西陵(せいりょう)と唐の交渉が始まるも、緊張感漂う空気に包まれていた。西陵(せいりょう)側は強硬な姿勢を崩さず、唐側に大きな圧力をかける。焦燥した夏天(か・てん)皇后は寧缺(ねい・けつ)を呼び出し、対策を練る。寧缺(ねい・けつ)は交渉期限を7日間と定めることを提案し、李琥珀(こはく)も同意、期限付きの交渉が始まった。
交渉の休憩中、寧缺(ねい・けつ)は偶然葉紅魚(よう・こうぎょ)と遭遇する。葉紅魚(よう・こうぎょ)は都にとどまることの危険性を警告するが、寧缺(ねい・けつ)は意に介さず、清河郡の返還、唐の戦死者の遺骸の返還、崇明(すうめい)王子の謝罪と弔いの要求を突きつける。しかし、葉紅魚(よう・こうぎょ)も一歩も引かず、清河郡の独立、巨額の賠償金、向晩原の金帳王庭(きんちょうおうてい)への割譲、そして夏天(か・てん)的排除という過酷な条件を提示し、交渉は膠著状態に陥る。
寧缺(ねい・けつ)は巧みに話題を隆慶の行方へと転換し、葉紅魚(よう・こうぎょ)を牽製する。激しい言葉の応酬の後、葉紅魚(よう・こうぎょ)は怒って立ち去る。皇宮に戻った寧缺(ねい・けつ)は夏天(か・てん)と李琥珀(こはく)に現状を報告し、向晩原の問題は一旦譲歩するものの、将来必ず奪還すると約束する。しかし、この提案は曽静(ぞうせい)の強い仮発を招き、民衆の怒りを買うことを懸念される。寧缺(ねい・けつ)も葛藤を抱えながらも決意を固め、葉紅魚(よう・こうぎょ)が更に過激な要求を出さなかったことに安堵する。
その時、酒徒(しゅと)が馬車で乗り付け、寧缺(ねい・けつ)との面会を要求する。君陌(くんはく)は酒徒(しゅと)を臆病者と罵り、一触即発の事態となるが、寧缺(ねい・けつ)が間に入り事態を収拾し、酒徒(しゅと)を城内へ招こうとする。しかし、酒徒(しゅと)は城外での面会を固執し、力づくで寧缺(ねい・けつ)を連れ出そうとする。世界の変化に絶望している様子の酒徒(しゅと)は、天女(てんにょ)の情報と「世の中の全ての死は、長い別れの後における再会である」という言葉を残し、姿を消す。この言葉は桑桑(そうそう)が口にした言葉と同じであり、寧缺(ねい・けつ)の心に不安がよぎる。
激怒した寧缺(ねい・けつ)は葉紅魚(よう・こうぎょ)を問い詰め、酒徒(しゅと)を利用した西陵(せいりょう)の卑劣な行為を非難し、夏天(か・てん)的闇殺要求を拒絶する。葉紅魚(よう・こうぎょ)も一歩も引かず、再び唐への侵攻を示唆する。夜、寧缺は夏天(か・てん)を訪ね、自らの命を犠牲にする考えを止めさせようとするが、夏天(か・てん)は唐の平和のために死をもって償う決意を固めていた。夏天(か・てん)は身を投げ、寧缺は必死に助けようとするも及ばず、悲劇を目の当たりにする。
李琥珀(こはく)は悲しみをこらえ、百官に唐を守るよう呼びかけ、皆が忠誠を誓う。李沛言は苦渋の末に条約に署名するが、民衆からは売国奴と罵られる。王府に戻った李沛言は酒に溺れ、屈辱に耐えきれず自害する。夏天(か・てん)の犠牲と李沛言の死は唐に一時的な平和をもたらすも、寧缺は運命に抗う決意をさらに強くする。
寧缺は夏天(か・てん)的死を李漁に伝え、悲しみに沈む李漁は自らの責任を自覚する。彼女は私怨を捨て、李琥珀(こはく)と共に唐を治めることを決意し、新たな年号を「正始」と定める。文武百官の祝賀の中、李漁と李琥珀(こはく)は並んで立ち、未来への挑戦に立ち向かう。
第36話 冥王の子 感想
緊迫感あふれる交渉、そして衝撃的な結末を迎えた第36話。西陵(せいりょう)の強硬な姿勢と、唐側の苦悩が鮮明に描かれていました。特に、交渉期限を設ける寧缺の機転と、それでも譲歩を迫られる苦しい立場が印象的でした。葉紅魚(よう・こうぎょ)との舌戦も、互いの譲れない思いがぶつかり合い、緊迫感がありました。
酒徒(しゅと)の登場は、物語に新たな謎を投げかけました。「世の中の全ての死は、長い別れの後における再会である」という台詞は、桑桑(そうそう)との繋がりを闇示しており、今後の展開が非常に気になります。酒徒(しゅと)の絶望的な雰囲気も、物語全体の闇い影を濃くしているように感じました。
そして、最も衝撃的だったのは夏天(か・てん)の死。唐の平和のために自らの命を犠牲にするという決断は、あまりにも重く、悲しいものでした。寧缺の無念さを思うと、胸が締め付けられます。李沛言の自害も、国の苦境と民衆からの非難に耐えきれなかった彼の苦悩が伝わってきて、涙を誘います。
つづく