夏の暑さ厳しい中、軍からの緊急報告が夏天(か・てん)のもとへ届き、彼女は直ちに前線の状況把握を命じた。一方、即位したばかりの李琥珀(こはく)に対し、曽静(ぞうせい)は捕らえられた羽林軍(うりんぐん)への適切な処置を求めた。李琿圓の死後、悲しみに暮れる李漁は酒に溺れ、華山岳(かざんがく)は心配するも拒絶され、追い払われてしまう。

寧缺(ねい・けつ)が李琿圓を殺し、李漁を幽閉したと知った崇明(すうめい)は焦燥する。唐軍の抵抗に苦戦する隆慶の報を受け、崇明(すうめい)は援軍を率いると同時に、囚われた李漁を見舞うことを決意する。寧缺(ねい・けつ)は李漁の安全のため、府内の刃物を全て没収するよう命じる。しかし、李漁は寧缺(ねい・けつ)への恨みを募らせ、魔宗の聖女とされる夏天(か・てん)を庇護する彼を責める。寧缺(ねい・けつ)は先帝・李仲易の遺誌に従い、大唐と李漁を守ると誓う。

寧缺(ねい・けつ)が李琥珀(こはく)を擁立したと知った熊初墨は激怒し、葉紅魚(よう・こうぎょ)と羅克敵に西陵(せいりょう)の騎兵を率いて南下、青峡を攻撃するよう命じる。葉紅魚(よう・こうぎょ)は不本意ながらも出陣し、その姿を葉青が見つめる。程立雪は病床の天諭大神官(だいしんかん)に唐と西陵(せいりょう)の緊迫した情勢を伝え、大唐の未来を憂慮する。天諭大神官(だいしんかん)は桑桑(そうそう)が大唐を救う可能性を感じ取るも、天女(てんにょ)と桑桑(そうそう)の区別がつかず困惑する。

実は、桑桑(そうそう)と天女(てんにょ)は一体化し、光と闇のように共存している。夫子(ふうし)が桑桑(そうそう)の気を天女(てんにょ)に注入したため、天女(てんにょ)は桑桑(そうそう)の影響から完全に逃れられない。桑桑(そうそう)は昇天を望まず、天女(てんにょ)もまた現世に縛られ、二人の間ではしばしば意見が衝突する。

熊初墨が莫山山(ばく・さんさん)を祭旗に利用しようと企んでいると知った李慢慢(り・まんまん)は、陳皮皮を救出に向かわせる。陳皮皮は機転を利かせ、警備を倒し、幽閣樊籠の禁製を解こうとするが失敗する。その時、莫山山(ばく・さんさん)は自ら禁製を解き、駆けつけた葉紅魚(よう・こうぎょ)に救出され、陸晨迦と共に桃山を脱出する。

月輪(げつりん)国へ戻ろうとする陸晨迦に、莫山山(ばく・さんさん)は執著を捨て、光が闇に打ち勝つと信じるよう諭す。しかし、陸晨迦は隆慶への想いを断ち切れない。葉紅魚(よう・こうぎょ)は陸晨迦の痴情を冷ややかに見て、三人は別れる。莫山山(ばく・さんさん)はいつか三痴が再会できることを願う。

陳皮皮の救出劇を知った熊初墨は、彼を利用して書院(しょいん)の陣眼杵を奪おうとする。陳皮皮は機智に対処するが、激怒した熊初墨に殺されそうになる。間一髪、葉青と陳某が現れ、彼を救う。陳某は陳皮皮の独断専行を叱責し、仮省を命じる。そして、自ら書院(しょいん)へ行き李慢慢(り・まんまん)と交渉することを決め、葉青を青峡へ派遣して葉紅魚(よう・こうぎょ)を支援させ、自身は大唐との最終決戦の準備を進める。

この物語では、様々な勢力が大唐の運命を巡り激しく争い、感情と責任、忠誠と裏切りが複雑に絡み合い、激動の政治絵巻が展開される。そして、この嵐の渦中で、誰もがそれぞれの信念と立場のために戦い、未来は不確実性に満ちている。

第28話の感想

第28話は、それぞれのキャラクターの苦悩と決断が深く描かれた、非常に重厚なエピソードでした。特に印象的なのは、李漁の悲しみと寧缺(ねい・けつ)の責任感の対比です。愛する兄を失い、絶望の淵に沈む李漁。その一方で、大唐と民を守るという重責を担う寧缺(ねい・けつ)。二人のすれ違う想いは、見ている側にも胸を締め付けるものがありました。

また、桑桑(そうそう)と天女(てんにょ)の一体化という設定も、物語に新たな深みを与えています。光と闇、相仮する存在でありながら、互いに影響し合い、切り離せない関係。これは、まさに人間の内面にある矛盾や葛藤を象徴しているかのようです。二人のせめぎ合いが、今後の展開にどう影響していくのか、非常に気になるところです。

そして、西陵(せいりょう)の動きも激化し、戦乱の足音がますます近づいてきています。熊初墨の冷酷な策略、葉紅魚(よう・こうぎょ)の内面の葛藤、そして莫山山(ばく・さんさん)と陸晨迦の友情。それぞれの思惑が交錯し、緊張感が高まる展開に目が離せません。特に、葉紅魚(よう・こうぎょ)が莫山山(ばく・さんさん)を救出したシーンは、彼女の複雑な心情が垣間見え、今後の変化を予感させます。

つづく