傅柔(ふじゅう)は太子(たいし)の結婚準備で疲れ切っていた。そんな中、周王(しゅうおう)がまた香囊を催促しに現れ、凌霄閣へ来るよう命じた。一方、太子(たいし)妃は皇帝(こうてい)と皇后(こうごう)に挨拶のため入宮し、そこで傅柔(ふじゅう)に再会。韓王(かんおう)府での傅柔(ふじゅう)の親切を覚えていた太子(たいし)妃は、傅柔(ふじゅう)に感謝を伝えた。その後、凌霄閣へ向かった傅柔(ふじゅう)は、周王(しゅうおう)にポーズを取らされ肖像画を描かれた。疲労困憊の傅柔(ふじゅう)は、ついに倒れてしまう。慌てた周王(しゅうおう)はすぐに太医を呼び、傅柔(ふじゅう)は目を覚ますと側に周王(しゅうおう)がいることに驚き、逃げようとする。しかし、周王(しゅうおう)の巧みな話術に捕まり、薬を飲ませてもらった。さらに、周王(しゅうおう)は傅柔(ふじゅう)に想う人がいることを見抜く。回復した傅柔(ふじゅう)は周王(しゅうおう)に香囊を渡し、立ち去ろうとするが、周王(しゅうおう)は前回の失神事件を謝罪し、一つだけ願いを葉えると言った。傅柔(ふじゅう)は「もう命令しないでほしい」と頼むが、周王(しゅうおう)はそれを拒否し、代わりに宮外へ連れ出し家族に会わせることを約束した。

傅柔(ふじゅう)は韓王(かんおう)府を訪れ、韓王(かんおう)妃に盛楚慕(せいそぼ)の状況を尋ねた。盛楚慕(せいそぼ)からは短い安否の手紙が届いていたが、陸雲戟が盛驍靖(せいしょうせい)から盛楚慕(せいそぼ)につけた親兵を引き抜いており、傅柔(ふじゅう)は不安を募らせる。韓王(かんおう)妃は傅柔を慰め、宮中で体に気をつけるよう忠告した。その後、傅柔は盛楚令(せいそれい)に会い、キン楠公主(きんなんこうしゅ)への平安結の受け渡しを頼まれる。宮に戻った傅柔は、キン楠公主(きんなんこうしゅ)に平安結を渡し、公主は大変喜んだ。

戦地では、盛楚慕(せいそぼ)と傅濤(ふとう)が再会を果たす。傅濤(ふとう)は今では小さな役職に就き、褒美で買った金の指輪を三夫人(さんふじん)に送ろうとしていた。盛楚慕(せいそぼ)は表情を変え、三夫人(さんふじん)の死を傅濤(ふとう)に告げる。傅濤(ふとう)は深い悲しみに暮れ、家を出てきてしまったことを後悔した。陸雲戟は盛楚慕(せいそぼ)にわざと不利な状況を作り出し、少数の兵で多勢に無勢な戦いを強いていた。今回、陸雲戟はわずか二千二百の兵で難攻不落の九柱城を攻め落とすよう命じ、盛楚慕(せいそぼ)が戦死することを願っていた。

太子(たいし)は周王(しゅうおう)が傅柔を宮外へ連れ出したことを知り、皇帝(こうてい)に訴えようとする。しかし、側にいた孫霊淑(そんれいしゅく)に諭され、考え直した。皇后(こうごう)は孫霊淑(そんれいしゅく)を呼び出し、妊娠を促す。太子(たいし)は政務で忙しく、孫霊淑(そんれいしゅく)に近づかないため、彼女は傅柔に助けを求め、太子(たいし)を惹きつけるための舞衣の作成を依頼した。皇后(こうごう)が陸盈盈を太子(たいし)妃に選ばなかったことを後悔し、陸盈盈が皇后(こうごう)に取り入ろうとしているのを見た孫霊淑(そんれいしゅく)は、嫉妬に駆られ、侍女に陸盈盈に水を浴びせるよう命じる。通りかかった傅柔は、陸盈盈を助けた。

傅柔は孫霊淑(そんれいしゅく)に舞衣を届けるが、彼女は満足せず、もっと豪華なものを要求する。傅柔は孫霊淑(そんれいしゅく)には華美な衣装は価合わないと考えるが、太子(たいし)妃の命令には逆らえず、作り直すことにした。帰り道、周王(しゅうおう)に会い、事情を話すと、周王(しゅうおう)は傅柔に助言を与える。周王は贅沢を諫める上奏文を書き、皇帝(こうてい)はそれを大いに褒め、太子(たいし)に写して枕元に置くよう命じた。皇帝(こうてい)が周王ばかりを褒め、自分を叱責することに太子(たいし)は不満を抱いた。

第10話の感想

第10話は、様々な登場人物の思惑が交錯し、それぞれの立場や感情がより鮮明に描かれた回でした。傅柔は相変わらず周王の気まぐれに振り回されながらも、太子(たいし)妃やキン楠公主(きんなんこうしゅ)への気遣いを見せるなど、宮廷内での人間関係を上手く築いている様子が伺えます。しかし、盛楚慕(せいそぼ)の身を案じる傅柔の心中は穏やかではなく、陸雲戟の策略によってさらに不安が募っていく様子が見て取れました。

周王は傅柔への関心を隠そうともせず、肖像画を描いたり、宮外へ連れ出したりと奔放な行動が目立ちます。彼の真意は未だ不明ですが、傅柔への好意は本物のように感じられます。一方で、太子(たいし)は政務に追われ、孫霊淑(そんれいしゅく)への配慮が欠けている様子。孫霊淑(そんれいしゅく)は皇后(こうごう)からのプレッシャーもあり、焦燥感を募らせています。そんな中、傅柔に助けを求める彼女の姿は、孤独で脆い印象を受けました。

陸雲戟の盛楚慕(せいそぼ)に対する敵意はさらに深まり、危険な状況へと追い込んでいきます。盛楚慕(せいそぼ)と傅濤(ふとう)の再会シーンは、戦場の過酷さと兄弟の絆を改めて感じさせる感動的な場面でした。三夫人(さんふじん)の死を知らされた傅濤(ふとう)の悲しみは胸を締め付けられるものがありました。

つづく