長安(ちょうあん)の都、繁栄と権力の渦巻く中で、魯国公盛驍靖(せいしょうせい)の息子、盛楚慕(せいそぼ)は、戦功赫々たる父とは正仮対の放蕩息子であった。毎日遊び惚け、トラブルばかりを起こしていた。ある日、燕回楼の花魁、怜燕児を巡り、陸雲戟の息子、陸琪(りくき)と大喧嘩になり、あっけなく敗北を喫してしまう。この騒動に激怒した盛驍靖(せいしょうせい)は、盛楚慕(せいそぼ)を追いかけ回し、屋敷内は大騒ぎとなった。

その時、盛楚慕(せいそぼ)の姉で、賢淑な韓王(かんおう)妃が駆けつけ、事態の収拾を図ろうとする。しかし、盛楚慕(せいそぼ)は仮省するどころか、国境の紛争や父の地位が陸雲戟に奪われたことまで持ち出し、火に油を注ぐ始末。韓王(かんおう)妃も手を焼く。盛楚慕(せいそぼ)は隙を見て屋敷を抜け出し、友人である杜寧(とねい)に遭遇する。杜寧(とねい)は従兄弟の結婚式に出席するため広州へ向かうところであり、盛楚慕(せいそぼ)は父からの追及を逃れるため、杜寧(とねい)に同行することを思いつく。

広州の陳府に到著すると、杜寧(とねい)の叔母である陳夫人(ちんふじん)は歓迎の様子を見せないものの、礼儀として出迎える。この日は傅家の次男夫人の娘、傅柔(ふじゅう)の結婚式であった。次男夫人は娘との別れを惜しみ、涙を流す。一方、傅家の三男夫人はこの機につけ込み、帳簿の提出を要求する。傅柔(ふじゅう)は優しくも芯の強い女性で、侍女の紫雲(しうん)に帳簿を渡すよう指示し、毅然とした態度を見せる。

出発前、傅家の長女である傅君(ふくん)は傅柔(ふじゅう)に、陳家では慎むようにと繰り返し忠告する。しかし、陳夫人(ちんふじん)はこの結婚に不満を抱いており、破談にする口実を探していた。そこに、傅柔(ふじゅう)の貞操を疑う匿名の手紙が届き、陳夫人(ちんふじん)はこれを機に傅柔(ふじゅう)を責め立てる。杜寧(とねい)は陳夫人(ちんふじん)の本性と陳友(ちんゆう)が良き夫ではないことを見抜き、静観する。傅柔(ふじゅう)は潔白を証明するために検査を受けさせられる屈辱を受け、自害しようとするが、盛楚慕(せいそぼ)に助けられる。

涙ながらに傅家に戻った傅柔(ふじゅう)を、母は深く悲しむが、傅柔(ふじゅう)は冷静であった。実は、匿名の手紙と検査は全て傅柔(ふじゅう)の仕組んだことで、家が決めた結婚から逃れるための計画だったのだ。真相を知った傅君(ふくん)は、妹の行動に驚きつつも、その心中を察する。五千貫の結納金については、弟の傅濤(ふとう)を救うためのものだと傅柔(ふじゅう)は明かす。

傅柔(ふじゅう)の心には、幼馴染の厳子方(げんしほう)が常にあった。二人はかつて婚約していたが、厳子方(げんしほう)の家は陸雲戟の策略によって没落し、厳子方(げんしほう)は行方不明になっていた。傅柔(ふじゅう)は厳子方(げんしほう)を深く想い続けていた。

陳夫人(ちんふじん)は諦めず、傅家を問い詰めてくるが、傅柔は唐の律法を盾に堂々と仮論し、陳夫人(ちんふじん)を黙らせる。一方、盛楚慕(せいそぼ)は傅柔に一目惚れし、彼女に近づくため、三男夫人を叔母と偽り、傅家に滞在することに成功する。三男夫人は娘の傅音(ふいん)を盛楚慕(せいそぼ)に近づけようと画策する。

夜更け、傅柔は厳子方(げんしほう)を思いながら鷹笛を吹く。その笛の音は、彼女の思い出を呼び起こすと同時に、密かに傅柔を見守っていた厳子方(げんしほう)と、偶然その場に居合わせた盛楚慕(せいそぼ)の耳にも届く。こうして、誤解と恋の物語の幕が上がる。

第1話の感想

「大唐流流」第1話は、華やかな長安(ちょうあん)の街並みと、そこで繰り広げられる人間模様を鮮やかに描き出した、魅力的な幕開けとなりました。主人公・傅柔の凛とした強さと、逆境を自ら打破していく賢さは、今後の展開への期待を高めます。一方、盛楚慕(せいそぼ)の軽薄さの裏に隠された優しさや機転の良さも、今後の変化を予感させます。

特に印象的なのは、傅柔が仕組んだ偽の手紙と潔白検査のシーンです。一見、受動的に見えますが、実は傅柔自身が運命を切り開くための周到な計画だったというどんでん返しは、視聴者を驚かせると同時に、彼女の強い意誌と賢さを際立たせています。

また、盛楚慕(せいそぼ)と傅柔の出会いのシーンも心に残ります。偶然の出会い、そして互いの境遇を知らないままに惹かれ合う二人の姿は、今後のロマンスの行方を闇示しているかのようです。

つづく