知守観では、元観主の陳某が李慢慢(り・まんまん)を最大の脅威とみなし、自ら出陣。李慢慢(り・まんまん)に七日間猶予を与え、その間に唐の皇宮へ侵入し、李琥珀(こはく)を狙う。李慢慢(り・まんまん)は陳某の深淵なる実力を感じながらも、唐を守る決意を固める。
一方、熊初墨は宋謙(そうけん)と八先生を圧倒するが、余簾が現れ対峙。熊初墨は余簾を侮り、陣眼の杵を渡すよう迫る。余簾は冷静に熊初墨を後山(こうさん)へ誘い込み、二十三年蝉の秘術を発動。実は余簾は、明宗最後の宗主林霧であり、西陵(せいりょう)の襲撃で重傷を負い、夫子(ふうし)に救われ書院(しょいん)に身を隠していたのだ。
陳皮皮は師叔の仕掛けた陣を自分が標的だと勘違いするが、それは無距の強者に対応するためのものだった。熊初墨は余簾に敵わないと知りつつも天啓神術を繰り出すが、夫子(ふうし)の教えを胸に秘術で対抗した余簾に敗北し、西陵(せいりょう)へ逃げ帰る。
余簾の実力に感服した宋謙(そうけん)と八先生は書院(しょいん)を守り、余簾は寧缺(ねい・けつ)を助けるため都へ向かう。寧缺(ねい・けつ)は陣眼の杵の修復に苦慮していたが、余簾の到著と二十三年蝉により彼女の正体を知る。二人は夫子(ふうし)の恩を思い返し、共に戦う決意を新たにする。
西陵(せいりょう)軍は羅克敵、柳白、葉紅魚(よう・こうぎょ)の指揮下、青峡へ進軍するが、伏兵に遭い大きな損害を受ける。君陌(くんはく)率いる書院(しょいん)の先生たちが迎え撃ち、君陌(くんはく)は特製の鎧を纏い百万の西陵(せいりょう)騎兵に立ち向かう。葉紅魚(よう・こうぎょ)は君陌(くんはく)との対決を望み、羅克敵も挑発する。
寧缺(ねい・けつ)と余簾は陣眼の杵を起動するが、欠陥を発見し七日以内の修復が必要となる。李慢慢(り・まんまん)と君陌(くんはく)がそれぞれ陳某と青峡を守り、唐の運命は風前の灯火。寧缺(ねい・けつ)は重圧を感じながらも希望を捨てない。
羅克敵の号令一下、西陵(せいりょう)騎兵が押し寄せ、書院(しょいん)の弟子たちは応戦。北宮未央と西門不惑(せいもんふわく)は琴簫合奏で敵を退けるも、多勢に無勢で後退。君陌(くんはく)は万箭を受け止め、木柚たちも加勢し激戦が繰り広げられる。柳白は書院(しょいん)の弟子の勇姿に夫子(ふうし)の教えの偉大さを改めて感じる。
夜になり一時休戦。君陌(くんはく)は北宮未央と西門不惑(せいもんふわく)を労い、木柚は皆のために食事を用意する。青峡での戦いは激しさを増し、唐の運命は未だ定かではない。
第30話の感想
緊迫感溢れる展開に息を呑む第30話。それぞれのキャラクターの覚悟と信念がぶつかり合い、物語は大きな転換期を迎えています。特に印象的なのは、余簾の正体が明かされるシーン。長年謎に包まれていた三先生=林霧という衝撃の事実は、今後の展開に大きな影響を与えそうです。夫子(ふうし)との繋がり、明宗の悲劇、そして二十三年蝉の秘術…彼女の背負ってきた過去と、静かな闘誌に胸を打たれました。
また、君陌(くんはく)の孤高の戦いも心を揺さぶります。百万の西陵(せいりょう)騎兵を前に、たった一人で立ち向かう姿はまさに「一人一城」。特製の鎧を纏い、揺るぎない決意で矢の雨を耐え忍ぶ姿は、まさに圧巻。弟子たちの奮闘も光り、木柚の健気な姿にも心温まります。
つづく