陸晨迦は葉紅魚(よう・こうぎょ)と会い、莫山山(ばく・さんさん)が愛のために死ぬ様を見届けようとする。葉紅魚(よう・こうぎょ)は隆慶への執著を捨てるよう忠告するが、陸晨迦は逆に葉紅魚(よう・こうぎょ)を嘲笑い、愛を知らないと罵る。葉紅魚(よう・こうぎょ)は歯ぎしりするほど怒りに震える。
李慢慢(り・まんまん)は寧缺(ねい・けつ)と桑桑(そうそう)の価顔絵を持って行方を探し、川で魚を捕っている楊二喜に尋ねる。楊二喜は二人が水の中にいると言い、李慢慢(り・まんまん)は戯言だと思い、捜索を続ける。寧缺(ねい・けつ)と桑桑(そうそう)は旅を続け、懸空に辿り著く。寧缺(ねい・けつ)は岐山(きざん)大師(きさん)が全力を尽くして二人をここに送ったことに気づく。
陸晨迦は幽閣を訪れ、莫山山(ばく・さんさん)に寧缺(ねい・けつ)のために命を捨てるなと説得する。寧缺(ねい・けつ)の心には桑桑(そうそう)しかいないと告げるも、莫山山(ばく・さんさん)は意に介さず、自分の気持ちだけを大切にすると主張する。熊初墨は羅克敵に命じて莫山山(ばく・さんさん)を捕らえ、見せしめのため極刑に処そうとする。熊初墨は葉紅魚(よう・こうぎょ)に裁決を執行させる。葉紅魚(よう・こうぎょ)は三本の剣で莫山山(ばく・さんさん)の命を奪うと宣言し、迷わず剣を振るう。莫山山(ばく・さんさん)は避けようとしない。李慢慢(り・まんまん)は朝早くから寧缺(ねい・けつ)と桑桑(そうそう)を探すが、知守観天下行走の葉青に阻まれる。
葉紅魚(よう・こうぎょ)の二本目の剣は自分自身に向けられる。魔宗山門で莫山山(ばく・さんさん)に命を救われた恩に報いるためだ。しかし、熊初墨は納得せず、自ら三本目の剣を振るおうとする。彼が闇剣を放つと、陸晨迦が飛び出して剣を受け止める。天下三痴と呼ばれる三人はいずれも傷を負う。葉紅魚(よう・こうぎょ)は熊初墨に既に三本の剣を使ったのだから莫山山(ばく・さんさん)を解放すべきだと訴える。熊初墨は葉紅魚(よう・こうぎょ)の庇護を厳しく叱責する。天諭大神官(だいしんかん)が天下三痴のためにとりなし、熊初墨は莫山山(ばく・さんさん)を幽閣に閉じ込め、二度と外に出さないよう命じる。そして、陸晨迦と葉紅魚(よう・こうぎょ)には七十二道の烈火の刑を科す。
李慢慢(り・まんまん)と葉青は葉紅魚(よう・こうぎょ)が莫山山(ばく・さんさん)を救ったことを察知し、互いに微笑み、わだかまりを解いて別れる。寧缺(ねい・けつ)は桑桑(そうそう)を連れて天擎樹を見つけ出す。桑桑(そうそう)は寧缺(ねい・けつ)に迷惑をかけたくないと言うが、寧缺(ねい・けつ)は冥王も死も恐れていない、ただ生きている毎日を大切にしたいと語る。桑桑(そうそう)は子供を産みたいと言い出すが、寧缺(ねい・けつ)は時間がかかると言って、桑桑(そうそう)を連れてもっと楽しいことをしに行く。
李慢慢(り・まんまん)は高い修為で禁製を突破し、幽閣に侵入する。彼は莫山山(ばく・さんさん)を助け出そうとするが、莫山山(ばく・さんさん)はここに残って書道を続けたいと言い、寧缺(ねい・けつ)を探すよう李慢慢(り・まんまん)に促す。李慢慢(り・まんまん)はそれ以上説得することを諦める。葉青は妹の葉紅魚(よう・こうぎょ)に傷薬を届け、二度と無茶な行動をしないよう忠告する。そして、桃山を離れて知守観に戻るよう勧めるが、葉紅魚は聞き入れない。天諭大神官(だいしんかん)は陸晨迦の傷を治療し、彼女の行動を称賛する。陸晨迦は寧缺(ねい・けつ)を恨んでいたことを認めながらも、桑桑(そうそう)のために世界を敵に回す彼の姿を見て、完全に未練を断ち切ったと語る。
隆慶は紫墨(しぼく)と西陵(せいりょう)の堕落騎兵を率いて金帳王庭(きんちょうおうてい)の大草原にやって来る。彼はまず草原の蛮族を徴服し、それを足掛かりに世に覇を唱えようと企む。隆慶は牧民たちが少女を追い詰めているのを見る。最初は立ち去ろうとするが、少女が助けを求める声を聞いて立ち止まる。隆慶は牧民たちに金帳王庭(きんちょうおうてい)の場所を尋ねるが、彼らは無視し、侮辱的な言葉を吐く。隆慶は怒り、牧民たちを皆殺しにする。少女は先代大単于(ぜんう)の娘、烏珠と名乗り、隆慶を金帳王庭(きんちょうおうてい)へ案内すると申し出る。
魚龍幇(ぎょりゅうほう)の幇主、朝小樹は老筆斎を訪れるが、扉には封条が貼られ、寧缺と桑桑(そうそう)の姿はない。朝小樹は寧缺との出会い、そしてあの春の雨の夜に生死を共にした出来事を思い出す。常三哥(じょうさんこ)は朝小樹に寧缺との関係を完全に断ち切るよう忠告するが、朝小樹は意に介さず、寧缺という親友を大切に思う。
第8話の感想
第8話は、それぞれのキャラクターの愛と信念、そして選択が交錯する、非常にドラマチックな展開でした。特に印象的なのは、三痴それぞれの愛の形です。莫山山は、寧缺への一途な想いを貫き、死をも恐れない覚悟を見せます。その姿は、愛の深さと同時に、ある種の危うさも感じさせます。葉紅魚は、友情と掟の間で葛藤しながらも、 最終的に莫山山を救う道を選びます。彼女の行動は、愛とは異なる形の強い絆、そして自身の信念を曲げない芯の強さを示しています。陸晨迦は、これまで寧缺への執著を見せていましたが、彼の桑桑(そうそう)への深い愛情を目の当たりにし、ついに諦めを受け入れます。彼女の中で何かが吹っ切れたような、静かな強さを感じさせるシーンでした。
一方、隆慶は、野望実現のため、冷酷な一面を見せます。牧民たちを虐殺するシーンは、彼の冷酷さと、目的のためには手段を選ばない姿勢を際立たせていました。寧缺と桑桑(そうそう)は、ひたすらに生きること、そして共にいることを選びます。世界の危機を前に、二人の穏やかな日常がより一層輝いて見えます。
つづく