あらすじ

第三話では、桑桑そうそうの病を治すため、寧缺ねい・けつが彼女を連れて瓦山へ向かい、岐山大師きさんの助けを求める旅路での様々な困難と試練が描かれています。折しも盂蘭盆節に瓦山を訪れていた莫山山ばく・さんさんは、寧缺ねい・けつと再会し、桑桑そうそうの病状を知ると、二人に同行することを決意します。道中、桑桑そうそうは並外れた知恵を発揮し、黄衣苦修が残した難題を解き明かし、洞明大師どうめいだいしの試練でも引き分けに持ち込み、一行は前進を続けます。最後の試練を前に、寧缺ねい・けつ桑桑そうそう岐山大師きさんの助けを焦燥しながら待つ中、宝樹ほうしゅ曲妮きょくじも到着し、寧缺ねい・けつの邪魔をしようと企みます。この一連の出来事を通して、桑桑そうそうの強さと賢さ、寧缺ねい・けつの焦りと決意、そして莫山山ばく・さんさん寧缺ねい・けつに抱く深い愛情が鮮やかに描かれています。

ネタバレ

盂蘭節の瓦山に莫山山ばく・さんさんが到著。寧缺ねい・けつ桑桑そうそうは彼女に会い、ぎこちない雰囲気に。桑桑そうそうは二人に話す機会を与えようと、疲れたふりをして馬車の中で休むことに。寧缺ねい・けつ莫山山ばく・さんさんと少し離れた場所で話し、夏候か・こうを倒した経緯を聞かれる。寧缺ねい・けつは勝利したものの、桑桑そうそうが大きな代償を払ったことを後悔していると告白する。莫山山ばく・さんさん桑桑そうそうの回復を信じ、彼を励ました。

突然、黒馬が嘶き、桑桑そうそうは藁を与えて落ち著かせようとするが、黒馬は言うことを聞かず、桑桑そうそう寧缺ねい・けつの元へ連れて行く。莫山山ばく・さんさんは、岐山大師きさんに会うには瓦山の三つの試練を突破する必要があると寧缺ねい・けつに告げる。桑桑そうそうの容態を心配する寧缺ねい・けつは焦るが、桑桑そうそう莫山山ばく・さんさんに同行を頼み、莫山山ばく・さんさんも快諾する。馬車の中で、莫山山ばく・さんさんは瓦山の女性たちが桑桑そうそうに興味を持っていることを伝え、桑桑そうそうは自分はただの侍女だと謙遜し、これまで無視されてきた経験を面白おかしく語る。莫山山ばく・さんさん寧缺ねい・けつにとって桑桑そうそうが最も大切な存在であることを羨ましく思う。桑桑そうそう莫山山ばく・さんさん寧缺ねい・けつに好意を抱いていることを見抜き、自分が死ぬ以外、諦めるように忠告する。

馬車を降りた莫山山ばく・さんさんは、寧缺ねい・けつを見送りながら複雑な心境になる。そこに月輪げつりん国の公主、陸晨迦りく・しんかが現れ、莫山山ばく・さんさんの片思いに気づく。莫山山ばく・さんさん寧缺ねい・けつの幸せを願っていると語り、陸晨迦りく・しんかには岐山大師きさんに恋愛相談をしないよう忠告する。

寧缺ねい・けつ桑桑そうそうは虎跳澗に著くが、黄衣の修行僧に道を阻まれ、残局を解くよう迫られる。時間を無駄にしたくない寧缺ねい・けつは弓矢で突破しようとするが、桑桑そうそうはそれを止め、乱柯の残局に挑戦する。桑桑そうそうは一手白を打ち、熟考の末に攻略法を見つけ、見事残局を解く。修行僧は彼らの通過を許可し、寧缺ねい・けつ桑桑そうそうを抱きかかえて山を登る。

涼亭では洞明大師どうめいだいしが待ち構えており、桑桑そうそうのために風よけを用意していた。桑桑そうそうは定石を破り黒を選び、対局は引き分けに終わる。洞明大師どうめいだいしは二人に山への登攀を許可する。宝樹ほうしゅ大師と曲妮きょくじが瓦山に到著すると、天擎宗てんけいしゅう観海かんかいに阻まれる。寧缺ねい・けつが既に二つの試練を突破したと聞き、観海かんかいは焦るが、結局二人を通す。

洞廬に著いた寧缺ねい・けつは、大樹に残る三枚の葉を見て岐山大師きさん桑桑そうそうの治療を頼む。岐山きざんは最後の試練として対局を要求する。葉が落ちることを恐れる寧缺ねい・けつ岐山きざんに無礼な態度をとるが、岐山きざんは無視し、桑桑そうそうが対局に臨む。桑桑そうそうが冷えた碁石を手に取ると、風が吹き二枚の葉が落ち、最後の一枚だけが残る。寧缺ねい・けつは焦燥する。

その時、宝樹ほうしゅ曲妮きょくじが洞廬に到著し、岐山大師きさんに謁見する。岐山きざん宝樹ほうしゅに盂蘭の鈴をしまうよう命じるが、宝樹ほうしゅは腹いせに鈴を地面に投げつけ音を鳴らす。岐山きざんの陰謀を見抜いた岐山きざんは二人を追い払おうとし、桑桑そうそうに梨を与える。桑桑そうそうはそれを美味しそうに食べる。

第3話 感想

第3話は、桑桑そうそうの身を案じる寧缺ねい・けつの焦りと、彼を支えようとする桑桑そうそうの健気さが胸を打つエピソードでした。岐山大師きさんに会うための瓦山の試練は、まさに時間との戦い。残された時間と桑桑そうそうの容態が悪化する不安の中で、寧缺ねい・けつの焦りは募るばかりです。そんな彼を支える桑桑そうそうの強さは、見ているこちらも勇気づけられます。

特に印象的だったのは、桑桑そうそうが乱柯の残局を解くシーン。一手一手に込められた彼女の知性と決意は、まさに圧巻でした。また、洞明大師どうめいだいしとの対局で定石を破り黒を選ぶ大胆さも、彼女の芯の強さを象徴しているように感じました。ただの侍女と謙遜しながらも、内に秘めた賢さと強さを垣間見せる桑桑そうそうの魅力が、このエピソードでより際立っていました。

つづく