盂蘭節の祝典で、寧缺(ねい・けつ)と桑桑(そうそう)は大殿に赴いた。多くの江湖の人々が集まり、間もなく光明大神官(だいしんかん)となる桑桑(そうそう)に敬意を表していた。曲妮(きょくじ)と宝樹大師は、盂蘭鈴(うられい)の音によって寧缺(ねい・けつ)の冥王の息子としての正体が明らかになるのを待ち構えていた。寧缺(ねい・けつ)は、冥王の息子という噂を二度と口にする者を厳罰に処すと宣言した。緊張が高まる中、莫山山(ばく・さんさん)が到著し、寧缺(ねい・けつ)を心配そうに見つめていた。

一方、観海(かんかい)は急いで洞廬に戻り、岐山(きざん)大師(きさん)に曲妮(きょくじ)が盂蘭鈴(うられい)を奪ったことを報告した。岐山(きざん)はすぐさま観海(かんかい)と共に大殿へ向かった。大殿では、曲妮(きょくじ)と宝樹が盂蘭鈴(うられい)を手に、永夜到来の恐怖を煽り立て、寧缺(ねい・けつ)を試そうとしていた。彼らは衛光明(えい・こうめい)的言葉を根拠に、寧缺(ねい・けつ)こそ冥王の息子だと主張した。寧缺(ねい・けつ)は仮論し、彼らの行動が月輪(げつりん)国に災いをもたらすと警告し、盂蘭鈴(うられい)の真偽を疑った。曲妮(きょくじ)は譲らず、宝樹は鈴を鳴らそうとした。

陸晨迦が、盂蘭鈴(うられい)は邪気を払う盂蘭の花から作られ、天擎の気を宿し、善悪を見分ける力を持つと説明した。寧缺(ねい・けつ)は皮肉を込めて、もしそうなら衛光明(えい・こうめい)が修行する必要もなく、西陵(せいりょう)が冥王の息子を探すために殺生をすることもなかっただろうと仮駁した。ただの鈴を宝物のように扱う曲妮(きょくじ)たちを嘲笑った。宝樹が鈴を鳴らそうとした瞬間、岐山(きざん)大師(きさん)が現れ、争いを止めた。

寧缺(ねい・けつ)は書院(しょいん)の宝である天羅帕を見せ、邪気を払うことができると主張した。彼は月輪(げつりん)国の長老こそ冥王の息子ではないかと疑い、その遺骨を掘り起こして潔白を証明しようと提案した。その時、桑桑(そうそう)は謎の声に急いで立ち去るよう促された。桑桑(そうそう)は疲れたと言い訳をして退出を求め、岐山(きざん)は仕方なく承諾した。曲妮(きょくじ)と宝樹は引き止めようとしたが、寧缺(ねい・けつ)もまた謎の声に導かれ、桑桑(そうそう)を連れて行くことを決意した。

宝樹はついに盂蘭鈴(うられい)を鳴らし、無数のカラスが空を覆った。寧缺(ねい・けつ)は無事だったが、桑桑(そうそう)は天擎の気に包まれ、血を吐き、苦しみ叫び、さらに多くのカラスに襲われた。激怒した寧缺(ねい・けつ)は宝樹と戦い、大黒傘で桑桑(そうそう)を守り、カラスを追い払った。岐山(きざん)大師(きさん)は、寧缺は冥王の息子ではなく、桑桑(そうそう)こそ冥王の娘だと宣言した。曲妮(きょくじ)たちは桑桑(そうそう)を殺そうとしたが、寧缺は桑桑(そうそう)が自分の大切な人だと信じ、守り抜こうとした。

岐山(きざん)大師(きさん)は、桑桑(そうそう)を診察した際に既に彼女の正体を知っており、三局の碁は桑桑(そうそう)のために用意されたものだと明かした。桑桑(そうそう)は天算で初局を破り、次局では黒を選び世間の白黒に逆らい、終局では時間の法則を破り、彼女の特別な力を見せつけた。大黒傘は夜の闇が形になったもので、衛光明(えい・こうめい)は寧缺を冥王の息子と誤解していたが、実際は曽家が襲われたのだと説明した。

真実を知った寧缺は、桑桑(そうそう)との日々を思い出し、胸を締め付けられた。桑桑(そうそう)は寧缺に迷惑をかけまいと去るように言ったが、寧缺は見捨てないと誓った。曲妮(きょくじ)は寧缺が援軍を待つために時間を稼いでいると考えた。寧缺は桑桑(そうそう)を連れて脱出しようとし、追っ手が迫る中、莫山山(ばく・さんさん)が神符を使い、二人に逃げる時間を稼いだ。二人は大殿から逃げ出し、未知の運命へと旅立った。

第5話の感想

第5話は、物語が大きく動き出す、非常に重要な回でした。これまで謎に包まれていた桑桑(そうそう)の正体がついに明らかになり、寧缺との関係にも大きな変化が生じました。岐山(きざん)大師(きさん)の口から語られた真実、そして桑桑(そうそう)を庇い戦う寧缺の姿は、二人の強い絆を感じさせ、胸を打たれました。

盂蘭鈴(うられい)を使った儀式は、緊張感に満ち溢れていました。曲妮(きょくじ)や宝樹大師の冥王の息子に対する強い執著、そして寧缺の毅然とした態度は、見ている側も息を呑むような展開でした。特に、桑桑(そうそう)が苦しむ姿は見ていて辛く、寧缺の怒りと悲しみがひしひしと伝わってきました。

また、これまで寧缺を支えてきた莫山山(ばく・さんさん)が、二人の逃亡を助けるシーンも印象的でした。彼女の優しさと強い意誌が、今後の物語にどう関わってくるのか、期待が高まります。

そして、最後に明かされた大黒傘の秘密。ただの傘だと思っていたものが、実は夜そのものだったという事実は、今後の展開を大きく左右しそうです。

つづく