陸盈盈は梁王に対し、陸琪(りくき)が求婚を断ったのは既に想い人がいるからだと嘘をつき、その相手こそ梁王だと告げた。梁王は簡単に信じず、陸琪(りくき)と陸雲戟を救うために自分を利用しようとしているのではないかと疑った。陸盈盈は両方だと認め、梁王は当初、彼女を王妃にしようと考えていたが、今は孺人の身分しか与えられないとした。梁王はすぐに陸盈盈を連れて行こうとしたが、彼女は陸琪(りくき)と陸雲戟を先に救うよう要求した。梁王は陸雲戟父子が釈放される日に、陸盈盈が梁王府に入ることを約束した。しかし、梁王は本気で動くつもりはなく、静観する構えだった。陸家父子の運命がどうなろうと、陸盈盈を手中に収めるのは容易だと考えていたからだ。

秦王(しんおう)の師が二ヶ月の休暇を取ったため、皇后(こうごう)は秦王(しんおう)の学業が疎かになるのを心配し、傅柔(ふじゅう)に秦王(しんおう)の復習をさせるよう命じた。しかし、秦王(しんおう)は傅柔(ふじゅう)に物語をせがんだため、傅柔(ふじゅう)は仕方なく物語を聞かせた。門の外で傅柔(ふじゅう)の物語を聞いていた皇帝(こうてい)は、素晴らしいと褒め、今後、秦王(しんおう)に孝行の物語をもっと聞かせるよう傅柔(ふじゅう)に指示し、秦王(しんおう)には太上皇(たいじょうこう)を見舞うよう命じた。

傅柔(ふじゅう)は皇帝(こうてい)と共に甘露殿へ行くと、韓王(かんおう)が盛楚慕(せいそぼ)を連れて戻って来ていた。韓王(かんおう)は、盛楚慕(せいそぼ)が隠れた病を患っており、名医がいると聞き治療に行っていたのだと皇帝(こうてい)に説明した。盛楚慕(せいそぼ)が戻ったのを見て、皇帝(こうてい)は論功行賞を行うことにした。まず、洪義徳(こうぎとく)を捕らえた功績で厳子方(げんしほう)の官位を上げ、長安(ちょうあん)西城の治安を任せた。次に、皇帝(こうてい)は盛楚慕(せいそぼ)に望みの褒美を尋ねた。周りの者たちは、盛楚慕(せいそぼ)がこれを機に傅柔(ふじゅう)との結婚を申し込むだろうと思っていたが、盛楚慕(せいそぼ)は長安(ちょうあん)を離れ、国境警備に就きたいと申し出た。過去と決別し、辺境で心身を鍛え直したいというのだ。傍らで聞いていた傅柔(ふじゅう)は胸を痛めたが、盛楚慕(せいそぼ)は彼女を一瞥もくれなかった。彼は傅柔(ふじゅう)がわざと自分を傷つけたのだと誤解していたのだ。皇帝(こうてい)は盛楚慕(せいそぼ)の申し出に感心し、許可を与えたが、傅柔(ふじゅう)は悲しみに暮れた。論功行賞の後、皇帝(こうてい)は太子(たいし)だけを呼び止めた。

厳子方(げんしほう)は傅柔(ふじゅう)を見つけ謝罪し、なぜ自分を告発しなかったのかと尋ねた。傅柔(ふじゅう)は陸盈盈と秘密を守る約束をしたからだと答え、厳子方(げんしほう)には陸盈盈を大切にし、愛してくれる人を裏切らないようにと告げた。

梁王は牢にいる陸雲戟父子を訪ね、自分の立場を明らかにした。陸雲戟父子は梁王の突然の態度変化に戸惑いながらも、梁王の助けがあれば、ここから出られる希望が生まれたことに安堵した。梁王が去った後、間もなく周王(しゅうおう)が牢にやってきて洪義徳(こうぎとく)を取り調べたが、洪義徳(こうぎとく)は太子(たいし)にしか口を割らないと主張した。この話を聞いた梁王は太子(たいし)に知らせ、周王(しゅうおう)に功績を立てさせないよう、すぐに介入するよう促した。その後、梁王は突然傅柔の前に現れ、袁道長(えんだおちょう)から貰った丹药を無理やり奪い取った。

一方、怜燕児と馬海妞(ば かいちゅう)は自立するため、手作りした装飾品を韓王(かんおう)妃に売り、さらに怜燕児が韓王(かんおう)妃の化粧と著付けを行った。韓王(かんおう)妃の装いは思玲公主(しれいこうしゅ)の目に留まり、韓王(かんおう)妃は馬海妞(ば かいちゅう)を公主に推薦した。

太子(たいし)は牢にいる洪義徳(こうぎとく)の元を訪れたが、実はこれは全て覆水(ふくすい)の策略だった。覆水(ふくすい)は洪義徳(こうぎとく)の孫を人質に取り、洪義徳(こうぎとく)に自害を強要した。洪義徳(こうぎとく)は仕方なくそれに従うしかなかった。太子(たいし)と面会した洪義徳(こうぎとく)は、その場で自害した。覆水(ふくすい)の目的は、洪義徳(こうぎとく)殺害の罪を太子(たいし)に被せることだった。牢の中には太子(たいし)と洪義徳(こうぎとく)しかおらず、洪義徳(こうぎとく)が死んだ今、最大の容疑者は太子(たいし)となる。皇帝(こうてい)は激怒し、太子(たいし)が陸雲戟を救うために洪義徳(こうぎとく)を殺したのだと考え、太子(たいし)を牢に入れ、誰にも面会させないよう命じた。詹軒智(せんけんち)と孫潭(そんたん)は太子(たいし)を弁護し、太子(たいし)を釈放しないなら大蒼山の事件の担当者を交代するべきだと訴えたが、皇帝(こうてい)は激怒し、二人を連れ出させた。すると周王(しゅうおう)が、方相に事件の再審理をさせようと申し出た。

第32話の感想

第32話は、様々な登場人物の思惑が交錯し、物語が大きく動き出す波乱の回でした。陸盈盈の梁王への賭け、盛楚慕(せいそぼ)の突然の申し出、そして洪義徳の死と太子の投獄…息つく暇もない展開に、ハラハラドキドキさせられました。

特に印象的だったのは、陸盈盈の決断です。愛する家族を守るため、自らの身を犠牲にする覚悟は、彼女の強い意誌を感じさせます。梁王の真意が見え隠れする中、彼女の運命がどうなっていくのか、非常に気になります。

また、盛楚慕(せいそぼ)の行動も衝撃的でした。傅柔への想いを断ち切り、辺境へ行くという決断は、彼の苦悩と成長を感じさせます。しかし、それが傅柔にとってどれほどの悲しみであったかと思うと、胸が締め付けられます。二人のすれ違いが、今後どのように変化していくのか、注目したいところです。

つづく