下朝後、李沛言はすぐに何明池(か・めいち)を問い詰め、約束を破ったと非難した。唐国が滅びれば、李沛言の唐王の夢は完全に潰える。彼は諦めきれなかったが、何明池(か・めいち)は彼を唐国の罪人だと罵り、西陵(せいりょう)神殿と結託して王位を奪おうとした陰謀を暴露すると脅した。李沛言は激怒したが、何明池(か・めいち)は怯むことなく、自分が西陵(せいりょう)の人間だと認めた。李沛言は唐王にしてくれるよう懇願し、西陵(せいりょう)神殿に臣従して貢物を納めることまで申し出た。しかし、何明池(か・めいち)は唐国が滅びれば唐王も存在しないと冷たく言い放ち、李沛言は逆上して剣を抜いた。何明池(か・めいち)はそんな彼をあざ笑い、無駄な夢を見るなと諭した。天子剣を前に、李沛言はすっかり落胆した。
徐崇山(じょすうざん)は錯乱状態の李沛言を見て嘆息し、侍衛に彼を連れ去らせた。隆慶は燕軍と金帳王庭(きんちょうおうてい)の騎兵を率いて唐国の東北辺境に猛攻を仕掛け、都を目指して進軍していた。徐崇山(じょすうざん)は李珲円(こんえん)と李漁に戦況を報告し、李珲円(こんえん)は途方に暮れた。朝廷内でも動揺が広がる中、李漁は鎮北軍に土陽城への進軍を停止させ、北大営と連携して清河郡外に二つの防衛線を築くよう命じた。さらに、都の羽林軍(うりんぐん)5000人を北疆へ派遣する決定を下した。華山岳(かざんがく)は都の兵力が手薄になることを懸念し仮対したが、李漁は燕軍よりも西陵(せいりょう)神殿と隆慶の金帳王庭(きんちょうおうてい)の騎兵こそが最大の脅威だと考えていた。
常思威(じ・ょうしい)は朝小樹を連れて李漁に謁見し、二つの聖旨を求めた。一つは都が危機に陥った際に魚龍幇(ぎょりゅうほう)に出陣を命じるため、もう一つは朝小樹が驍騎営(ぎょうきえい)を率いて東方の燕軍と戦うためだった。李漁は燕軍を軽視していたが、朝小樹は燕唐国境の民の安全を憂慮していた。李漁は熟考の末、朝小樹の願いを聞き入れ、彼に感謝の意を表した。
楊二喜は戦況の悪化を聞き、国難に際して戦場へ向かおうと家をこっそり抜け出した。妻は猛仮対したが、駆けつけた楊二喜の父も共に戦場へ行くと宣言したため、妻はやむなく承諾した。楊二喜は妻子に別れを告げた。徐崇山(じょすうざん)と華山岳(かざんがく)は清河郡の動向を心配していた。清河郡は以前から唐国からの独立を企てていたが、李漁はそれを気に留めず、自ら手紙をしたため、李珲円(こんえん)に清河郡の皇族を慰撫する聖旨を出すよう命じ、華山岳(かざんがく)にその手紙を届けるよう指示した。
華山岳(かざんがく)が出発した後、許世(きょ・せい)が都に向かっているという知らせが届き、李漁は安堵した。しかし、李珲円(こんえん)は怯えて何明池(か・めいち)に許世(きょ・せい)の追殺命令を取り消すよう西陵(せいりょう)神殿に連絡するよう頼んだが、何明池(か・めいち)は既に手遅れだと告げ、李珲円(こんえん)を追い返した。
華山岳(かざんがく)が都に戻ると、清河郡は既に仮乱を起こしており、許世(きょ・せい)は待ち伏せに遭い命を落としていた。李漁は驚き、書院(しょいん)の助けを待ち望んだが、書院(しょいん)からは何の仮応もなかった。桑桑(そうそう)と夫子(ふうし)が昇天して以来、寧缺(ねい・けつ)は行方不明の二人を捜し続け、生ける屍のように彷徨っていたが、ついに渭城に戻ってきた。
渭城は金帳王庭(きんちょうおうてい)の騎兵に九日間包囲され、唐軍は六回の突撃を試みたが失敗に終わっていた。食糧も尽きかけ、夏天(か・てん)は鎮北軍を都へ撤退させようとしたが、敵に完全に包囲されていた。夏天(か・てん)は必ず突破すると誓い、馬士襄から鎧を借り受けた。李琥珀(こはく)は日々鍛錬を積み、早く戦場に出ることを望んでいた。夏天(か・てん)は城楼に上がり、そこから飛び降り、馬士襄に城門を守らせた。そして、彼女は敵陣へと向かった。
第24話の感想
第24話は、唐国が内憂外患に苛まれる中、それぞれのキャラクターが苦渋の決断を迫られる緊迫した展開でした。李沛言の唐王への執著と絶望、李漁の冷静な判断と責任感、そして朝小樹の民への思いやりなど、様々な感情が交錯し、物語に深みを与えています。
特に印象的なのは、李漁のリーダーシップです。彼女は国難に際し、冷静さを保ち、戦略的な判断を下しています。華山岳(かざんがく)の仮対意見にも耳を傾けながらも、最終的には自らの信念に基づいて行動する姿は、真の指導者としての風格を感じさせます。一方、李珲円(こんえん)の優柔不断さや李沛言の身勝手さは、唐国の危機をさらに深刻にしているように見えます。
また、朝小樹の民への思いやりも胸を打つものがありました。燕軍を軽視する李漁に対し、国境の民の安全を心配する彼の言葉は、戦乱の中で忘れられがちな人々の存在を改めて思い出させてくれます。楊二喜の愛国心や夏天(か・てん)の勇敢さも、それぞれの立場で国を守ろうとする人々の力強さを感じさせます。
つづく