。空に異変が起こり、雷鳴が轟く。西陵(せいりょう)の人々や修行者たちは、世紀の戦いが始まろうとしていることを察知する。

冥王の娘へと変貌した桑桑(そうそう)は天へ昇り、寧缺(ねい・けつ)は後を追うが、ただ愛する者の戦いを見守ることしかできない。夫子(ふうし)は桑桑(そうそう)の中の冥王の力と戦う。陳皮皮は胸を痛め、講経首座は弟子たちと共に夫子(ふうし)の無事を祈る。寧缺は夫子と桑桑(そうそう)の名を叫ぶが、戦局を変えることはできず、悲しみのあまり砂漠に倒れる。

戦いが終わり、空に一瞬の光が走る。屠夫と酒徒(しゅと)は夫子の選択に戸惑い、惜しむ。書院(しょいん)の人々は星空を見上げ、夫子に祈りを捧げる。夫子が昇天した後、大雪が降り、大地を覆い尽くす。馬士襄は李仲易に夫子の死を伝える。李仲易は吐血し、昏倒する。唐国は悲しみと不安に包まれる。

第19話 感想

第19話は、まさに「将夜」のクライマックスと言える、息詰まる展開でした。永夜を前にした緊張感、そして夫子の覚悟、桑桑(そうそう)の運命、様々な感情が渦巻く濃密なエピソードでした。

特に印象的だったのは、夫子の壮絶な戦いです。天と敵対することを選び、愛弟子である寧缺と桑桑(そうそう)のために戦う姿は、まさに師の鑑と言えるでしょう。これまで穏やかで達観的な人物として描かれてきた夫子が、これほどまでに激しい感情を露わにするシーンは、見ているこちらも胸が締め付けられるようでした。そして、その戦いの結末は、あまりにも悲しく、そして美しく、深い余韻を残しました。

桑桑(そうそう)の冥王としての覚醒も、大きな見どころでした。これまで寧缺と共に穏やかな日々を送っていた彼女が、自らの運命を受け入れ、戦う姿は、彼女の成長と強さを改めて感じさせます。寧缺との別れを予感させるシーンは、涙なしでは見られませんでした。

また、李青山が永夜到来の予言を前に絶望するシーンも印象的です。これまで国を守るために尽力してきた彼の、無力感と恐怖がひしひしと伝わってきました。

つづく