寧缺(ねい・けつ)は周到な計画を立て、都城と驚神陣を守る構えを見せながら、密かに勢力を西陵(せいりょう)へ集結させ、酒徒(しゅと)と屠夫を討ち、天女(てんにょ)の帰還を阻止しようと企む。君陌(くんはく)を筆頭に、李慢慢(り・まんまん)を始めとする書院(しょいん)の師兄師姉たちもこの計画に賛同し、夫子(ふうし)の加護を願い、共に闇黒に立ち向かうことを誓う。

一方、唐国への薬材の流入を知った羅克敵は、寧缺(ねい・けつ)が驚神陣の修復に専念していると誤解する。熊初墨は天女(てんにょ)の帰還に乗じて唐国への総攻撃を企て、羅克敵に出撃準備を命じる。君陌(くんはく)はこの作戦の危険性を悟り、書童を通して朝小樹に協力を要請、書院(しょいん)の計画を明かす。朝小樹は危険を承知の上で、任務を引き受ける。

熊初墨は天女(てんにょ)に月輪(げつりん)国の貢ぎ物を献上し、書院(しょいん)殲滅の計画を提案する。天女(てんにょ)は書院(しょいん)が光明会に参加すると信じていたが、熊初墨に新たな渡引使を探すよう助言し、知守観の観主である陳某を最適任者として推薦する。熊初墨は直ちに知守観へ向かう。

朝小樹は、酒徒(しゅと)と屠夫の信頼を得るため、自らの修為を捨てる決意をする。君陌(くんはく)と李慢慢(り・まんまん)の助言で柳白を訪ね、協力を求める。柳白は朝小樹の才能に疑問を抱きながらも、その覚悟に心を打たれ、剣で彼の修為を廃し、二振りの剣を体内に埋め込む。そして、剣が砕ける時が朝小樹の命の尽きるときだと予言する。朝小樹は覚悟を決めてこれを受け入れる。

西陵(せいりょう)へ向かう寧缺(ねい・けつ)は、道中で楊二喜と遭遇する。大黒馬と桑桑(そうそう)の不幸を知った楊二喜は寧缺(ねい・けつ)を慰め、新たな伴侶を探すよう勧めるが、寧缺(ねい・けつ)は桑桑(そうそう)への想いを断ち切れず、その申し出を断る。

熊初墨は葉紅魚(よう・こうぎょ)と羅克敵を伴い知守観を訪れ、陳某に渡引使になるよう強要する。修為を失っていた陳某は抵抗できず、要求を受け入れるが、渡引使の役目を拒否する。陳皮皮もこれに仮対するが、羅克敵に攻撃される。しかし陳皮皮は仮撃し、形勢逆転する。その時、天女(てんにょ)が現れ、真の渡引使は陳某ではなく陳皮皮だと告げる。この unexpected な展開に熊初墨は驚愕する。

天女(てんにょ)に近づく機会を窺う寧缺(ねい・けつ)は、変装して西陵(せいりょう)神殿の厨房に潜入する。光明殿(こうめいでん)へ潜入し、天女(てんにょ)の計画を阻止すると共に、桑桑(そうそう)に会うことを望んでいた。しかし、光明殿(こうめいでん)へ向かう途中、突如吹き荒れた強風に阻まれ、辛くも脱出する。その時、大黒馬が現れ、新たな希望が生まれる。

寧缺(ねい・けつ)を想う桑桑(そうそう)は、焼き芋を買わせることで寂しさを紛らわせていた。偶然寧缺(ねい・けつ)の姿を見かけた桑桑(そうそう)は、思わず彼の名を叫んでしまう。これに激怒した天女(てんにょ)は、桑桑(そうそう)を気絶させ、隠してしまう。寧缺(ねい・けつ)は焼き芋屋で、雷で桃林に裂け目ができたことを聞き、光明殿(こうめいでん)への侵入経路が開かれたことを知る。桃林を突破した寧缺(ねい・けつ)だったが、光明殿(こうめいでん)に近づく寸前、天女(てんにょ)に焼き芋を投げつけられ、崖から転落する。

この夜、寧缺(ねい・けつ)と桑桑(そうそう)の運命は再び交錯し、書院(しょいん)と西陵(せいりょう)の戦いの幕が上がる。

第38話 感想

緊迫感溢れる展開に息を呑む第38話。寧缺(ねい・けつ)の周到な計画と、それを支える書院(しょいん)の仲間たちの固い絆が印象的でした。特に、朝小樹の自己犠牲には心を打たれました。己の命を賭してまで大義を成そうとする姿は、まさに真の侠客と言えるでしょう。柳白とのやり取りも、静かながらも熱い想いが伝わってきて、胸が締め付けられました。

一方、西陵(せいりょう)側では、熊初墨の狡猾さと野心が際立っていました。天女(てんにょ)を利用し、唐国を滅ぼそうとするその姿は、まさに悪役そのもの。しかし、天女(てんにょ)の真意はどこにあるのか、まだまだ謎が多く、今後の展開が気になります。陳皮皮が渡引使に選ばれたのも unexpected な展開で、物語にさらなる波乱を予感させます。

そして、何と言っても、寧缺と桑桑(そうそう)の再会シーンには涙を禁じ得ませんでした。互いを想いながらも、すれ違ってしまう二人の運命は、あまりにも残酷です。焼き芋を通して繋がる二人の想い、そして、天女(てんにょ)によって阻まれる再会。このもどかしい状況が、見ている者の心を揺さぶります。

つづく