あらすじ
第五話では、盂蘭盆節の催しに参加した寧缺と桑桑の様子が描かれています。各門派から桑桑への敬意が示される一方、曲妮や宝樹たちは寧缺が冥王の息子ではないかと疑念を抱き、問い詰めます。寧缺は公衆の面前でその身分を否定し、曲妮や宝樹たちと衝突を起こします。宝樹が盂蘭の鈴を鳴らすと、桑桑は異様な反応を示し、冥王の娘であることが明らかになります。寧缺はそれを信じようとせず、桑桑を守り抜こうと決意し、追跡者たちと激しい戦いを繰り広げます。最後は莫山山の助けもあり、辛くも逃げ延びることに成功します。このエピソードは、桑桑に対する寧缺の深い愛情と守るという強い意志を際立たせると同時に、桑桑が冥王の娘であるという事実と、それがもたらす危機を明らかにしています。
ネタバレ
盂蘭節の祝典で、寧缺と桑桑は大殿に赴いた。多くの江湖の人々が集まり、間もなく光明大神官となる桑桑に敬意を表していた。曲妮と宝樹大師は、盂蘭鈴の音によって寧缺の冥王の息子としての正体が明らかになるのを待ち構えていた。寧缺は、冥王の息子という噂を二度と口にする者を厳罰に処すと宣言した。緊張が高まる中、莫山山が到著し、寧缺を心配そうに見つめていた。
一方、観海は急いで洞廬に戻り、岐山大師に曲妮が盂蘭鈴を奪ったことを報告した。岐山はすぐさま観海と共に大殿へ向かった。大殿では、曲妮と宝樹が盂蘭鈴を手に、永夜到来の恐怖を煽り立て、寧缺を試そうとしていた。彼らは衛光明的言葉を根拠に、寧缺こそ冥王の息子だと主張した。寧缺は仮論し、彼らの行動が月輪国に災いをもたらすと警告し、盂蘭鈴の真偽を疑った。曲妮は譲らず、宝樹は鈴を鳴らそうとした。
陸晨迦が、盂蘭鈴は邪気を払う盂蘭の花から作られ、天擎の気を宿し、善悪を見分ける力を持つと説明した。寧缺は皮肉を込めて、もしそうなら衛光明が修行する必要もなく、西陵が冥王の息子を探すために殺生をすることもなかっただろうと仮駁した。ただの鈴を宝物のように扱う曲妮たちを嘲笑った。宝樹が鈴を鳴らそうとした瞬間、岐山大師が現れ、争いを止めた。
寧缺は書院の宝である天羅帕を見せ、邪気を払うことができると主張した。彼は月輪国の長老こそ冥王の息子ではないかと疑い、その遺骨を掘り起こして潔白を証明しようと提案した。その時、桑桑は謎の声に急いで立ち去るよう促された。桑桑は疲れたと言い訳をして退出を求め、岐山は仕方なく承諾した。曲妮と宝樹は引き止めようとしたが、寧缺もまた謎の声に導かれ、桑桑を連れて行くことを決意した。
宝樹はついに盂蘭鈴を鳴らし、無数のカラスが空を覆った。寧缺は無事だったが、桑桑は天擎の気に包まれ、血を吐き、苦しみ叫び、さらに多くのカラスに襲われた。激怒した寧缺は宝樹と戦い、大黒傘で桑桑を守り、カラスを追い払った。岐山大師は、寧缺は冥王の息子ではなく、桑桑こそ冥王の娘だと宣言した。曲妮たちは桑桑を殺そうとしたが、寧缺は桑桑が自分の大切な人だと信じ、守り抜こうとした。
岐山大師は、桑桑を診察した際に既に彼女の正体を知っており、三局の碁は桑桑のために用意されたものだと明かした。桑桑は天算で初局を破り、次局では黒を選び世間の白黒に逆らい、終局では時間の法則を破り、彼女の特別な力を見せつけた。大黒傘は夜の闇が形になったもので、衛光明は寧缺を冥王の息子と誤解していたが、実際は曽家が襲われたのだと説明した。
真実を知った寧缺は、桑桑との日々を思い出し、胸を締め付けられた。桑桑は寧缺に迷惑をかけまいと去るように言ったが、寧缺は見捨てないと誓った。曲妮は寧缺が援軍を待つために時間を稼いでいると考えた。寧缺は桑桑を連れて脱出しようとし、追っ手が迫る中、莫山山が神符を使い、二人に逃げる時間を稼いだ。二人は大殿から逃げ出し、未知の運命へと旅立った。
第5話の感想
第5話は、物語が大きく動き出す、非常に重要な回でした。これまで謎に包まれていた桑桑の正体がついに明らかになり、寧缺との関係にも大きな変化が生じました。岐山大師の口から語られた真実、そして桑桑を庇い戦う寧缺の姿は、二人の強い絆を感じさせ、胸を打たれました。
盂蘭鈴を使った儀式は、緊張感に満ち溢れていました。曲妮や宝樹大師の冥王の息子に対する強い執著、そして寧缺の毅然とした態度は、見ている側も息を呑むような展開でした。特に、桑桑が苦しむ姿は見ていて辛く、寧缺の怒りと悲しみがひしひしと伝わってきました。
また、これまで寧缺を支えてきた莫山山が、二人の逃亡を助けるシーンも印象的でした。彼女の優しさと強い意誌が、今後の物語にどう関わってくるのか、期待が高まります。
そして、最後に明かされた大黒傘の秘密。ただの傘だと思っていたものが、実は夜そのものだったという事実は、今後の展開を大きく左右しそうです。
つづく