華山岳(かざんがく)と徐崇山(じょすうざん)は王公公(おうこうこう)の刺客を悉く倒し、李漁に報告した。李琿圓は激怒し、謀仮人を皆殺しにすると誓ったが、李漁は冷静に翌日重要な事があるため落ち著くように諭した。

翌日、李漁は李仲易の遺詔を手に朝堂に現れ、李琿圓への王位継承を宣言した。李沛言は即座に跪き、新王への忠誠を誓った。しかし、他の官僚たちは躊躇し、私語を交わしていた。李漁は向往の剣を抜いて威圧し、全員を跪かせた。

渭城では、夏天(か・てん)と李琥珀(こはく)が李仲易の喪に服していた。馬士襄は都の異変を察知し、二人の帰京を促したが、夏天(か・てん)は状況が安定するまで待つべきだと判断し、副官を都へ偵察に向かわせた。

曽静(ぞうせい)と徐崇山(じょすうざん)は王位継承の真相を探るため、昊天道南門の李青山を訪ねたが、既に仙逝していた。後から来た李漁と李琿圓は、この事実を知り、李琿圓は曽静(ぞうせい)を追放した。李漁は何明池(か・めいち)に新王に近づくことを禁じ、昊天道南門の管理を任せた。

燕では、燕王(えんおう)が李仲易と夫子(ふうし)の死を知り、崇明(すうめい)と共に唐への侵攻を企てた。隆慶は燕に戻り、崇明(すうめい)に李漁への情けは無用だと釘を刺した。熊初墨も李琿圓の即位と何明池(か・めいち)の台頭を知り、寧缺(ねい・けつ)が魔宗聖女である事を利用して唐を討つ計画を立てた。

馬士襄は偵察に出した副官が戻らない事を不吉に感じ、夏天(か・てん)に不安を伝えた。夏天(か・てん)も李漁の冷酷さを知り、状況を憂慮した。寧缺(ねい・けつ)は夫子(ふうし)と桑桑(そうそう)の昇天後、深い悲しみに暮れ、夫子(ふうし)の期待を感じていた。満月の夜、李慢慢(り・まんまん)、君陌(くんはく)、莫山山(ばく・さんさん)、酒徒(しゅと)、屠夫たちは、それぞれの方法で月に向かい、夫子(ふうし)を偲んだ。

深夜、何明池(か・めいち)は宮中で李沛言と出会い、密書を盾に自分が西陵(せいりょう)の人間であること、そして李仲易は本来李琥珀(こはく)に王位を譲るつもりだった事を明かし、李漁と李青山が遺詔を改竄したと告げた。そして、李沛言に王位奪還への協力を申し出た。

李琿圓は即位後、遊びに耽り、政務は李漁が取り仕切っていた。李漁は李琿圓に曽静(ぞうせい)への面会を強要し、渋々ながらも李琿圓は従った。道中で李沛言と出会い、満月の夜に欽天監を利用して王位を固める計画を立てた。李沛言と何明池(か・めいち)の密約は、今後の宮廷闘争の火種となった。

第21話の感想

「将夜 冥王の子」第21話は、李仲易の死後、権力と陰謀が渦巻く唐国の混沌とした状況を鮮やかに描き出しています。李漁の冷徹な手腕、李琿圓の未熟さ、そして様々な思惑を持つ登場人物たちの闇躍が、今後の波乱を予感させ、緊張感あふれる展開に目が離せませんでした。

特に印象的なのは、李漁の朝堂における振る舞いです。遺詔を盾に、向往の剣の威光を借りて百官を屈服させる姿は、彼女の強い意誌と権力への執著を如実に表しています。対照的に、李琿圓の遊びに興じる姿は、彼の政治的な未熟さを際立たせ、今後の権力闘争における不安定要素となることを予感させます。

つづく