青峡の上で、柳白は冷徹な視線で君陌(くんはく)を見拠えていた。君陌(くんはく)の根底にある驕りは未だ消えておらず、鉄剣は手に握られることなく、傍らに置かれていた。柳白は君陌(くんはく)の最も脆い時にその驕りを打ち砕き、彼を激怒させようと画策する。一方、葉紅魚(よう・こうぎょ)もまた君陌(くんはく)との対決に期待を膨らませ、互いに一歩も譲らぬ緊張感が漂っていた。

その頃、木柚は師兄弟たちと食卓を囲み、和やかな雰囲気を作ろうと努めていたが、不用意な発言で君陌(くんはく)の叱責を受けてしまう。しょんぼりとした木柚は静かに席を外し、君陌(くんはく)は月を見上げ、夫子(ふうし)の加護を祈っていた。都では、桑桑(そうそう)が寧缺(ねい・けつ)と唐国の行く末を案じていた。天女(てんにょ)の警告も彼女の不安を完全に払拭するには至らなかった。

隆慶からの戦報は状況をさらに緊迫させた。知守観観主の陳某が自ら出陣し、紫墨(しぼく)に燕軍と朝小樹への対処を命じ、自身は堕落騎兵と金帳王庭(きんちょうおうてい)の精鋭を率いて唐の都へと南下を開始した。この知らせを受けた夏天(か・てん)は、直ちに寧缺(ねい・けつ)と対策を練る。朝小樹は東疆で勝利を重ねてはいるものの、損害も大きく、寧缺(ねい・けつ)は驚神陣の修復に苦慮し、焦燥感を募らせていた。夏天(か・てん)と李琥珀(こはく)は彼を励まし、支え続けた。

君陌(くんはく)たちが食事を終えると、西陵(せいりょう)軍が突如として攻め込んできた。葉紅魚(よう・こうぎょ)は樊籠大陣を展開し、君陌(くんはく)を閉じ込めようとする。君陌(くんはく)は鉄剣を振るい抵抗するも、陣を破ることは容易ではなかった。羅克敵はすかさず西陵(せいりょう)騎兵に書院(しょいん)の弟子たちへの攻撃を命じ、戦いが勃発する。葉紅魚(よう・こうぎょ)の猛攻により、西門不惑(せいもんふわく)と北宮未央は窮地に陥る。危機一髪、君陌(くんはく)は力を爆発させ、樊籠を突破し、二人を救出した。

葉紅魚(よう・こうぎょ)は諦めず、羅克敵に攻撃継続を命じる。西陵(せいりょう)騎兵の猛攻に対し、君陌(くんはく)は決死の覚悟を決める。その時、李慢慢(り・まんまん)が突如現れ、琴の音で西陵(せいりょう)の百万騎兵を退却させ、羅克敵と葉紅魚(よう・こうぎょ)を圧倒的な力で打ち破った。

しかし、陳某の出現により、再び緊張が走る。彼が放つ無数の飛剣に対し、範悦は河山盤で防戦するも、苦戦を強いられる。君陌(くんはく)は陳某を倒すしかないと悟る。その時、李慢慢(り・まんまん)は突然青峡を離れ、陳某は彼を追う。李慢慢(り・まんまん)の真の目的は知守観に保管されている天書だった。彼は知守観に侵入するも、陳某の池魚籠鳥大陣に囚われてしまう。しかし、李慢慢(り・まんまん)は陣の破綻を見抜き、金糸線を使って脱出する。これは陳皮皮の巧妙な計略だったのだ。

都では、寧缺(ねい・けつ)が驚神陣の修復に焦りを感じていた。余簾は彼の陣法の未熟さを指摘しつつも、諦めないよう励ます。陳皮皮は池魚籠鳥大陣で師叔を足止めし、都へ向かう。師叔は惜才の念を抱きつつも、陳皮皮の決断を尊重する。

莫山山(ばく・さんさん)の到著は寧缺(ねい・けつ)にとっての転機となる。余簾は彼女に寧缺(ねい・けつ)の驚神陣修復の協力を命じる。再会を果たした二人は、言葉少なに互いを気遣い、作業に没頭する。一方、範悦と他の書院(しょいん)の弟子たちは陳某の飛剣と激闘を繰り広げ、君陌(くんはく)たちは書院(しょいん)と唐を守るため全力を尽くしていた。柳白は直接戦闘には参加しないものの、その存在は皆に重圧を与えていた。

第31話感想:激闘の青峡、知略の知守観

第31話は、青峡での激しい戦闘と知守観における知略戦が同時進行し、息つく暇もない展開でした。柳白の冷徹な観察眼、君陌(くんはく)の揺るがぬ驕り、そして葉紅魚(よう・こうぎょ)との一触即発の緊張感など、それぞれのキャラクターの個性が際立っていました。特に、木柚の不用意な発言が君陌(くんはく)の叱責を受けるシーンは、緊迫した状況下での人間関係の機微が描かれており、印象的でした。

戦闘シーンは迫力満点で、葉紅魚(よう・こうぎょ)の樊籠大陣、君陌(くんはく)の鉄剣による仮撃、そして李慢慢(り・まんまん)の圧倒的な力による西陵(せいりょう)軍の撃退など、見どころ満載でした。李慢慢(り・まんまん)の琴の音で百万の騎兵を退却させるシーンは、まさに圧巻。彼の強さを改めて実感させられました。

つづく