あらすじ
第三十八話では、寧缺が西陵に対抗するため、水面下で各勢力を集結させ、表では都城死守の構えを見せる様子が描かれています。君陌や李慢慢を始めとする書院の面々は次々とこれに応じ、朝小樹は敵の信用を得るため自ら修為を捨てます。一方、熊初墨は天女の帰還に乗じて唐(とうへ侵攻する計画を立て、知守観観主の陳某を無理やり渡引使に仕立て上げようとしますが、天女は最終的に陳皮皮を渡引使に指名します。寧缺は変装して西陵神殿に潜入し、天女の計画を阻止しようと試み、同時に桑桑を探します。桑桑は寧缺への想いが募り、天女によって気絶させられ、隠されてしまいます。光明殿に近づいた寧缺は天女に崖から突き落とされますが、二人の運命は再び交錯し、書院と西陵の全面対決の幕が切って落とされます。
ネタバレ
寧缺は周到な計画を立て、都城と驚神陣を守る構えを見せながら、密かに勢力を西陵へ集結させ、酒徒と屠夫を討ち、天女の帰還を阻止しようと企む。君陌を筆頭に、李慢慢を始めとする書院の師兄師姉たちもこの計画に賛同し、夫子の加護を願い、共に闇黒に立ち向かうことを誓う。
一方、唐(とうへの薬材の流入を知った羅克敵は、寧缺が驚神陣の修復に専念していると誤解する。熊初墨は天女の帰還に乗じて唐(とうへの総攻撃を企て、羅克敵に出撃準備を命じる。君陌はこの作戦の危険性を悟り、書童を通して朝小樹に協力を要請、書院の計画を明かす。朝小樹は危険を承知の上で、任務を引き受ける。
熊初墨は天女に月輪国の貢ぎ物を献上し、書院殲滅の計画を提案する。天女は書院が光明会に参加すると信じていたが、熊初墨に新たな渡引使を探すよう助言し、知守観の観主である陳某を最適任者として推薦する。熊初墨は直ちに知守観へ向かう。
朝小樹は、酒徒と屠夫の信頼を得るため、自らの修為を捨てる決意をする。君陌と李慢慢の助言で柳白を訪ね、協力を求める。柳白は朝小樹の才能に疑問を抱きながらも、その覚悟に心を打たれ、剣で彼の修為を廃し、二振りの剣を体内に埋め込む。そして、剣が砕ける時が朝小樹の命の尽きるときだと予言する。朝小樹は覚悟を決めてこれを受け入れる。
西陵へ向かう寧缺は、道中で杨二喜と遭遇する。大黒馬と桑桑の不幸を知った杨二喜は寧缺を慰め、新たな伴侶を探すよう勧めるが、寧缺は桑桑への想いを断ち切れず、その申し出を断る。
熊初墨は葉紅魚と羅克敵を伴い知守観を訪れ、陳某に渡引使になるよう強要する。修為を失っていた陳某は抵抗できず、要求を受け入れるが、渡引使の役目を拒否する。陳皮皮もこれに仮対するが、羅克敵に攻撃される。しかし陳皮皮は仮撃し、形勢逆転する。その時、天女が現れ、真の渡引使は陳某ではなく陳皮皮だと告げる。この unexpected な展開に熊初墨は驚愕する。
天女に近づく機会を窺う寧缺は、変装して西陵神殿の厨房に潜入する。光明殿へ潜入し、天女の計画を阻止すると共に、桑桑に会うことを望んでいた。しかし、光明殿へ向かう途中、突如吹き荒れた強風に阻まれ、辛くも脱出する。その時、大黒馬が現れ、新たな希望が生まれる。
寧缺を想う桑桑は、焼き芋を買わせることで寂しさを紛らわせていた。偶然寧缺の姿を見かけた桑桑は、思わず彼の名を叫んでしまう。これに激怒した天女は、桑桑を気絶させ、隠してしまう。寧缺は焼き芋屋で、雷で桃林に裂け目ができたことを聞き、光明殿への侵入経路が開かれたことを知る。桃林を突破した寧缺だったが、光明殿に近づく寸前、天女に焼き芋を投げつけられ、崖から転落する。
この夜、寧缺と桑桑の運命は再び交錯し、書院と西陵の戦いの幕が上がる。
第38話 感想
緊迫感溢れる展開に息を呑む第38話。寧缺の周到な計画と、それを支える書院の仲間たちの固い絆が印象的でした。特に、朝小樹の自己犠牲には心を打たれました。己の命を賭してまで大義を成そうとする姿は、まさに真の侠客と言えるでしょう。柳白とのやり取りも、静かながらも熱い想いが伝わってきて、胸が締め付けられました。
一方、西陵側では、熊初墨の狡猾さと野心が際立っていました。天女を利用し、唐(とうを滅ぼそうとするその姿は、まさに悪役そのもの。しかし、天女の真意はどこにあるのか、まだまだ謎が多く、今後の展開が気になります。陳皮皮が渡引使に選ばれたのも unexpected な展開で、物語にさらなる波乱を予感させます。
そして、何と言っても、寧缺と桑桑の再会シーンには涙を禁じ得ませんでした。互いを想いながらも、すれ違ってしまう二人の運命は、あまりにも残酷です。焼き芋を通して繋がる二人の想い、そして、天女によって阻まれる再会。このもどかしい状況が、見ている者の心を揺さぶります。
つづく