陸漢星は、昏睡状態の陸琪(りくき)を見て殺意を抱き、まさに手を下そうとしたその時、傅音(ふいん)が茉莉と共に戻ってきた。慌てた陸漢星は手を止め、傅音(ふいん)に警戒され追い払われた。傅音(ふいん)は茉莉に、自分がいない時は陸琪(りくき)を守れと命じた。陸雲戟は重傷の息子を見て一計を案じ、陸漢星の結婚で陸琪(りくき)を衝喜させようと考えた。

一方、厳子方(げんしほう)に囚われた傅柔(ふじゅう)は、かつての情誼に胸を痛めながらも、彼への想いは兄妹愛だと主張した。厳子方(げんしほう)は長年の苦難を傅柔(ふじゅう)への想いで乗り越えてきたと訴え、二人の婚約はまだ有効だと考えていた。言い争う中で、傅柔(ふじゅう)は誤って厳子方(げんしほう)の頬を傷つけてしまうが、彼はそれでも傅柔(ふじゅう)を諦めようとはしなかった。夜更けに酒に酔った厳子方(げんしほう)は傅柔(ふじゅう)のもとを訪れるが、全ては変わってしまったことを悟る。

盛楚慕(せいそぼ)と周王(しゅうおう)は傅柔(ふじゅう)を探し続けていたが、周王(しゅうおう)は諦めかけていた。しかし盛楚慕(せいそぼ)は傅柔(ふじゅう)が生きていると信じていた。絶望の淵に立たされたその時、傅柔(ふじゅう)が姿を現す。盛楚慕(せいそぼ)は驚き、幻覚かと疑う。傅柔(ふじゅう)は優しく彼を宥め、二人は再会の喜びを分かち合った。実は昨夜、陸盈盈が傅柔(ふじゅう)と服を交換し、傅柔(ふじゅう)は脱出に成功していたのだ。そして陸盈盈は偶然にも厳子方(げんしほう)と一夜を共にすることになった。陸盈盈は陸琪(りくき)の治療薬と引き換えに厳子方(げんしほう)と取引をし、厳子方(げんしほう)は苦渋の決断の末、薬を渡し、二人の関係に終止符を打った。

目を覚ました盛楚慕(せいそぼ)は傅柔(ふじゅう)が無事で安堵する。傅柔は女官服の血痕を嘘で隠蔽し、厳子方(げんしほう)のことは話さなかった。宮中から傅柔を探しに人が来たため、盛楚慕(せいそぼ)は駆け落ちを提案する。傅柔は迷った末、盛楚慕(せいそぼ)と共に宮廷を離れ、自由を求めることを決意した。

広州に著いた二人は金欠に陥り、盛楚慕(せいそぼ)は注文しすぎた料理の代金を支払うため、店で働くことになった。一方、陸盈盈は薬を持って帰ったが、陸琪(りくき)の容態は好転せず、薬も残り少なくなっていた。傅音(ふいん)は焦燥していた。

皇后(こうごう)は宮中で息子たちを集め、残り少ない自分の命を嘆きつつ、息子たちに期待を寄せた。太子(たいし)は大蒼山の件で周王(しゅうおう)を責めたが、皇后(こうごう)は冷静な対応を促した。周王(しゅうおう)と梁王は曹将軍(そうしょうぐん)の尋問を続け、真相究明に努めていた。

盛驍靖(せいしょうせい)は盛楚慕(せいそぼ)が帰ってこないことを心配し、盛楚令(せいそれい)を探しに行かせ、盛夫人(せいふじん)には嘘をついて安心させた。広州での盛楚慕(せいそぼ)と傅柔の生活は質素ながらも、かつてない自由と幸せに満ちていた。しかし、陸家の危機、宮廷の陰謀、そして二人の未来の不確かさは、この道のりが平坦ではないことを闇示していた。

第28話 感想

怒涛の展開で息つく間もない第28話。陸家、傅柔、盛楚慕(せいそぼ)、それぞれの運命が大きく動き始め、目が離せません。

まず陸家。陸琪(りくき)の危篤状態、そして陸漢星の暴走寸前という緊迫した状況の中、傅音(ふいん)の機転と茉莉の忠誠心が光ります。しかし、陸雲戟の衝喜という突飛な発想は、この先の展開に更なる波乱を予感させます。

一方、傅柔は厳子方(げんしほう)の歪んだ愛情に囚われながらも、毅然とした態度で彼に立ち向かいます。彼女の芯の強さが際立つシーンでした。そして、ついに盛楚慕(せいそぼ)との再会!劇的な再会シーンは、これまでの二人の苦難を思えばこそ、喜びもひとしおです。陸盈盈の機転と自己犠牲によって実現した脱出劇も、感動的でした。

駆け落ちを決意した二人。広州での新たな生活は、自由と幸せに満ち溢れているように見えますが、金銭的な問題など、現実の厳しさも突きつけられます。盛楚慕(せいそぼ)の料理の注文しすぎは、彼の楽天的な性格をよく表していると言えるでしょう。

つづく